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ファウンデーションの夢 58 「蛸部屋の名探偵と一台」

58 久しぶりの音写、頼むわね、ミーター。

 やれやれ、やっと、狭いバッグから出られたと思ったら、今度は蛸部屋だなんて、普通切符じゃなかったんですか?

 しょうがないわよ。戦争ですから。非常事態で、やっとワゴンに乗れただけで幸運なんですから。カルガンから逃げる人で、スペースポートもごった返してたわね!
 えへん、このリポートは『何度も何度も繰り返されて』が表題。何度も重なりあった事実を纏めると、次のような推論が成り立つ。
 まず、祖母ベイタとエブリング・ミスの意見が微妙に違ってた、ということ。ミス博士は第二ファウンデーションを第一ファウンデーションに対する脅威と考えていた。ベイタおばあちゃんは、ミュールが敗北しても、第一ファウンデーションが、次の銀河帝国の担い手は自分だけだという自惚れとその反対に、第二ファウンデーションに頼っていればいい、という甘えの状態を予期して、ダレル家だけの秘密にしておこうと考えて、トランターに残った。知っていることと公にすることは全く別なんだわ。偉いおばあちゃんだったんだわ!
 ミーター、次が問題なのよ!よく聞いて!なぜ、アンソーアがクラウゼの弟子と称して突然、お父さんの前に現れたか?おそらくね、クラウゼ博士の発明した脳波測定器より、お父さんの発明した機械の方が高性能だったんだわ。お父さんは、アンソーアが第二ファウンデーション員だと初めから見抜いていたんだわ。お父さん、案外やるわね!
 そして、次の問題が最も大事で、難解だわ!
ベイタおばあちゃんはなぜ、トランターで子供を生んだか、私もそこで生まれたのか?
 きっと、こういうことよ。カリア叔母様の目が二回光ったわ。一回目は悲しそうな瞳。二回目は驚愕の瞳。わかるミーター。

 お嬢様、私も及ばずながら、バッグに隠れたままで気が付きました。

 そうなのよ。ホマー叔父さんも、あの目にやられたんだわ。でもカリアさんの目は私には効かなかったんだわ!ですから、お父さんもきっとやられてないわ。二人に共通すること。トランターで生まれたという事実、なのよ!ベイタおばあちゃんはわかっていたんだわ!

 そこで推論は、終わり。次は、今後の展開よ。ミーター、聞いている?トランターは大農業の星なのよね?

 データではターミナス農業生産力の百倍、となっています。よー、名探偵コナン・ドイル!

 ミーター、いやワトソン君、私は名探偵、アルカディア・ダレルよ!

https://youtu.be/B9hc-gNBU2A

yatcha john s. 「蛸部屋の名探偵と一台」『ファウンデーションの夢』第五部 その8

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