古本屋巡りして純喫茶で煙草を吹かしながらマスターに人生を語ってもらい愛について考えるエモーショナルな休日を過ごしました。


𝒉𝒂𝒓𝕞𝕠𝕖の新曲(2nd アルバム『radii』)(絶賛発売中)を聴いてたら、「そろそろ各曲の原作をちゃんと読むか(激遅)」という気持ちになったので、ちゃんと読むことにした。

(※𝒉𝒂𝒓𝕞𝕠𝕖を知らない人に説明すると、𝒉𝒂𝒓𝕞𝕠𝕖は世界各国のおとぎ話や童話、伝説などを各曲のテーマにしているのだ!)



さて、どうやって読むか。

ネット通販か、電子書籍か、はたまた図書館か。

俺は、古本屋を巡る事にした。

「一番非効率でワロタ」と思ったであろう。

店に行くのも、探すのも、人混みに突入するのもダルい。

俺も行きの電車でそう思った。

でも、仕事や日常生活で常に効率を求められているせいで、時たまクソほど非効率なムーブをしたくなる。このムーブは、俺のささやかなる社会への反抗なのだ。

わかるか、この気持ちが?

わかるやつは、疲れてるので俺と休もう。2ヶ月くらい。


と、訳の分からない事を考えてると1軒目に着いた。

大量の安売り本をワゴンで外に出しており、入口が全開になっている、都会のデッカイ商店街にありがちなデッカイ古本屋だった。

また𝒉𝒂𝒓𝕞𝕠𝕖の話に少し戻るが、今回のアルバムの曲は激マイナーで、全集とかにしか無いタイプの物語だったので、まぁ見つかりにくそう、と思ったが、1軒目からグリム童話全集があった。

あることにはあったが、全巻まとめ買いでしか売っておらず、デカさも値段もまぁまぁしたので、スルーした。

いま俺が欲しいのは2巻、それも『二人兄弟』だけなんだ。すまん、1,3,4,5巻よ。全て曲にするよう𝒉𝒂𝒓𝕞𝕠𝕖運営に言っておくからな。

ちなみに、『二人兄弟』はネットに翻訳されたものが当然のように転がっている。


ので、別に全集を買う必要は無いが、俺の心の槙島聖護が「紙の本を読みなよ」と囁きかけてくるので、電子は最終手段である(多分これ読む)。

そこそこ多様に古本・雑誌がある店だった。

アニメとか昭和くらいの雑誌とかもあったが、ゴンザレスのチープなオタク・タマシイに響くものが特に無かったので、何も買わず1軒目を後にした。


2軒目は、占いとかマジック(マジック?)とか整体とかパーソナルジムとか、商店街にある胡散臭さを大体集めました!みたいな案内がベタばりしてあるほっそい階段を登った先にあった。

店内は激狭。そして至る所に全く知らんふっるい本が山積みされてた。
片隅にあった少年ジャンプの山が救いだった。

デカオタクのゴンザレスには、文字通り肩身の狭い店だった。

それでも、何か隠れ家というか、秘密基地に来たような変なワクワク感があり、楽しかった。

その楽しさの末、この本を買った。



夢野久作だ。

いや、なんで?

と思ったであろう。

ヒプマイの夢野幻太郎の、名前の元ネタ作家だからである。

(Tips:ゴンザレスはヒプマイも履修しているぞ!夢野幻太郎の『蕚』は神曲なので、ぜひ聴いておこう!)


そして、その元ネタを求めて、過去に夢野久作の『少女地獄』を読み、気色悪さが良い感じだったので、有名どころの『ドグラ・マグラ』も履修したいと思っており、良い機会だったので購入に至った次第であります。
(この本はついでに他の話も引っ付いてるのでお得だネ!)


と、秘密基地をウキウキで退店したが、肝心の𝒉𝒂𝒓𝕞𝕠𝕖の物語は一冊も無かった。無念。


だが、まだ近くにめぼしい古本屋が4軒もある。

元町、古本屋充実しすぎだろ。

突然の土地名セルフ開示。
ここまでこの駄文を読んでる奴は山田ゴンザレス花子のことが確実に好きなので、所在地わかって嬉しいね。うんうん。
(店名はエゴサされると困るので全部伏せているよ)


という事で3軒目。

レビューをチラ見したところ、「絵本や児童書、雑貨があります!」とあったので、勝ちを確信し、マップを見ながらいざ進軍開始。

そして歩くこと5分。

俺は、本格カレー屋についた。

あれ、おっかしいな。カレーめっちゃ美味そう。

と思いつつ、本格カレー屋の前をウロウロする不審者になっていたところ、隣にほっそい階段を発見。

アパートの入口だと思っていた所が、店への階段だった。よく見たら「古本屋は2階」の案内があった。はよ気付け。

まぁ見つかって良かった、と思いながら階段を登った。

俺は、弁護士事務所の前に立っていた。

なんでやねん。

本屋の隣に弁護士事務所が入っているようだった。

カレー屋が下だから昼休憩が楽しみだね。どんなとこ拠点にしてんねん。案内出せ。

肝心の本屋はめっちゃ良い感じだった。

雑貨が良い感じに展示販売されており、レビュー通り絵本や児童書が良い感じに陳列されていた。

曇り空のおかげか室温も良い感じで、良い感じに開放された窓から、少し湿り気がありつつも不快感の無い良い感じの風と、通行人の程よく良い感じの談笑が吹き抜け、凄く良い感じの雰囲気だった。

そして、部屋にあるもの全てのサイズが少し低かったり小さかったりしていた事もあり、心がふわつらになった。


正直、全てを捨ててこの本屋で寝転がってずっと絵本読んでいたい気持ちになったが、非常に悲しいことにそういう訳にもいかないので、本を物色した。



ついにあった。

『幸福な王子』もとい『幸せな王子』。

みんな大好き「愛と呼ぶなら」の元ネタ絵本を発見。

これで神曲の解像度爆上げやで、グハハハ!


また読んだら本気の感想を書こうと思う。アウトプットすると、文章力とか関係無く自分の中で思考がまとまるのでやはりやった方が良い。𝒉𝒂𝒓𝕞𝕠𝕖歌詞真剣部に入部します。

という事で、『星の王子さま』もいつか読みたかったのでオマケで購入して退店。

最高の店でした。


続いて4軒目。


と5軒目は、特筆すべき事が無さすぎるので割愛します。立地も品揃えも普通のBOOK・OFFでした。


最後、6軒目。

レビューで「ミステリ多め!」とあったので、あまり期待せず入店。

当然のように激狭。古本屋は激狭にせなあかん法律とかあるんか?

鍾乳洞探検を思い出しつつ本を物色。

アンデルセン童話集を発見。

キタ━(゚∀゚)━!

と思ったが、有名どころしか入れてないタイプだったので、本棚へお戻りいただいた。

他はSFとか何か面白そうなの欲しかったが、店長がずっと他の客と話しててオススメ聞けなかったので、諦めの退店。




一通りめぼしい店を回り終えたので帰ろうと思ったが、雨が降っていたので近くの純喫茶に避難。

ついでにヤニゲージが切れていたので一服。

喫煙可にビッグ感謝しつつ、ケーキセットを注文。

ゴンザレスが過去に訪れた純喫茶かつ古風な雰囲気の店は、大体機械でドリップまでしている所がほとんどだったので、この店は全部手動で行っており新鮮だった。

気品溢れるマダムの特製ハンドドリップブレンド、お手並み拝見ってね....…

と、天堂真矢と初対面時の西條クロディーヌのモノマネを心の中でしつつ、コーヒーに口をつける。

激うま。

日常生活でコーヒー豆を専門店で買いハンドドリップで毎日入れているが正直全く味の違いとか分からないこの俺を唸らせるとは、恐れ入った。

そしてセットのケーキが到着。手作り感溢れる見た目からもう只者では無い雰囲気を感じる。

こちらも激うま。

舌触りの良いふわふわスポンジケーキ、どちゃくそ優しい甘さの後にすんごい爽やかなレモンの酸味が鼻に抜けるクリーム。



そして異常にコーヒーと煙草に合う。

まるでその為に作られたケーキやんけこれは..…。

と思いながら、珍しくスマホを触らず天を仰いでいたら、マスターのおばあちゃんがこちらにやって来て一言。

「あんた、何しに来たんや」

え???????
俺、何かやっちゃいました????

「入店するなり迷わずケーキセット。何でこれ頼んだんや?」

まじか、秘密の部屋に案内されたり暗殺依頼聞いてくれるムーブを無意識に決めてもた感じか。どないしよ、とりあえず暗殺依頼しようかな。

「ウチはケーキセット宣伝してないねん。それやのに迷わずケーキセットってことは、口コミとか見て来んかって」

あぁ、そういうことっすかw

「たまたまっす、近くに用事あったので。ヘヘッ」

ってキショスマイルで返事したら、

「1日12個しか作ってないから運が良かったな。どうや、美味いやろ」

ってドヤ顔してきたから

「クソ美味いっす!!!」

ってクソウマスマイルで返事した。

おばあちゃんもニッコリ。

(よし、楽しく話せたな.…)と思いコーヒーすすってたら、おばあちゃんがケーキとコーヒーの拘りを語ってくれた。

ワシの味覚は正しく、そもそもコーヒーメインの店だから、それに合うケーキをたった一種類だけ作っているとのこと。それも47年目になるらしい。凄い。

素直に拘りが凄かったので「凄い」と伝えると、おばあちゃんが照れながら「凄くないよ」と返してきた。凄く地元に帰っている気分になった。


そこから、おばあちゃんが"'人生''を語ってくれた。

今思い返すと何でこんな話になったのかよく訳分からないけど、「何故コーヒーにここまで拘っているか」からおばあちゃんの半生に話が移り、あれよあれよと話が広がり続け、気が付いたら人生にまで発展してた気がする。

ぶっちゃけ、年寄りの昔話とかめちゃくちゃ長いから聞きたくないし、なんなら俺は優雅に本を読むつもりだったから、さっさと話を切り上げたかった。

普段の俺ならそうしてた。

でも、今日はしなかった。

なぜなら、𝒉𝒂𝒓𝕞𝕠𝕖の2ndアルバムのテーマである「愛」を浴びた後だから。

人生なら、このおばあちゃんが持つ「愛」の価値観を少しでも垣間見れるのではないか、そう思ったのだ。

後、早起きしたから、そこそこ時間に余裕があったのだ。

おばあちゃんが話してくれた人生は、それはもう長かった。

気が付いたら1時間半くらいすぎていた。

大学の講義を思い出した。

そして、50年近く喫茶店のマスターしているだけあって話が上手いのかもしれない。

大学の教授より上手い。

全く退屈せずに1時間半経ってたのでかなりビビった。

あまりにも長かったので、話してくれた内容をざっくり箇条書きすると、

  1. 商売はムズい

  2. この店の会長は偉大。感謝している

  3. 会社で上を目指すなら所帯を持て

  4. 親は大切にしろ

  5. 手作業の方が真心がある





おばあちゃん、普通すぎるよ。

書き出して改めて思ったけど、おばあちゃん、ありふれた老人が話してくれる内容だよ、これは。

でも、目新しい教訓とか何も無かったけど、おばあちゃんの過去の話は物語として楽しく聞かせてもらったよ。 

かなり裕福な育ちだったようで、共感する部分とか無かったけど。

普通の内容だったけど「3.会社で上を目指すなら所帯を持て」「4.親孝行しろ」「5.手作業の方が真心がある」は"愛"に繋がるし、おばあちゃんの、遺言のような重みのある語り口調のせいで心に引っかかったから、少し話の種にさせてもらうね。

(※「人との話をネタにすんの、無理なんだよね」という方は、残念ですがここでお別れです)


まず「4.親孝行しろ」。

「親から子への愛は、実際親にならないと分からない」

「そして感謝を伝えたい頃にはもう親はいない」

っていう、まぁ話の詳細もかなりありがちではあるけど、70過ぎのおばあちゃんの生の声で聴くと重みが違う。

話聞いてる時、親孝行しようと本気で思っちゃった。

母ちゃん父ちゃん、そろそろ金返すからさ、待っててね。

それにしても、70歳超えても後悔が残り続ける親子間の愛は、もはや呪いに近い気がするな。

産まれた瞬間、人生で一番初めに愛を注いでくれるのは親だしね。


そして「3.会社で上を目指すなら所帯を持て」。

これは個人的に面白かった。

「所帯持ってない男は平のまま」っていう、海外と日本のデカめの企業を渡り歩いた(らしい)おばあちゃんの経験則に基づいた教訓。

ありふれた、

「結婚して責任感ある人間になれ」

的な主張に対しては、

「うるせぇよ、何でわざわざ責任を自分から負いにいかなあかんねん。メリット無いやんけ、ぶっ〇すぞ」

っていう意見をワイは持っているんだけど、

「所帯すら持ってない、家庭を統率できていない、いわゆる身近な責任感から逃れてる男に、会社の責任あることをを任せられるか?」

っていうおばあちゃんの意見はまぁ一理あると思ってしまった。

ただこれは、会社が人生の基軸になってる人間じゃないと持てない価値観だと思う。

一理あるとは思いつつ「会社の事は、会社内での実績で判断すべきやろ」という気持ちもあったので言い返したくなったけどwow wow BAD COMMUNICATIONになるから、やめた(根性無しオタク)

そしてこの後「所帯持ちは簡単に辞めれへんから責任押し付けやすいやろ」っていう最悪なこと言ってて爆笑してしまった。百理ある。本当に反論しなくて良かった。

で、少し長くなったけど、この話からも、おばあちゃんの愛に対する価値観が垣間見れた。

この価値観は、結婚を出世の為としか見てなくて、いわゆる夫婦間の愛が一切介在していないところが、話聞きながらエグいと思った。

ここで留意したいのは、「結婚による責任の発生、能力」は、「嫁さんを幸せにしてあげる責任、能力」じゃなくて、先述した通り「家庭を統率する(妻や子に指示を出して従えさせる)責任、能力」である。

(補足として、おばあちゃんは「嫁に「ご飯作って」も言えない男はほんまに情けない。そうはなるな」と、25歳独身童貞のこの俺に説教している)

まぁ、所謂「亭主関白」を是として生きてきたかなり上の世代の方なので、もうこの乖離はどうしようも無いと思う。

(後、おばあちゃんの育った環境が、仕事一筋だったのもデカいと思う)

そしてここからは推察になるけど、おばあちゃんくらいの世代だと、夫がデケェ顔して引っ張っていってくれるのが、夫から妻への愛の形だと許容されていたのかもしれないね。

この項のまとめとしては、「世代によっても愛の価値観はこんなに違うんだね」って事です、はい。


もうブログ全体がクソ長くなっているけど、「4.手作業の方が真心がある」にも触れます。

これはガッツリ愛ですね。

そして良くありがちな主張であり、ワシの仕事をゴリゴリに否定する過程での発言。

この主張は、先述した「コーヒーのハンドドリップ」と「1日12個の手作りケーキ」に直結しますね。アツイ伏線回収だ。

50年以上、筋を通して向き合っているおばあちゃんをワイは素直に尊敬します。

そしてこの主張にも半分賛同です。

なぜなら、山田ゴンザレス花子は、最推しのはるちゃんに手紙を出す際に手書きだからです。
愛ですね。愛しかないです。岩田陽葵さん、ビッグラブ。

そして、ワイの超個人的な話になるけど、"半分"賛同としているのは、いわゆる"機械による作業"にも真心があると思っているからですね。

その機械による作業を作り上げるまでに、どれだけの真心を込めて、どれだけ真剣に向き合ってる人達がいると思ってるんやと、ワイは言いたい。

「便利にしたい」「人の助けになりたい」等の気持ちに愛が存在しないわけが無いだろ、と。

(そう言い切りたいが、俺の場合は知的欲求が動機の半分を占めているし、機械による作業は"産業の自動化"の延長とも捉えられるので、ぶっちゃけ説得力はあんまり無い)

 


とまぁ、ここまでダラダラ書いたけど、育った環境や世代で愛の持つ意味はかなり左右されるね、って感じ。

ただ、ここで投げ出さず愛について向き合い続ける行為、それが愛なのかもしれませんね。





はい。ええこと言うた所で、本日の成果物を改めて見てみよう。

今日の本題は、本を集めることだからね。




全然集まってへんやんけ。

一冊だけやん、𝒉𝒂𝒓𝕞𝕠𝕖に関係あるの。

ただ、半分くらいは普通にネットで読めるので、まぁ。


心の槙島聖護に反旗を翻し、電子で読むか。

もう今日1日の冒険で満身創痍や、すまん槙島。


とにかく適当に寄った喫茶店のおばあちゃんが強かった。

話の終わり際には、

「あんた25?そんな歳で煙草吸うな。もっと年取って苦労してから吸え。若いうちから苦労感じてたら終わりやで」

「とりあえずはよ結婚して責任持ちな」

ってめちゃくちゃ説教してきて笑ってもた。

俺のオカンよりオカンやん。

もう話の締めがそれで、訳分からんなったからバカスカ吸いながら

「そっすね、ガッハッハッw」

って言ったら、無視された。

でも「話聞いてくれてありがとね、またおいで」って帰り際に言ってくれた。

好き。

これが"""愛""""か。

そしてここまで読んでくれたお前も、愛。 



最後に、𝒉𝒂𝒓𝕞𝕠𝕖以外の、"愛"を叫んでいる楽曲を紹介して終わります。

それでは聞いて下さい。

BUMP OF CHICKENで『新世界』


本日のメインMCは山田ゴンザレス花子でした。

また次回の配信でお会いしましょう。

おやすみなさい。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?