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自由すぎる二男が優しすぎる長男を救った話

雨の日の日曜日。子どもたちは部活に出かけ、私はひとりMacに向かう至福の時間。こんな日もあっていい。

子どもたちが野球を始めたきっかけ。それは二男の「忖度のなさ」。彼が忖度しなかったおかげで、彼らは野球大好き中学生として生きている。

 2017年11月。二男、当時小学三年生。彼は突然言った。

「お母さん、僕、野球やりたい!体験会、行っていい?」

「え?サッカーは?」

というのも、長男も二男も保育園時代よりサッカー教室に通っていたから。サッカーが大好きで、いつでも(部屋の中でも!)ボールに触れている。二人はサッカー少年として生きていくのかな?とぼんやり考えていたから。彼がサッカーをやらない姿を想像できない。

「サッカーは土曜日午前。野球は土曜日午後からと日曜日だから大丈夫。」

ということは、両立?スケジュール的には大丈夫なのね。ならば断る理由もない。子どもが自主的に「やりたい」と言ったことはできる限り応援するスタンスでいたいので、体験会に参加することに。

そんなやりとりを見て、当時小5だった長男が若干驚いた様子で

「え?野球体験行くの?だったら僕も行く!」

え?あなたも行くの?サッカー一筋だと思っていたあなたも野球?案内チラシを見ると小5まで参加可能と書いてある。なら行こう!ということで会場へ。

お友だちと約束していた二男は、早々にバッティング練習。バットの持ち方逆!なのになぜかサマになってる貴重な写真。

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長男は同級生のいるBチームへ移動し練習に参加してきた様子。今更野球のルールを知らない長男が野球を始めるなんて!と思っていたら。

「お母さん、僕も野球やっていい?僕、お母さんが働いているから野球は無理だと思ってた。なのに弟が野球体験に行くっていうから驚いた。弟が野球やっていいなら、僕もやりたい!」

私も驚きました。これまで長男から野球をやりたいと言われたことは一度もなかったから。長男は話し始めます。

小学校に入学して程なく、クラスメイトに「野球やろう!」と誘われたけれど断っていたこと。断った一番の理由が、私がフルタイムで働いているから、親の負担が大きい少年野球には参加できないと考えていたこと。だから諦めていたのに弟が野球やりたいと言い始めて、お母さんが「いいよ」と言って驚いたこと。それなら僕も野球をやりたい!この仲間と一緒に野球をしたいと思ったこと。

「だから、僕も野球やりたい!!」

ショックだった。そんなこと全く知らなかった。たかだか6~7歳の少年が、自分のやりたいことより私のことを考え、野球を諦めていたなんて。いつも彼はそうなのだ。長男らしく、自分よりも周りを気にしてしまう。周りに気を遣うのは悪いことではないけど、それゆえ彼は自分を不幸にしてしまうことも多かったのではないか?そして私は長男の優しさに甘えていたのではないか?長男に申し訳ない気持ちでいっぱいになった。

「いいに決まってる!小5から野球を始めるのは大変だと思うけど、私はあなたを全力応援する!だからスタメン取れるように頑張れ!」

私は彼らを全力で応援すると決めた。そして仕事を言い訳にしないと決めた。私は二度と彼らの邪魔はしない。仕事はもちろん大切だが、両立できるよう努力することで、私も子どもも成長できるはず。

その後1年間、彼らはサッカーと野球を両立させた。サッカーで鍛えた技術が野球でも生かされているという。フライを取るにはヘディングの要領でボールを取るとうまくいくとか、ベースを走るコーナリング技術などはそのまま野球にも生かせるとか。無駄なことは一つもないんだ、と言って笑う彼らに救われる。

忖度しない二男のおかげで知ることになった、長男の本心と私の無配慮。

日頃から空気を読まない自由な二男に対し「もうちょっと考えようか?」と諌めてしまう私たち家族だが、忖度しない二男のおかげで失わずに済んだものもたくさんあるのかもしれない。

長男はたまに「弟はいつも自由で、なんだコイツ?って思うこともあるけど、彼が野球やりたいって言ってくれなかったら、僕は野球やれてないんだよね。そこは感謝してる。僕はつい遠慮してしまう。代わりに僕が言えなかったことを言ってくれる。あいつと兄弟でよかったわ。」なんて言ってます。

私も感謝してますよ。ありがとう。

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長い人生、何がどうなるかなんて誰にもわからないし、良い悪いもない。だから。好きなことを思いっきりやろう!忖度しがちな長男と、そんな長男に甘えがちな私。そしていまだに「兄が野球を諦めていた理由」をわかっていない二男。

やりたいと思ったことは声に出してみる。そして行動する。忖度なしの人生を送ろう!と自由人二男から気づきを得たお話でした。


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