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絵を描くことは才能だ


私は絵を描く人間だ。

物心ついたときから鉛筆を握り、たまごっちやらケロロ軍曹やら人の身体に動物の顔がついた異形やらいろんなものを描いてきた。

飽きっぽくてまともに物事を続けられた試しのない私が、唯一続けることができているのが絵を描くことだ。

だからといって私に絵の才能があるかと言われるとそうでもない。あったら今頃もっとすげえ絵を描いて1万RTとかされている。


最近ちらほらと「今まで描いたことないけど絵を描いてみたいんだよね」という言葉を聞く。

その度に私は「描いたらいいじゃん。むしろ描いてよ」と言う。
別にその人のためを思って言っているとか、そういうわけではない。「その人がどういう絵を描くのか知りたいし、純粋に絵が見たい」というただの個人的願望からである。

絵を描くにもいろんなモチベーションがある。
絵を描くという行為そのものをしたい、とか。
絵を描くことで自分の中にある精神的な何かを表現したい、とか。
自分の想像をカタチにしたい、とか。
好きなキャラを描くことで自分だけのその人を形作りたい、とか。
いい絵を描いてバズりたい、とか。 

どんな思いで絵を描いたっていいのだ。
結局できる絵は同じだし。
ぜひ絵を描き続けようと思えるモチベーションを探してほしい。

せっかくなので私が絵を描く上で大事だなと思うことをいくつか書き連ねてみる。
※ここに書いてあること、だいたいさいとうなおき先生が動画で言ってます。その中で私がこれいいな〜って思ったものを抽出してるだけ。


◯好きな絵師さんを見つける
たぶん「好きな絵」っていっぱいある。
私もいっぱいある。スマホの画像欄が絵で埋まるくらいめっちゃある。

大事なのは「この人の絵、だいたい好きだな」「この人の絵を自分で描けたら楽しいだろうな」って思える人を見つけることだ。
「この人の絵……自分の絵の延長線上にいる気がする……!」みたいな人を見つけられたら最高。

別に何人いてもいい。途中で移り変わってもいい。めっちゃ上手い人でもいいし、そこまで上手いわけじゃないけど好きな絵でもいい。

これは「絵の描き方の目的地とルートを設定する」ことが目的だ。
絵を描いていると、あんな絵を描きたいな、こんな絵も描きたいな、と思ってしまう。
でも最初からあっちこっちうろうろしていたら、おそらく絵を描く人の大前提の目標「絵が上手くなる」に辿り着くためにめちゃくちゃ時間がかかる、気がする。

だからとりあえず「今はこういう絵の描き方をするぞ」とルート設定をする。
そしてその道筋を辿って上手い絵を目指す。

「この道、私にはちょっと合ってないかも」って思ったり、「なかなか到達点が見えないし何か飽きてきたわ」って思ったら途中でルートを変えてもいい。

そうやって自分の1番登りやすいと思える道を見つけられたら、あとは進むだけだ。

◯言語化する
個人的に1番大事だなと思うのがこれ。

・好きな絵を言語化する
先ほども言った通り「好きな絵」っていっぱいあるはずだけど、そこから一歩進んで「なんでこの絵が好きなんだろう?」と考える。
これはできるだけ具体的に考えるべきだ。
「この絵の目の塗りがいいな。ハイライトの位置がこのへんなのがかわいいんだな」とか、「影の塗り方が好きだな。このあたりにこういう感じでグラデーションついてるのが綺麗だな」とか。

そうしているうちに、「この絵が好き」って思う理由に共通点が見つかってくる(はず)。

例えば私はいろんな好きな絵を眺めているうちに、
・彩度があまり高くない
・かわいいか綺麗かで言えばかわいい
・テクスチャが効いている
・線画も鉛筆っぽい
・あまり繊細すぎず、シンプル
みたいな絵が自分の心に1番刺さりやすい絵だな、と気づいた。

そうしたらその要素を詰め込んだ絵を描く。それだけで自分が好きだと思える絵に一歩近づけるはずだ。

・自分の絵の改善点を言語化する
絵を描いたら、描いた直後はともかく、2、3日経って見返すとだいたい思う。
「なんか……変では!?」

なんか下手だな、で終わってしまったらただの下手な絵になってしまうけど、「この絵、なんで変なんだろう?」と考えてみる。
「なんか頭長いな」「目の位置がおかしくね?」「胴体長……」「手の関節どうなってんの?」「服の影なに?」
……多分、自分の絵に対する罵詈雑言が頭を飛び交うことだろう。
この絵を抹消してしまいたい気持ちやうまく描けない自分を罵倒したい気持ちはいったん置いといて、次は「じゃあこの絵はどうしたらもっと上手くなるのか」を考える。
「頭のてっぺんはもう少しこのくらいの位置がよかったな」「目の位置はもっと内側に寄せて、高さももっと下だったな」「胴って自分が考えてるよりこのくらい短くていいんだ」「手はもっと観察して描こう」「服の影って他の人の絵を見たらもっと濃くてよさげ」
罵詈雑言を次に絵を描く自分へのアドバイスに変えていく。
趣味の絵なんて仕事と違って失敗しても誰も何も言わないんだからそのうち改善できればいいのよ。
きっとこれに気をつければ次はもっといい絵が描ける、そう思うとなんだかまた絵を描きたくなりませんか?


◯妥協しない
時間がない時はこの限りではない。
でも時間の許す限り、妥協しないで描いた方が絶対絵は上手くなると思う。

線画に入ってしまったら直すのめんどくさすぎるので、できるだけ下描き段階で修正を終わらせておいた方がいい。
できれば下塗りだけでいいので色をつけておくと、形に違和感がある場所が分かりやすくなるし色のバランスも見られる。
線画や塗りでもなんか違和感があったら容赦なく変えちゃう。

ちょっとでも変だなって思ったらどんな細かいことでも見逃さない。とにかく違和感がなくなるまで試行錯誤する。
私はクリスタしか分からないけど、縮小して全体を見たり左右反転したり自由変形でぐにゃぐにゃしたり色調補正のゲージうろうろしたり描き足したり消したり、とにかくできることは全部やる。

全体のバランスに関しては、それぞれのパーツが相互に影響しているので違和感の原因を見つけるのが多少難しかったりする。正直頑張って見つけてくれとしか言いようがない。
脚長すぎるなって思ったら実は頭が小さすぎただけ、とかあった。頭痛治らんなと思ったら実は肩こりが原因だったみたいな感じ。こわ。

「自分はまだ初心者だしこんなもんか」という気持ちはできるだけ取り払った方がいい。
だってすでに「ここ変だな」って思える目があるから。
技術的にどうしようもない面はともかく、いろいろぐにゃぐにゃして自分のできるベストを尽くす。
地道に変なところを修正していって、最後に出来上がったものを見たらきっと「これ本当に自分が描いた?」って思えるに違いない。私はなる。


◯資料を見る
見ないと無理〜〜〜!!!

世の中にはインターネットという「腕を組む 人」と検索欄に入れたら腕組んでる人の画像をたくさんお出ししてくれる便利な代物があるので、使いましょう。
基本トレスはだめなので見ましょう。
位置、比率、角度、影の位置や形、全体のシルエット、その他いろいろガン見してできるだけその通りに描きましょう。

自分の想像はだいたいその通りに出力されません。視力が悪ければ眼鏡。耳が聞こえにくければ補聴器。絵を描くのが難しければお手本の画像。そのくらいの気楽さ。




他にもいろいろ大事なことはあると思うけども、パッと思いつくのはこれくらい。
こうやって書くと絵を描くのって超面倒だね。なんで続けてるんだろう。

これまで書いたことはもしかしたら最初は難しいかもしれない。
でも今自分ができる限りのことをやっていたら、自ずと経験値が貯まっていくはずだ。
絵って突然レベルが上がってスキルが追加されたりするので、この前まで出来なかったことが今日なぜかできるようになってたりする。

昔完璧に思えた絵(自分のでも他人のでも)が「あれ、なんかおかしいな?」って思えたり、「苦手だったところが描ける!描けるぞ!」ってなれたら、それは成長している証だ。やったね。



今「絵を描いてみたいな」って思ってる人。
イラストソフトやアプリをDLしてみた人。
ペンタブを買ってみた人。
実際に絵を描いてみた人。

みんなすごいと思う。だって大人になってから「何かをしたいな」って強く思ったり、それを行動に移したりすることって意外と難しいと思うから。

そういう人にはもうすでに「絵を描く才能」がある。
だからどうかその気持ちを腐らせず、大切にして絵を描いてほしい。そしてこんな私の絵のレベルなどさっさと追い越してほしい。私にかわいい女や顔のいい男の絵を見せてほしい。

たぶん悔しさで咽び泣きながらいいねを押し絵を保存すると思います。

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