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Empowering doctors to be authentic leaders 等身大のリーダーを増やそう


記事を手に取ってくださってありがとうございます。
初めましての方やお久しぶりの方に向けて、簡単なご挨拶です。
私は、総合診療医として働きながら、社会起業家として医師のリーダーシップ開発やキャリア教育をしている山地 翔太と申します。

現在は藤田医科大学 総合診療科、通称 藤田総診という日本一総合診療医が集うプログラムで専門研修を行いながら、総合診療を日本のインフラにすることを使命にして働いています。社会起業家としては、一般社団法人MATSURI(一般社団法人Mersonaに名称変更予定)の代表理事として活動しております。

この記事は、私が社会起業家として考えていることや実践していることを整理したものです。その前提でご覧ください。

序章的なもの【Authentic leadership 等身大のリーダーシップ】

2023年は「人の魂を解放する」という想いで、MATSURIという名前で法人格を取得して1年活動をしました。2024年は少し変遷がありそうです。

社名変更するかは未定ですが、ここ3ヶ月はタイトルのMersonaが心に留まっています。Medicine(医療)+Persona(人格の仮面)の意味を足した造語です。ここに込められた私の想いは『等身大のリーダーを増やそう Empowering doctors to be authentic leaders』です。

authentic leaderの由来になっているauthentic leadershipは、ハーバードやYGLで最近注目されているリーダーシップの一概念です。簡単には「弱さを含めたありのままの自分らしさを解放する等身大のリーダーシップ」とご説明しておきますが、詳細はこちらの記事が大変わかりやすいので、ぜひご覧ください。

問題提起 【摘み取られるリーダーシップの芽】

『〜がしたい。だから医学部に入りたい』
*ここで〜の是非は問うつもりはないです

そんな風に真剣に考えて医学部に入学する学生が、およそ1 割にも満たないことは、皆さんが医師であるならば、すぐに共感を得られると思います。

高校生はおよそ何かしらの仮面(わたし、いい医師になりま〜す)を被って、医学部に入学します。しかし良いのか悪いのか、その偽りの仮面を医学部で被る必要はありません。なぜならほぼ大多数が「安定を求めてとりあえず入学」「生育環境の流れでそのまま入学」というパターンであり、誰もが幾分偽りの仮面を被って入学してきていることは自明であるからです。

一方で私は、臨床医の特性上、情報処理能力が高く最低限のコミュニケーション能力がある人材を医学部入学時に選抜しておくことは、割と効率的かつ効果的な策と思います。

しかし一方で、『〜したい!!』というような好奇心や想いを持って入学した少数派の医学生にとって、どこか息がしづらい環境になっているのは、如何なものでしょうか、とも思うわけです。

医師とは特殊な職業です。志高く医学部に入ってきても、実際働いてみたら意外と活躍しない人もいれば、志などなくても実際働いてみたら激烈なパフォーマンスを発揮する人もいます。ですから一概に、志高く入学しないといけないと言うつもりもありません。

しばしば医師業界では、医師は優秀な思考停止ロボット、と揶揄されることがあります。しかしこれもまた、これでいいという側面があるも事実です。厄介なことや複雑なことは考えず、エラーなく、常に正しい結果を導き出せるロボット人材は、一部の局面を除き、実際大変優秀です。

しかし時に、それではうまくいかないことがあります。例えば「衰退しかけている病院や診療科を、いかにして変革するか」「人口減少地域で、いかにヘルスケアを持続可能に提供するか」「医療事故や不祥事があった際に、覚悟を持って公表し、責任を果たせるか」「災害時など答えがない危機的状況で、覚悟を持って決断し、選択した道を正解にできるか」

どれも難題です。誰なら解決できるとも言えないですし、そもそも不可能かもしれません。しかしもし解決の糸口を見出すとしたら、リーダーシップを発揮できる人材が必要です。

私自身も様々未熟ではありますが、偉大な諸先輩方の力をかりながら、こうした難題に果敢に挑む一人の医師でありたいし、そういう仲間を下の世代にもっと増やしていきたいと思っています。

リーダーシップの芽を摘まず
その芽を育み続けたい。

私の志 【Empowering doctors to be authentic leaders】

さて、ここで冒頭に戻ります。なぜ『Mersona(医療+人格の仮面)』で『Empowering doctors to be authentic leaders』なのか。

およそ数%〜しか存在しないかもしれない特殊な医師達が、偽りの仮面を脱ぎ去って、醜さや弱さを含めた自分らしさを受容しながら、自分の願いや想い、ユニークネスやスペシャリティを解放して、現実を意のままに変革する等身大のリーダーシップを身につけていく。そしていつしかそれが一部の医師の間では、自然なことになっていく。

そんな物語を夢想して、このタイトルをつけました。

私自身は高校生の頃、男子校にいて、社会的な地位もお金も欲しかったし、女の子にモテる男になりたかったです。それは医学部を目指した半分以上の理由でした。けど同時に、総合診療医や医系技官になって、少しでもこの国を素晴らしい国にしたい、そう本気で思っていたのも事実でした。

高校生の頃から抱いていた私欲は、挑戦や逃避、成功や失敗、ご縁や感謝、出会いや別れ、、など自分や世界と向き合い続ける中で、少しずつ変化していきました。気づけば自己実現に没頭し、それによってもたらされる価値に目を向け、自分が創り出したい世界を追い求めるようになりました。

自分が善人とは思いません。ただ自分の活かし方や追い求めるものを理解して、大きな偽りなく等身大に、利己と利他を実現させていきたいと思っています。

私の志望動機の是非はこの際どうでもいいのですが、私は何かしらの想いを持って入ってくる後輩達の力になりますし、想いなんて持たずに入ったけれど、今から自分を変えてみたいという後輩達の力にもなると決めて、対話を続けてきました。

私はこれからも対話の力によって、この物語を前に進めていこうと思います。

目指すリーダー像 【Authentic leader=視座 Public Health Mind × 変革力 Authentic leadership × 専門知 Speciality】

『Empowering doctors to be authentic leaders』
私は、Authentic leader=視座 Public Health Mind × 変革力 Authentic leadership × 専門知 Specialityという風な解像度で認識しています。何か一つでも欠けると、Authentic leaderのイメージから離れてしまいます。

視座が低ければ人や組織と共創できません。変革力がなければ、ただの夢見がちな人になってしまいます。医師は専門家なので、専門知という武器がなければ、大したことはできません。

医師の世界には、専門知を磨く人は多くても、視座や変革力を磨いている人はまだまだ稀有です。よってMersonaでは特に、視座 Public Health Mind × 変革力 Authentic leadershipの醸成に力を入れていきます。

提供価値 【等身大で挑戦できる環境とネットワーキング】

Mersonaが提供するのは、心理的安全性が担保された自分らしく等身大で挑戦できる環境です。そして手を伸ばし行動を起こせば、チャンスがいくらでも掴める環境です。ベースとして定期的なリフレクションの機会を設け、プラスαで各人のニーズに応じて、コーチング/メンタリング/ネットワーキングを包括的に提供していきます。年に1回、各コース毎でリーダーシップ合宿を開催します。

リフレクションプログラム

高校生・医学生・医師を対象に、4つのコースをご用意します。

それぞれのコース毎で、3ヶ月に1回のリフレクションで下記を行います。
・自分の軸の言語化(③④コースのみ)
・3ヶ月の振り返り
・3ヶ月の行動目標や到達目標の設定
・フィードバック獲得

この年4回のリフレクションに加え、希望者には個別メンタリングの機会を提供します。個別メンタリングでは、私やコーチが軸の言語化を支援することもあれば、社会人メンターから話を聞いたり助言をもらったりすることもできます。

リフレクションやメンタリングを通してメンバーの状況を把握し、山地から一人一人に情報提供や人脈形成など、包括的なご支援をいたします。

①高校生コース

医学部志望の高校生、医学部に興味がある高校生を広く対象にします。高校の総合的な探求の時間などを使いながら、高校生と対話をする機会を設けていきます。興味に応じて情報を渡し、答えなき問いの場合には、問いかけて議論をします。そして何より「なぜ医学部に行きたいのか」「本当に医学部でいいのか?」そんな問いかけをきっかけに、高校生達と等身大で対話していきたいと思います。医学部に行くにせよ、そうでないにせよ、真剣に自分の人生について考える機会や時間は多い方が良いですから。医学部を目指すと口にした途端、周囲の大人が安心して、本人達は何も問われなくなるというのも不健全でしょう。

②まずは世界を広げたい医学生コース

医学部に入って、自大学の医学部の人間関係ばかりが人生の中心になっている環境に違和感を感じ、とにかく一歩を踏み出したいと考えている医学生を対象にします。この感覚はとても健全ですが、一方で芽生え始めた頃は脆く、すぐに周囲の同調圧力に押し潰されてしまいます。まずは自分で世界を広げる行動を一つずつ増やしていき、習慣化することを目指します。自分のやりたいことなどはすぐには見つかりませんし、言語化もできません。まずは好奇心が赴くままに行動して、好奇心そのものを育み、自分の素直な感情に向き合い、知識や経験を増やす時期です。

③もう一段先へ行きたい医学生コース

この段階の医学生は、気づけば自大学医学部の外にもかなり人間関係は増えてきて、ヘルスケア領域の外にも人間関係が少しずつできてきています。そこそこ色んな経験もしてきました。しかし自分が一体、どのような現象にどのような感情を抱く生き物で、思わずどのような行動をしてしまう生き物で、どのような軸(志や情熱、哲学や信念、世界観や価値観)を持っている生き物なのかを明確に言葉で表現することができない状況です。言葉にしてもうわ滑ってしまい、確信が持てない状況です。この時期には、自分の軸について仮説を立て、実際に行動を起こし、振り返るというサイクルを回しながら、自分の軸について言語化し続けて何度も人に伝える必要があります。自分の邪な欲、弱さや醜さを含めて、ありのままの自分と向き合い、それも含めてそれでも自分が願うものを言葉にする必要があります。

④粛々と働きながら自分を磨く医師コース

医師として、自分の軸を持って臨床、研究、起業、プロジェクトなど自分の活動に注力している方々を対象とします。自分の軸はまだ不安定だけれど、自分の軸を明確化していくことに前向きで、少しずつ世界を広げていきたい方々も対象とします。医師になると、世界を広げることに使う時間も体力も殆どなくなります。それでも大切なことは、平時の没頭に加えて、自分の軸をより一層研ぎ澄ませ、想いや考えを人や世に伝え、仲間やネットワークを少しずつ広げていくことです。そして年を追うごとに難しくなっていく、弱さや醜さ、青さや未熟さと向き合い続け、等身大の自分として周囲を巻き込んでいく力を養う必要があります。

リーダーシップ合宿

各コースで年に1回、リーダーシップ合宿を開催します。
合宿には各コースの参加者に加えて、別コースの参加者やMersonaに賛同してくださったヘルスケアリーダーの方々にご参加いただきます。

合宿ではトーキングサークルを使ったチームリフレクションを行います。私が最も好きで得意なワークショップです。




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