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ライブエンターテイメント市場がCOVID-19から受ける影響を考える

私がPASSKETという公演の予約管理サービスをやっている関係で、今回のCOVID-19が業界的にどれくらい厳しい状況なのか、過去のことも参照しつつ確認したいと思って調べた話です。既出のデータをまとめているので、既に情報を集めている方にとっては目新しいことはないかもしれません。

3月24日に首相官邸ヒアリングで出されたデータ

3月24日に行われた首相官邸で行われたヒアリングで「新型コロナウイルスによるライブ・エンターテイメントへのダメージについて」というぴあ総研調べのデータが提出されました。数値としては結構厳しいもので、現時点で中止や延期の影響での損失額が1750億円、5月末までこの状況が続くとさらに1550億円の損失が発生するとされています。

新型コロナウィルスによるライブ・エンタテインメントへのダメージについて

元のデータはこちら

この資料で出されたライブエンターテイメント市場の定義は

「ライブ・エンタテインメント」の対象とされる興行・試合・イベントとは、国内で開催され、入場料が必要な、 音楽コンサート・演劇・ミュージカル・スポーツ・その他のイベントのことである。その年間の市場規模は、 2019年の推計で約9,000億円。

とされています。
ただ、過去に出されている資料と定義が異なっていたりするのでその辺りをもう少し細かく見ていきたいと思います。

音楽、ステージ市場への損失1 チケット代

ぴあ総研は毎年ライブエンターテイメント白書を出しています。この白書で出しているライブエンターテイメント市場の定義は

音楽コンサートとステージのパフォーマンスイベント

とされています。2018年までの市場規模は下記から参照できます。

2000年から2018年までは下記のような推移をしています。

ステージ と 音楽

2019年のデータはまだ発表されていないですが、ここ数年の伸び率を考えると6100〜6200億円(うち、音楽が4050億、ステージが2100億くらい)くらいの規模ではないかと思います。
先程の資料と合わせると、全体9000億円のうち約3分の2が音楽や演劇、落語などのステージ系の市場であることがわかります。売上の損失額を単純に3分の2すると現状で1000億円超、5月末までいくと全体で2200億近い損失が発生することになります。

ただ、ぴあ総研のデータはチケットぴあ、ローソンチケット、イープラス、CNプレイガイドの取り扱い公演を元にしているので、これら事業者に「各種手数料を取られてでも委託したい」くらいの規模の公演ということになります。
そのため、もっと小さい規模の公演やほぼ手売りで扱っている公演は含まれていないので、実態としてはこれ以上に大きな損失が発生していると考えられます。

COVID-19と近いものでいえば、2003年のSARSが思い浮かびますが、前後数年はそこまでダメージがなく市場としては成長できています。
また、2011年の東日本大震災の際も多くの公演が中止になりました。その際は地域が限られていたこともあってか、前年比で96%の100億円近いマイナスとなっています(ただ、データを見ればわかる通り音楽のライブ市場はその間も伸びていて、ステージだけで100億近いマイナスが出ている状態です)。
2008年のリーマンショックに至っては個別に大変なところはあったと思いますが、トータルとしては伸びている状況です。

なので、ここ20年で見た場合、ほぼ成長基調で来ていた業界ですが、最も厳しかった東日本大震災時の年の20倍以上が3〜4ヶ月近くの間で発生することになります。普通に厳しすぎます・・・。

音楽、ステージ市場への損失2 会場代

さらに大きな問題は、ぴあ総研が出している数値があくまでも「入場料の減少分」でしかないことです。この辺りはぴあ総研が調査できる範囲の調査でしかないのでやむを得ないことだと思います。今、現実問題として大きいのは会場の費用問題だと思います。

すでに多くのアーティストが公表している通りですが、会場や劇場についてはキャンセル料が発生する場合が多くあり、売上もないのにかなり多額の費用が発生するという状況に悩まされています。
直近ではてがみ座の長田さんがこんな悩みを書いていました。

BAD HOPの横浜アリーナ公演キャンセルによる多額の負債の話を出てから1ヶ月以上が経ちますが、未だにお金の問題で公演を中止するべきか否かという悩みがついて回っています。。

もちろん会場側は会場側で生活があるので、キャンセル料を取ることを非難はできませんが、このままだと誰かが犠牲になることになってしまいます。
そして、金銭的な犠牲を回避するには公演を行うしかないため、先日のK-1のような事例が発生してしまいます。

 まとめ

ということで、ライブエンターテイメント業界は過去20年で経験したことのない大きな危機に瀕している状態です。
それでも補償の話が少しでもあれば、多少の我慢が効く部分もあると思うのですがそれなしに頑張れというのはかなり厳しいものがありそうです…。

SaveOurPlaceのような動きが出てきたことで、業界と政治家との間のパイプがつくられ、いち早く状況が改善されることを願うばかりです。


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