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極素輻射体

割引あり

極素輻射体

galaxy20000yearslater series

第二弾 『ミーターの大冒険』 

第三部 「コンポレロンへ」
(全第1話~第5話)


目次

大枠
第一部    リリーフ(『ファウンデーションの夢』より続く架け橋)
第二部 イルミナ
第三部 コンポレロンへ
第四部 コンポレロン 
第五部 オーロラへ
第六部 オーロラ
第七部 地球へ
第八部 太陽系
第九部 地球
第十部 ターミナスへの帰還
第十一部    ダリバウ
第十二部    惑星イオスへ
第十三部    ターミナスまたは第1ファウンデーションの行く方
第十四部    有終の美
第十五部    再び地球へ

「第三部 コンポレロンへ」の目次

第1話    ウォンダと極素輻射体
第2話    歴史消滅の結束点以前
第3話    精神感応力 
第4話 秘密の鍵穴
第5話 ボー・アルーリン

第6話 セクション33A2D17
第7話    グレディア
第8話    ハニスからのハイパーウェーブ通信
第9話    ファウンデーション暦55年?
第10話    ミーター、哲学者・詩人になる

あらすじ

 ミーターは亡きアルカディアの遺志通りアタカナ探索にターミナスから旅立った。傍らには、不思議な自らをイルミナと名乗る「銀河帝国辞書編纂図書館」のバーチャル・コントロールが同乗していて、ミーターの話し相手になっていた。二人を乗せたファー・スター2世号は順調に加速を上げた。

 しかし、目指す禁断の天体オーロラに辿り着くルートが見つからない。ミーターは、その情報をコンポレロンで手にはいるとふんだ。
 進路をコンポレロンにとった時、ジスカルド・ハニスからハイパー・ウェーブ通信が入った。
 二人の若いターミナス人が「別動隊」の候補者として名前があがった。
 アルカディアのラヴェンダー農園のはじまりの母系先祖の「グレディア」のことに話題が及び、ミーターは何かの記憶を呼び覚ます。

 「グレディア」は、そもそもサルヴァー・ハーディンの次女の名前だった。その名前を、ハーディーの次女に薦めたのは、コンポレロン出身のボー・アルーリンであり、彼はコンポレロンの伝説にある女と船長の恋愛物語を知っていた。
 ところがミーターはアルカディアが、説明してくれたガール・ドーニックがハリ・セルダンに提出したという「故郷星探索記録」と一致する内容に思い至った。

 ガール・ドーニックがまだ彼の故郷の星、シンナックスにいた頃の記録が捕捉されてあった。

 それには、ある寺院の裏にあった石棺の中に二体の遺骨を発見していたという。その蓋には「夢多き300歳の若きグレディア・ソラリアとダニール・ジスカルド・ベイリーここに眠る」と刻されてあったというのである。

 ミーターとイルミナの驚きは、彼らを哲学者や詩人に変えたというほど衝撃的であった。


第1話 ウォンダと極素輻射体


101章
ミーター イルミナ、オリンサスさんがお前をつくるのにどれだけ奮闘したかわかってるよな。最期の最期になってどうしても解決しない部分があったんだ。

イルミナ わたしを産み出すための産みの苦しみといったところですね。

    イルミナ、いいか、オリンサスさんは、ハニスさんの努力でレアアースも手にいれた。しかし、イルミネショナーをどうしても完成させることができなかった。完成させるのには、ある機能が必要だったんだ。その手がかりを血なまこになって探した。その不休不眠の結果、持病の心臓病を悪化させた。ある日、その欠落部分の手がかりを思いついた。最期の気力を振り絞ってピレンヌ像の土台部分を探った。

 若い頃知り合ったコンポレロンの友人の言葉を思いだしたからなんだ。

イルミナ ミーター、それってもしかしたら、「極素輻射体」っていわれている例の装置のことかしら?

ミーター そうだ図星だ!イルミナ、実はコンポレロンは、もうひとつのファウンデーションと関係があるって、知ってるよな。そのもうひとつのファウンデーションは、セルダンの孫ウォンダとステッティン・パルヴァーの二人から出発した、と言われている。その後、ボー・アルーリンが加わり、彼のみ初期のターミナスでガールとファウンデーションの創立に尽力した。
 そのアルーリンはハーディンを指導した。
 そして、ハーディンにその銅像と「時間霊廟」建設を託し、目立たないように陰ながらハーディンにターミナスの全権を託して世を去った。もしかしたら、アルーリンはコンポレロンの出身だったかもね。これ以上は、推測の域をでないが、そのコンポレロンと「不死の従僕」とは何らかの関係がある。

イルミナ ミーターさん、すごいわ!その「極輻射素体」とやらってどういう形状で、どういう機能があるのかしら?
ミーター 残念だが、今は、ハリ・セルダンの「心理歴史学」の研究と密接に関係があるカオス理論を形状的に現出させた機能的道具としかわからない。
 ハリ・セルダンの初期の研究同僚のユーゴ・アマリルがそれを頻繁に使用していて、ハリの孫娘ウォンダが幼児の時からそれを遊具としていた立方体、という文脈がアルカディアの『続・追憶の鍵を開けて』に記されてある。
 そしてウォンダから引き継がれきたペンダント。
 しかし、イルミナ、それがまた少しずつわかってきた。われわれの大事な使命を手伝ってくれるものが、もうひとつ見つかったような気がするんだ。
イルミナ すごいわ、ミーターさん。
 おさらいするね。
 この銀河復興には、カビレ第三惑星、アタカナの発見と再生がもとめられている。それと同時に歴史消滅以前の全容もわかってこなくちゃね。
 その任務遂行には、えへん、わたしという素晴らしい新兵器、それとミーターさん。そしてこの航宙船ファー・スター2世号。それら全部にその「極素輻射体」がかかわっているっていうことね!
 それで、ミーター、オリンサスさんが見つけた手がかりというのは?
ミーター 今から話す。

極素輻射体(Prime Radiance)


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