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#15 やめてほしいことがある時は・・・意図的に言葉を使ってみる

DAY15。

こうしてほしいと言うことがあるときは、禁止しない

今朝のひとこま。
リビングで、末っ子が後ろに下がりながら歩いていた。
次男と祖母が一斉に「後ろに下がると危ないよ」と話しかける。
末っ子は、ニヤリと笑ってもっと後ろに下がる行動を続け、2人はさらに後ろに下がると危ない理由を末っ子に伝えて、説得しようとする。
ちなみに私は、隣室でメイク中。手が離せなかったのもあって、見守っていました。

末っ子の年齢は2歳前
刺激が来れば、それに気をとられてしまう年齢だ。

意思が出てきた小さい子には

このくらいの歳の子が何かやっているのをやめさせようとするときは、今やっているより「もっと楽しいこと」を目の前に見せて、半ば強制的に、だけど自然に切り替えさせてしまうのが、手っ取り早くておすすめだ。
例えば、後ろ向きに歩いてて危なかったら、「あ、見て!ぞうさん来たね~」とお気に入りのぬいぐるみの出番。これで、けっこう切り替わってくれたりする。子どものタイプにもよる。おもちゃよりも、ごはんを見せるのが切り替わりやすい子もいれば、おもしろいことに反応する子もいる。
いずれにしても、禁止したい行動に直接「NO」をいうのではなくて、もっと楽しい何か、をかぶせて、パッと興味をそらせるのがいい。

2歳をすぎ、もう少し成長して記憶力が育ち、こだわりが出てきて、ちょっとやそっとのことには騙されないぞ(切り替えさせようとしても、ちょっと前のことを覚えている)、というくらいの知恵がついてきたら、また違う。
子どもが今やっている行動の延長線上に、気をそらすことをもっていくのがオススメ。
例えば、禁止したい行動が後ろに下がる動きだとするなら、どんなニュアンスで子どもがその行動をしているか観察してみる。
その後、一緒に同調してその行動をする。「トラック、ピーピー」と動き出していって、「では前に進みます。くるっと止まります、では、しゅっぱーつ!」などと言って動きを変え、今度は前に走る遊びに変えてしまう。
この時も、コツは、否定しないことだ。子どもがやっていることを一緒になってやってるように見せかけて、流れに乗ったまま方向を好ましい方向に変えてやるのだ。
これは、ちょっとパズルのよう。禁止したい(やってほしくない)行動と、持っていきたい(好ましい)行動を結ぶ「何か」を見つけ、それを結んでやるのだ。楽しく、できるだけ自然に。

子供は、困らせようと思って、大人が嫌がる行動をしているわけではない。ただ楽しいからやってしまう、やってはいけない理由が理解できてないことがほとんど。
子どもにやめてほしいことがらの多くは、大人の都合であることや、子ども自身が”危ない”ということが経験としてつながっていない場合、迷惑がかかるいう概念が存在していない、など、悪いと思ってやっていないことが殆どだ。
「やめなさい」と言わずにやめさせられるなら、叱る側も労力が少なくなる。ゲーム感覚になる。そして何より、怒られてばかりで自己肯定感が下がるということがないのもいい。

いたずら好きな幼児期

4,5歳になれば、いけないことだけどやってみたい、という感覚が育っていく。それ以前の小さな子どもたちに対しては、禁止したいときに、「だめだよ」といった言葉がけや、やってはいけない理由を説明してしまうことは逆効果である。言ってみれば、スポットライトを照らすかのように、そこに集中してしまい、その禁止したい行動への気持ちをかえって強くしてしまうのだ。

少し知恵がついてからでも、同じように、叱ることで、その行動が繰り返されてしまうことがある。普段寂しく感じていたり、うまく不安などを伝えられなかったりする子どもが、いけない行動をすると叱られるとする。叱られているときには、注目されてる感覚があるので、子どもは無意識に、「この行動をまたやったら、大人が反応してくれる、かまってくれる」と学習してしまう。すると子どもは、次にまた同じ行動をとってしまうことがある。なんてことがある。下の子が生まれたときに赤ちゃん返りとともに困った行動をしたり、など、環境変化でストレスを感じたり、親が忙しかったりするとそんな行動に出てしまうことがある。
そんなときは、ダメダメ言っても効果はなく、1対1の時間を取ってみたり、叱って注目を与えるのではなくできたときにほめてあげたり、いつもよりも気をかけてあげたりするといい。(私もいつもできているわけではないですが。つい怒っちゃうときも多々あります)

学童期の子どもを、こう動かしたい

学童期になったら、論理が分かるようになってくる。話が理解できるようになっても、やめてほしい行動にフォーカスしない(深刻だったりちゃんと伝えなければいけない内容なら、しっかり伝えますが)。逆に、やってほしい行動を端的に伝える、これがコツだ。
廊下を走ってる子に、「危ないよ!走らない」と言うより、「廊下は歩くよ」の方が、子どもの耳に入っていく。手が出そうになってたら、「叩かないよ!」ではなく「言葉で言おうね」「嫌だ!って言っていいんだよ」。
給食で(全員が残さないことが美徳だとは私は思っていないですが)「残さないよ」よりは「全部食べようね」。

子供が好ましくない行動をしている時、できるだけ、そこに心を残さず、さらりと流して好ましい行動に変えてしまえるのがいいと思うんです。
mitteの日登美さんは、「しなくていいよ」という声がけも効果的と伝えていて、これは私もそうだと思います。

大人の場合

もっと言うと、大人も一緒。大人の場合は、意識を向けたり外したりできることを使って、意図的に働きかけられる。
ちょっとステキな小箱を目の前に置かれたとしよう。ただ「触らないでね」と言われてそこに置いてあったら、気にも止めずに過ごせるかもしれない。だけど、「いい?とーっても大事なカードが中に入ってるから、絶対、絶対、触らないでね!中を見ちゃだめだよ。人には言えない私の秘密が書いてあって、誰にも知られたくないの。絶対見ないでね」なんて言われたら、ついつい知りたくなってしまうのではないだろうか。

このとき、実は、「ぜひ見てね!」と言われるのも「絶対見ないでね」と言われるのも、気になることには変わりがない。意識ということを考えたとき、禁止する働きかけも、肯定的な働きかけも、気になることには変わらず、意識することにおいての区別はない。そこには意識する強さ、ひきつけられる度合いの違いがあるだけだ。

意識を使う。対・自分の場合

これをどう使うかというと、「いやだ」「むかつく」「やめたい」と頭の中で思っていたら、それは積極的に集中を向けているのと同じ効果があるということ。忘れよう忘れようと思っても、逆に脳裏から離れないように。そんなときは、意識の外に、自分ではずしてやるのだ。
どうやるか。それは、気づくこと。気づいたら、次の一手が取れる。別のことを考えて、思考を追い出すもよし。瞑想やヨガなどをして、グルグルする思考をクールダウンするもよし(こういった精神的な練習は心の働きを沈めるように設計されているので)。行動を何かしなくても、気づくだけで変わっていくのだ。

対・他人

対人関係以外に応用する以外にも、こういった意識の作用を利用して、逆に相手の心をひきつけるやり方もある。やってほしくないことに注力しない、という主旨からは少しそれるかもしれないが、不完全な状態や違和感のあることをうまく織り交ぜることで、相手が「気になる」状態を意図的に作り出すこともできる。
やり手の営業の人の会話術、広告を打つときの文句、文章を書くときなど、不快ではないが少しだけの違和感、「ん?」という感覚があると、人の心に残りやすかったりする。

皆さんは、どうだろうか。
子どもがやってほしくないことがあったら(子どもに限らず)、怒ってしまうこともあるかもしれないが、つい怒ってしまう前に、自分の働きかけを観察してみてはいかがだろうか。そして、それで、自分も子どももハッピーになれたらいいな、と思っている。

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