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僕が台湾に行った理由

25歳の夏休みに、5日間ほど台湾へ一人旅をしてきた。 これを書いている現在、日本はすっかり秋になってしまった。 冷たい風に晒されると、台湾で過ごした蒸し暑いひと時も、なんだか夢のように感じる。 あの5日間を忘れてしまう前に、思い出を残しておくことにした。 台湾旅行に行くと誰かに話すたび、何をしに行くのかと、旅の目的を聞かれた。 旅の目的と聞かれると、何故かその理由が浮かばなかった。 なのでその度に、〇〇に行きたいとか、勉強した中国語を試してみたいとか、景色が綺麗だからと

    • おやすみ、スマホ

      年間休日0日、朝は7時から働き始め、遅い日は夜の12時以降も働く。一日の平均労働時間は約4時から5時間。一応、アットホームな職場。 こんな求人があったとして、応募したいと思う人っているのかな? ちなみにこれは、僕のスマホ(勤務2年目)のシフトです。 … 日曜日は基本的に、あまり予定を入れないようにしている。 月曜から土曜までの計6日間で、僕のソーシャルパワー(人と接する力)は底をついているから。第一形態のカオナシ状態を想像してほしい。それです。 そして最近、残りの

      • I am the dancing queen.

        意外なことに、僕は踊るのが好きだ。 ただし、振り付けがあるようなダンスや、動きで自己表現をするような、本格的な踊りをするわけではない(というかできない)。 僕のいう“踊る”は、もっと控えめだ。 肩を揺らしたり、腕を少し上げたりしながら、音に合わせて腰を揺らしたりするだけ。 一人暮らしの小さな部屋で、小さく踊る。 下の部屋に住むおじいちゃんに配慮しながら。 これがMy Style。 …のはずだった。 2012年、アメリカのサンフランシスコ州のある大学で、『ヘンテコな

        • 下北沢にて

          先日、初めて下北沢に行ってきた。ひとりで。 下北沢といえば、古着の町。ファッションに敏感な若者が多く行き交う場所である。そんな噂の通り、実際に駅に着くと、ホームには既に若者たちがたくさんいて、みんなオシャレに装っていた。 個性的で、自分の色を前面に押し出した人もいれば、定番のブランド商品を身に着けている人もいる。どちらが優れているとかではなく、みんな自分の好きなファッションを楽しんでいる、そんな素敵な雰囲気に満ちていた。 僕は最初店には入らず、街を一周してみることにした

          歯列矯正を始めた24歳

          僕には、(わりと皆に知られている)とある秘密がある。 口に絆創膏を貼って寝ていることだ。 そう、あの絆創膏。 膝を擦りむいた時や、指を誤って切ってしまった時に貼る、あの絆創膏。 それを口に貼って寝ている(ちなみに縦貼り)。 その徹底ぶりは、皆さんの想像を軽く超えているはずだ。 夜の就寝時はもちろん、昼寝や、ちょっとした仮眠でも貼る。友達が家に泊まりに来ようと貼る。僕が泊まりに行く時も貼る。旅行にいっても貼る。海外旅行でも、貼る。 そんな生活をかれこれ5年以上は続けて

          歯列矯正を始めた24歳

          2021年・個人的最強エンタメランキング

          2021年も残すところ数日…。 ということで、今年僕が見たエンタメの中から、カテゴリごとの1位を書いていこうと思います。 ちなみに紹介するカテゴリは以下の通り。 ① 映画部門 ② テレビドラマ部門 ③ 書籍部門  チェケラ!  … ①映画部門:『花束みたいな恋をした』 監督:土井裕泰 脚本:坂本裕二 主演:菅田将暉 有村架純 今年の2月頃に、一人でチャリ漕いで埼玉の映画館まで見に行ったやつ。 やたらとSNSで話題になっていたのと、周りでも見に行ってよかったとい

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          ジャズが似合う部屋を作りたい

          今の家に引っ越してきて一年半が経ったのだけど、今更になって家のインテリアが気になり始めた。 きっかけは些細なことである。スピーカーを買ったのだ。 スピーカーといっても、外にも持ち運べるような簡易的なものである。 好きな曲が気軽に流せればいいなぁというぐらいの気持ちで買ったのだけど、そのスピーカーで何気なく流したジャズのプレイリストが、僕の無味簡素な部屋を、一瞬にして場末のオシャレなバー(みたいな雰囲気)へと早変わりさせた。 それと同時に、目の前に広がる殺風景な自室は、僕を

          ジャズが似合う部屋を作りたい

          あの日見たオジサンの名前を…

          もしも一生涯で起きうる「奇跡」の回数が決まっているのだとしたら、僕は先日、とんでもなく無駄な“1回“を消費してしまったことになる。 あまりにもドウデモイイので書くのを躊躇ったけど、忘れ去ってしまうには惜しい気もするので、書き残すこととした。インターネット上の、塵。 … 時刻は大体、午後3時半。僕は最寄り駅で、渋谷へ向かう電車を待っていた。 半端な時間ということもあり、ホームに人は多くなかった。 スマホを触りながらぼーっとしていると、何やらヤバそうなオジサンが僕の近くにや

          あの日見たオジサンの名前を…

          小説という宇宙-『三体』を読んだ-

          小説をというものを読んだ一番古い記憶は、母が地元の小さな公民図書館で借りてきてくれた『FREEDOM』という作品だった。 僕と年の近い人なら、覚えてる人も多いんじゃないだろうか。日清カップヌードルのCMで、宇多田ヒカルの曲をバックに、宇宙を舞台にした3Dアニメが流れていたことがある。 僕が読んだのは、その小説版だ。 母がFREEDOMを借りてきたのも、単に表紙がアニメのキャラクターだったから、そんな理由だったのだろう。漫画ばかり読んでいた僕に、少しでも活字に触れさせようと

          小説という宇宙-『三体』を読んだ-

          坂道おじいの秘密

          僕の住む街には、やたらと坂道が多い。 しかもどの坂も急で、頂上が見えないほど曲がりくねったり、果てしなく続いたりしている。 時折坂道の中腹で休んでいる老人を見かけると、老後この街で暮らすのは大変なことだなと、思わずにはいられない。 そんなある日の、スーパーの帰り道。 重い荷物を持ちながら、いつも通りマスクの下でゼェゼェ息を吐きながら坂道を登っていると、坂の端の方で、まっすぐ前を見つめたまま、ピタリと静止しているおじいを見かけた。 見たところ、齢70か80ほどだろうか。

          坂道おじいの秘密

          あなた、文才ありますね。

          大学4年生の冬。僕は一人、大学の図書館で苦悶に満ちた表情を浮かべていた。 目の前にはノートパソコンと、大量に平積みされた資料。そしてメモ代わりに置いた用紙などが散らばって、テーブルには殆ど隙間がなかった。 書いては消すを繰り返しながら、僕はせっせこ、卒業論文を書いていた。 … 昔から、自分の意見を表明するのがあまり得意じゃなかった。論理的に物事を考えてアウトプットするのに、常人の倍かかってしまうからだ。 どのタイミングで、どんなことを、どういった順番で話せばいいのか

          あなた、文才ありますね。

          ラジオパーソナリティに憧れて

          大学生になった頃から、深夜ラジオを聴くようになった。 きっかけは、一年生の夏休み。 あんまりにも長い夏季休暇に、当時の僕は時間を持て余しまくっていた。 知り合いも多くないので、バイトの時間以外は、テレビゲームぐらいしかすることがなかった。最新のゲーム機は持っていなかったので、昔からよく遊んでいたものばかりをプレイしていた。 物語も操作も慣れたものばかり。新鮮味がないので、せめてもの抵抗で、流行りの音楽をYouTubeで流しながら遊んでいた。 そこから音楽以外の動画も流す

          ラジオパーソナリティに憧れて

          ライブ配信で勉強する男

          最近、『イチナナライブ』というものにハマってる。 ツイキャスやニコニコ動画の生配信のように、一般人が歌ったり喋ったりするのを配信して、視聴者とコミュニケーションを図ったり図らなかったりするやつだ。 どこかで聞いたことあるな…という人がいれば、おそらくYouTubeの動画再生前に流れる広告じゃないだろうか。最近ではテレビCMまで放映されるようになったり、その知名度向上に比例して、世間から疎まれまくっているアプリである。 なんでこんなものにハマってるのかと言うと、実はこのイ

          ライブ配信で勉強する男

          となりの家がゴミ屋敷だった

          2020年の春。 上京を二か月後に控えていた僕は、一泊分の荷物を携えて、一足先に東京にやって来た。 新生活の拠点となる、”部屋探し”にやってきたのだ。 事前に会社から紹介されていた不動産屋に行くと、一人の若い男性が僕を待っていた。 ギラギラとしてガタイの良い、いかに不動産屋の社員という出で立ち。居酒屋で近くにいると最悪のタイプだけど、仲間にいるとめちゃくちゃ頼もしい感じの人。 実際、その人はめちゃくちゃ頼りになった。 会話中にやたらと下ネタを振ってくること以外は、僕の我

          となりの家がゴミ屋敷だった

          初めて宝くじを買った

          もしも宝くじが当たったら、という妄想をするのが好きだ。 仕事を放り投げて、世界中を旅してみたい。好きなものを好きなだけ食べたり、南国に別荘を建てるのも良い。残った分は投資に回してみようかな?とか。あと、急に視聴者0人の配信者に100万の投げ銭したらどんな反応するだろうとか、考えるとワクワクする。 それがどんなに空しい行為であるのかなんて、自分でもよく分かっている。 だけど、そんな”夢”みたいな事をアレやコレやと考えている時間は、小さい頃に、”大人になったら〇〇になりたい”

          初めて宝くじを買った

          ウンピとエスカレーター

          ある日のことだった。 仕事中に便意を催した僕は、そろりそろりと席を立ち、トイレに駆け込んだ。 3つある個室の内、入り口から一番近い所に入った。 ベルトをほどいて座ろうとすると、便器の隅の方に、流れきれなかった1cmくらいのウンピが残っていることに気が付いた。 (あ…前の人のヤツ、残っとる…) といっても、そんなのは珍しいことでもなんでもない。むしろよくある事だ。 気にせず、僕はそのまま自分の用を足した。 立ち上がって流しのレバーを引くと、勢い良い水が噴き出した。

          ウンピとエスカレーター