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harmoe 2nd LIVE TOUR「GOOD and EVIL」 EAST公演に参加したぜ

 WEST公演に引き続きEAST公演にも参加したので、改めて感想を残しておく。

 前回はツイートみたいなノリで1曲ずつ振り返ったので、今回はそこそこ真面目な感じで、あまり触れていなかった(というか記憶飛ばしすぎて触れられなかった)大筋のストーリーや衣装、ダンスなどにも触れつつ、全体の感想を書き残していきたいと思う。

 前回は「世界」という大枠で個々の物語、楽曲達を繋ぎ合わせていて、今回はそこに「ヴィランズ」っていう毛色の違う楽曲が入ってきたので、「音楽と物語はいっしょに歩く」というコンセプトを保ちつつ、ライブ全体の流れを組むのがより難しくなるんじゃないかな、っていう懸念があったけど、そんな心配を余裕で吹き飛ばすほど丁寧で素敵で、アツい世界観を魅せられて本当に感動した。

 個々の楽曲の基底にある「物語」については、リリースされた時点でそれぞれの楽曲の中で再解釈されて完結してるので、それをライブという舞台でごちゃ混ぜにすると違和感が産まれるのは必死だと思っていたけど、今回は「図書館」という大枠を使って、中村彼方さんの描くストーリーと練られたセトリが、違和感無く全ての物語を繋ぎ合わせてて本当に天才だと思った。

 エレクトリック・スポットライト・ガールズで図書館に向かい、空想エスケープで本を開き、今回の「GOOD and EVIL」の物語が始まる。

 この2曲目の空想エスケープが怪物だった。全体をRemixにするのでは無く、ラストのみを重くて格好良いヴィランズ風の音に変化させる事で、次のBrilliant and badへの足掛かりとなっているのがシンプルに刺さった。そして締めの歌詞が「私は私のものさ」に変化しているのもあまりにもカッコイイ。「ドレスは脱ぎ捨ててさぁ!」の意味合いも、いつもの可愛らしさとは違う小泉さんの力強い演技のおかげで全く異なる印象を受けた。その後、衣装の一部を実際に脱ぎ捨てて次の曲に移るのもシンプルに良い。オタクは、アーマーのパージが大好きなので。
 
 そして、この空想エスケープをRemixに、ヴィランズへの橋渡しに使った意図は、ライブ中盤で「ランタンに照らされて𝒉𝒂𝒓𝕞𝕠𝕖の影(悪)が浮かぶ」という語りでしっかりと明かされている。前回の唐突なきまぐれチクタックのRemixも、意外性という点では勿論良かったが、今回のように大筋のストーリーと楽曲の変化が符号している方が、𝒉𝒂𝒓𝕞𝕠𝕖のコンセプトの説得力が増していると感じた。𝒉𝒂𝒓𝕞𝕠𝕖のお2人のパフォーマンスの進化は勿論、ライブ全体のクオリティも前回よりレベルアップしているように感じた理由の1つはここにあると思う。


 Brilliant and badで完全にEVILサイドにシフトした後に、「眠れぬ森」「VOICE」をぶつけてくる。もうこの2曲についてはWEST公演の感想でそこそこ書いたのだが、個人的に、眠れぬ森は岩田さん、VOICEは小泉さんのヴィランズぶりを存分に堪能出来る楽曲だと感じているので、この流れには本当に唸った。WEST公演とは違い、前列中央と、お2人の表情がよく見える位置だった為、EAST公演ではガッツリ堪能させてもらった。

 眠れぬ森では、開幕の「nocturnal me」の岩田さんの表情がエゲつない。上手く形容できない自分の語彙力の雑魚さに腹が立つ。いつもと同じく歌唱中に笑みが垣間見えるが、普段の可愛らしさはほとんど無く、妖艶な笑み、恍惚な笑み、見下すような笑みなど、「笑みにも200種類あんねん」と思わず心のア〇ミカが俺に囁きかけるほど、たった数分の中で多彩な笑みを魅せられて危うく死ぬところだった。

 VOICEの開幕は、余裕と強さを秘めた表情で待ち受ける小泉さんが堪らない。王道のラスボスの貫禄。シンプルにカッコイイ。好きだ。これまでに感じた事の無い圧のある低音で歌い上げる姿にも痺れた。そしてセリフパートでは、ただでさえ大きく零れそうな眼を更に見開き、言わばキマった状態の鋭い眼光で声を奪いにかかる姿に圧倒された。そして締めの高笑い。あまりにも魔女そのものだった。ゾーンに入った女優・小泉萌香は最強なのだと思い知らされた。

 VOICEの後にpassport、マイペースにマーメイドと、同じ人魚姫がベースになっている楽曲を繋げ、自然にGOODサイドに戻ってくる。シンプルで意外性は無いが、GOODとEVILが揃っている物語にしか出来ない事なのに加え、こちらとしても見たかった流れなのでもちろん不満は無い。また、衣装の一部にCANVAS SESSION IIを想起させるスカートが着いているのも非常に良かった。

 SKITを挟み、前述の空想エスケープの変化の意図を説明した後、第2幕に進む。

 ここで大きく衣装が変わり、善と悪が入り交じった白と黒の衣装になる。ミリタリーロリータと言うらしい(フォロワー情報)。ド性癖。カッコよすぎる。好きだ。個人的に、2人ともほぼ同じ色・形状の衣装は珍しいなと感じていたが、衣装の色が真ん中で白と黒に分かれている為、やや外向き〜背中合わせで立った時に白と黒の対比が浮かび上がるので、なるほどな...…と思った。

 このハチャメチャにカッコイイ衣装を纏い披露されたアンチクライアント。当然のようにカッコイイ。アンチクライアントは曲自体がかなり激しく暴れているので、ダンスもそれに応じてバチバチに踊るのかと思ったが、そうでは無かった。むしろその逆で、意外にも落ち着いた部分が多かったように思う。ゆっくりと体を揺らし、観客側を静かに見据えながらステージを練り歩く。激しく荒ぶるのではない、静かに構える強者の余裕。そこから与えられる確かな圧は、既存のどの曲にも無いものだと思う。他の曲では、2人で向かい合うダンスをする事が多い印象があるので、そこも新鮮だった。その強さ、圧が存分に発揮されているのは「金銀に宝石」からだと思う。ハチャメチャにカッコイイ。ダンサー含めて一列になり片腕を突き上げながら静かに体を揺らす、ゆっくりと銃を構えてからの蹴り。カッコよすぎてデケェ溜め息が出た。素晴らしいダンスを、ありがとうございます。

 続くUnfair MirrorからのLove is a potionは、鏡の割れる音と同時に繋ぐのが割と無慈悲だと思った。が、Love is a potionが爆速配信されたので、歌詞を見つつ改めて振り返ってみると、鏡が割れたのかどうか分からない状態の上で、「本当の美しさは映せないMirror Mirror」と、鏡に固執している女王に対して言葉を紡いでいるで、全く無慈悲なんかではなく、ある種の救済になっているんじゃないかと感じた。

 そこからブルー・フェアリー、SKITを挟み、物語は終結に向かう。そのどちらもが紛うこと無き私(達)である、という結論を以って。

 まず、QUEENの歌詞を引用してツアーのタイトルを回収して綺麗に締めているのがシンプルにアツくて秀逸だと思う。
 また個人的な解釈なんだけど、きまぐれチクタックとQUEENは、善と悪で対立しつつも「内なる欲望を解放して生きようとしている」という点だけ見ると、本質的な違いは無いと思ってる。ので、今回のように、善と悪を切り離した対立構造を維持するのではなくて、共存する形で締めてくれたのはかなり解釈一致だった。

 そしてHAPPY CANDY MARCHで初めて2人が観客にダンスやコールアンドレスポンスを呼びかけてきて、「GOOD and EVIL」の物語が終結した事を実感する。最後、手の長さを比べるような振り付けで、2人とも笑顔で終わるのが本当に良かった。この曲を最後に配置してくれて本当にありがとう。

 
 アンコールではharmoeコールが沸き起こった。正直、少し恥ずかしさがあったが、最終的にお2人が喜んでおられたので、コールに乗って良かったと思った。
 一寸先は光からのharmony to the Westは、もう定番にしても良いくらいアツい。来るのが分かっていてもテンションが上がる。ハピキャンに続き、声出しで曲に参加出来たのも楽しかった。
 ハピキャンからアンコールまで、ふたりピノキオまでの流れとはまた違った雰囲気を堪能でき、1つの時間で幾つものライブを浴びた気分になった。

 
 そして本当の最後、セピアの虹。この曲は、大筋の物語やアンコールとはまた違い、「全て演じ切った後の𝒉𝒂𝒓𝕞𝕠𝕖」を感じられる、特別で、ライブ全体の最後にふさわしい楽曲だと、改めて気付いた。

 初披露のヴィランズ楽曲達はもちろん良く、既に何度も披露している楽曲達は、歌い方の抑揚の付け方、ダンスの魅せ方、表情の変化など、女優として成長し続けている𝒉𝒂𝒓𝕞𝕠𝕖のお2人に合わせて、確実に進化していた。


 今回のライブを経て、EVILの物語もいっしょに歩くように変化した𝒉𝒂𝒓𝕞𝕠𝕖、音楽と物語とともに成長し歩み続ける𝒉𝒂𝒓𝕞𝕠𝕖が、今後どのような世界を魅せてくれるのか、今からワクワクが止まらない。

 𝒉𝒂𝒓𝕞𝕠𝕖が描き続ける世界を、これからも追い続けたいと思う。

 本当に、最高の時間をありがとうございました。


 



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