氷王戦準決勝 ぽやーじゅ先生vs北賽先生の検討&評論

お二人とも対局お疲れ様でした!
フリーズ将棋の特性上、一瞬のミスで勝負がついてしまうことも多い棋戦ですが、両者の高い棋力によって白熱した勝負を楽しむことができました!!

対局中の時間では見えない手も多いので、外野が勝手に、一局目から振り返ってみたいと思います。

本譜10手目A図

 手前が先手の北賽さん、奥が後手のぽやーじゅさん。
局面はぽやーじゅさんが6五歩と突いたところ、まだ10手目です。

 本譜はここから3七桂、6六歩(F歩)、4五桂、6七歩成、5三桂不成(Fと)、5八歩、同金右(Fと)、7七角成、4九玉と進んでいきました。
 読み筋とおっしゃられていた5八歩の切り返しに、7七角成と相手にターンを渡さない猛攻。圧巻でしたね。
 4九玉には5八と(F金)からの三手詰めもありましたが、本譜も見事な寄せでした。

 どうやら6五歩に3七桂では6六歩(F歩)で受けがないようです。
一例として7八銀と受けた場合は単に6七歩成と成り込んで、同銀なら同飛成(F?)と指し、6九龍(F玉)と5八銀(F金)の両方の詰みは防げないので必死。6七同銀(F飛)なら6六歩でこれも後手が攻めきれる形です。

では一手前に6七の地点を受けていたらどうだったのか?

 7八銀と上がっておけば、6六歩(F歩)に5八金右とさらに補強し、6筋だけで容易く寄せ切られることはなさそう。
 しかし、5五角が飛車のただ取りになるのが痛く、そこを絡めて攻められると少し厳しいでしょうか。

3七桂や1八飛ならフリーズを使って飛び込む

 一例としては、6六歩、同歩、5五角として、5六歩(F角)に6六飛が詰めろ。5五歩(F飛)なら6八歩。5五歩(F歩)なら6九飛成でどちらにしろ詰めろが続き、先手だけフリーズを3回消費させられてしまいます。

 もしくは6六歩(F歩)、5八金右、6七歩成(F銀)、同金、同飛成と攻め、相手に受けのフリーズを使わせたところで5五角or6六歩の追撃というのも成立するかもしれません。 

 
 6筋からの攻めと5五角のにらみの二本の矢があるので、どちらかを囮に攻めて相手に受けのフリーズを使わせ、そのタイミングで二の矢を刺しに行くという理想的な攻めができる形ですね。

 A図では4八銀と上がったことで飛車の横効きを止めてしまい、守備力が低下&角交換もしづらくなってしまったこと。3六歩を開けたが3七桂が間に合わず5五角という二の矢ができてしまい、その分6筋の対応が遅れてしまっているといった点で、すでに形勢に差がついているのではと感じました。


 やはり中飛車と同様、右四間飛車や四間飛車も玉に近い場所の歩が伸びてくるため非常に攻撃力が高く、居飛車側はのんびりしていられません。
(居飛車だとめっちゃ遠い)

この段階で右四間を察知し動き出す。どう動くか


こちらだけ角が隠居しては勝てないので、ここで角道を開けて角交換を挑む手はまずありそうです。

 7六歩に、相手から交換してきてくれるなら8八角成、同銀、3三桂、6八金という流れ。
 もしくは7六歩に4二金と上がり、3三角成、同桂、6八金、6二飛、7七角といった進行はどうでしょうか。

 3三桂に6八金は僕の中では鉄板。5七に利かしつつ9五角の王手を消しています。角のただ捨てでフリーズを解除されるのは仕方ないとしても、駒を渡さない王手がかかるうちはほとんど全てのフリーズが無効化されてしまうため、強い戦いをすることができません。(桂香で王手される場合もその意識で)

 6二飛は6筋に狙いを定めつつ6三角を防いだ手。
 7七角は9五角の詰めろと6筋の突き出しを受けつつ4四角も消し、3三桂に当たりをつけた手で、じっくりとした展開から2四歩を間に合わせる狙いです。
 この局面ならやや居飛車持ちなんですが、皆さんどうでしょうか?


 もしくは、1六歩を活かして右桂の活用を急ぐのも手になると思います。

 6二飛ではなく6五歩のほうが厳しいかもしれませんが、どちらにしろこの3七桂は無視できない手になります。本譜と一手違いですが、この場合はおそらく桂馬のほうが早いように思います。
 5三の地点に利きがないまま4五桂を許すと致命傷になりかねないので受けるわけですが、4四歩なら7六歩とこちらだけ角道を通していい勝負。4二金と受けたら…よく分かりませんが2四歩、同歩、4五桂とかでどうしょうか?7六歩かな?とにかく勝負形にはなりそうです。


ほかにも端角や強引に2筋突破を目指す手などがありますが、いずれにしても居飛車は仕掛けが遅れると敵玉から遠い分攻め合いに出来ず、一方的に潰されてしまいやすいので注意が必要です。



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