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【参加録】村上健志の俳句実況(月百句Vol.5)《自作句あり》

【はじめに】
この記事では、2021年8月21日に「フルーツポンチ村上の俳句の部屋」で、行われた俳句実況「月百句」の第5回放送に参加した記録を、私の添削句や自作句を交えてご紹介していきます。

0.オープニング

(1)長尺の配信について

昨日の2時間超の配信に続き、土曜日夜の今日も2日連続開催となった「俳句j実況」。この後、深夜ラジオの収録が控えているということで、昨日ほどの長丁場は出来ないものの、目標は4句(84→80句)と宣言してスタート。

当日の昼には、『狩野英孝』さんの『25時間生配信』にゲスト参加してて、丁度テレビでは『24時間テレビ44』が放送されていることを念頭に置いてのトークだったかとは思いますが、1~2時間の配信でも十分楽しいですよ~

(2)歳時記の季節区分について

と、こうした生配信などにお呼ばれした時に、俳人としての活躍を知る仲間からは『1句作ってよ』と無茶振りされることが増えた村上さん。それ自体は良いのですが、本人曰く『変に俳句やっちゃってる』。俳句の知識を他者が理解していないことのギャップに悩むこともあるんだとか。

『俳句歳時記』の世界では、「二十四節気(にじゅうしせっき)」と元に、太陽の高度から、季節を分類していて、

・立春(2月)から「春」
・立夏(5月)から「夏」
・立秋(8月)から「秋」
・立冬(11月)から「冬」
   +
・正月(1月上旬)は「新年」……新正月と旧正月のギャップ埋め

と「5つの季節」に分類するのが一般的なのですが、ここで多くの方が特に気になるのが「8月が秋」となることです。村上さんも、真夏8月のロケで俳句を作るのですが、『秋の季語』を使うと微妙な反応をされてしまうそうで、そこに一言物申したい(?)感情があるようです。

私もそこでコメントしたのですが、『「夏を5か月」とった歳時記を発案』したので、そちらの記事もぜひご参照ください。(↓)

1.席題:色を入れる

たくさんテーマが来ていましたが、その中で選ばれたのは、「色を入れる」という席題。ただ、色も無数にある中で構築しなければならないという非常に難しいのが1個目のテーマ。早速、難題にドツボに入ってしまいます。

色もコメント欄から貰い、「緑色」と決まります。そして、緑色から絵の具の「ビリジアン」を連想し、そこから俳句の糸口としようとします。確かに「ビリジアン」って名前がカッコいいんですよねー、思い出しました。

※ちなみに、「ビリジアン」とは、鉱物の名前で、それに基づく色の名称。

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そして、なぜ「絵の具」に『みどり』が無くて、『ビリジアン』があるのかという理由については、村上さんがネットサーフィンで見つけていました。

黄色と青色を混ぜて、みどりの絵の具は作れますが、「ビリジアン」という発光色は他の絵の具を混ぜても作り出せない。他の色を組み合わせても出来ない色については、その基本色として「絵の具」がラインナップされてるということです。そんな雑学、どこかで聞いたことありますねぇ。

などと10分以上「ビリジアン」にこだわりますが、結局「月」を入れることが難しいということで断念。動画開始30分あたりで、緑色に戻り再スタートとなりました。

しかしそこからが早かった。「グリーン」と英訳をし、「グリーンラベル」という商品名にたどり着きます。そうすれば日常を切り取るのに定評のある村上さんですから、数分で俳句が出来上がります。それがこちら。

【 1句目 】
『二本目からはグリーンラベル月の宴』 村上健志

色を入れるという縛りがあるので、この形ですが、席題を外れれば、もっとすっきりと字余りでなく句を作れそう。『月百句』はあくまでも修行ですので、他に提出することとなれば、席題を踏み台にして飛躍しましょう!

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《 Rx自作句 》

それでは私も「緑色(グリーン)」で作句してみようと思います。

①『ビリジアンに凝る美術部員や繊月』 Rx

「ビリジアン」にこだわる村上さんの姿を美術部員に置き換えてみました。『美術の秋』が近づく秋の美術部は、鉄板な情景だと思います。
夜の月だと何時までやってるの? となりますが、繊月(二日月)が浮かぶ夕方ぐらいならば、「凝(こ)る」という動詞とも繋がるかな、と。

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2.席題:月の光 & 名曲

そして、2つ目のテーマを呼び込む直前、香港の視聴者さんからこんなスパチャが寄せられ、2つ目の席題が決まりました。

明日(22・8)は『月の光(Clair de Lune)』などで有名な作曲家クロード・ドビュッシーの誕生日なんで、『月の光🎹』で詠んだらどうでしょう、後で一句に名曲を入れること。

『月百句』をやっている最中に、こんな素敵な『今日は何の日』に気づけるお方が凄すぎます。ただ、選んだものの、めっちゃ難しい席題ですねww

コメント欄から『ライブハウスの音漏れ』というアイディアが寄せられて、村上さんは2~3音のジャズっぽい or クラシックっぽい名曲をご所望。

そして「カノン」と「ボレロ」が寄せられ、選ばれたのが、ボレロでした。

そうですね、ジャズアレンジもあるし村上さんのイメージに近いのは、この2択なら「ボレロ」な気がしました。そして、出来上がった句がこちら。

【 2句目 】
『月の光音漏れの『ボレロ』に拍手』 村上健志

着眼点がオシャレだし、月の光から入ったことで更に雅な感じになります。

コメント欄では「音漏れ」という語が、『イヤホンの音漏れ』に感じるんじゃない? って意見もあり、確かにそうかもと思いましたが、流石に名曲がイヤホンから音漏れしていたって「拍手」はしないだろうとも思いました。

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私としては『運命』など一般名詞としてあるものなら別ですが、『ボレロ』は曲名という印象が強い言葉なので、敢えて『 』を付けなくても、音漏れが先に来ていますし、良いんじゃないかなって思いました。ただ、村上さんが残したいと仰る気持ちも分かるので、そのままで行きたいと思います。

《 Rx自作句(オリンピック詠) 》

この席題の難しいところは、曲名でなく『名曲』だとしている点ですよね。ところで、ネットを調べていたら、こんなランキングが。

「月」を含むカラオケランキング上位20曲。思ったよりもバラエティに富んでて、俳句と関係ないところで楽しんでしまいました。

②『ムーンライト伝説 水無月尽の新体操』 Rx

2021年8月7日の立秋の日、旧暦では6月29日(水無月尽)となりますが、ネット上で話題になったのが、ウズベキスタン新体操代表が『ムーンライト伝説』(美少女戦士セーラームーンのOP)をBGMとしていたことです。

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月の光(ムーンライト)を読みこみましたが、『月百句』に入れるべき作品ではないかも知れませんww ただ練習を兼ねてこんな句もお示しします。

3.席題:ハンバーグ

ダントツ多い「食べ物」の席題。ふと「ハンバーグが食べたい」と村上さんが思ったところから出てきたテーマです。ファミレスのハンバーグ食べたいという思いが、俳句に乗り移った様な作品がこちら。ポロッと出来ました。

【 3句目 】
『ハンバーグ食べ終え月の駐車場』 村上健志

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ちなみに、そうですよ? 『月見ハンバーグ』とすれば、ハードルはクリアしますよ、『月百句』に相応しいかは分かりませんがww

それはさておき、これも良い句だと思いました。細かいところを言えば、「月の駐車場」という表現が、『月面』みたいな誤読をなされないかという点が多少気になりましたが、まあ普通に詠めば、月明かりが照らす駐車場だと常識的に考えれば分かりますよねww

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※「すべてを省略する姿勢は疑問」には同意

ポロッと口から出た句が、『月百句』に乗りそうな勢いだったのですけど、立ちどまった村上さん。『ハンバーグ食べ終え月の駐車場』をもっと推敲の余地があるのではないかと考え始めます。それに対して、コメント欄から、

・『食べ終え』が説明か否か

という意見が飛び出し、一理あるといった風の表情になります。そこで私は『もし削る余地があるとしたら』という前提のもと、

・『ハンバーグだし、食べを削ったらどうですか?』

と提案してみました。村上さんは、『食べ』が無いと、ただ『ハンバーグ』というものが存在するだけになってしまう。確かに、ハンバーグとあれば、『食べ』は要らないかも知れないが、『ハンバーグ終えて』は強引過ぎる、とのご意見。確かに、そうかも知れない、書いてみて違いが分かりました。

村上さんは、

『要は、ハンバーグと来れば、食べる以外にないだろ、と俳人によくある省略の仕方、まあそれって意外とね、そうなんですけど、あんまり(僕は)拘って無くて、要は音感だとか、もっと入れられるだろうって、要は夏井先生も言うんだけど、捨て鉢のようにその打押しがあっても良いことがあって、何が何でも省略ではないんですよね。何かこの場合は食べ終えが、意外と自然かなとは思う、もちろん食べ終えと言わなくても成立してるんですけど』

と、私の提起の仕方も悪かったですね、でもここで仰っていることは正しいと思います。文章を少し整理すれば、『自然と出た言葉』と大事にしたい。『動詞などを削らず残しておくことが「捨な石」のような効果が期待できるから、何でも削りゃあ良いってもんじゃない』って感じかと思います。

思い出すのが、今年の春光戦で春風亭昇吉さんが披露していた添削後の句、

『雛あられかじるひと粒ごとのおと』 春風亭昇吉'

の「かじる」は不要じゃないかと夏井先生の添削に苦言を呈したところ、「捨て石の様な効果」を説明していました。動作を入れることで広がることもあるし、重複があるから削った方が良いケースもあるのをしっかりと判断する必要がケースバイケースでありましょう。

「何が何でも省略すれば良い訳ではない」のも、そのとおりだと思います。ただ「推敲の余地があるのではないか」という投げかけに対する一例としてコメントで『食べを削るのはどう?』と提案した次第です。
(そこに誤解があったかなと思い、釈明をさせてもらいましたが、場を困惑させてしまった点、重ねて謝罪します。)

結局、コメント欄でバシッと決まる言葉が出てきました。それが『平らげ』でした。「食べる」+「終える」要素も入っていますし、どちらの句でも、光景を描けているんだなと思いました。村上さんがどちらを選ぶか楽しみ。

【 3句目’ 】
『ハンバーグ食べ終え月の駐車場』 村上健志
       ↓
『ハンバーグ平(ら)げ月の駐車場』 村上健志(推敲案)

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《 Rx自作句 》

コメント欄に「ハンバーグの肉汁」というのがあったので、こんな句を。

③『盆の月白々ハンバーグの肉汁』 Rx

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あんまりハンバーグ食べない人間が作る句であるのですがww ファミレスという場面設定も村上さんから出ましたが、『ファミリー(家族)』を彷彿とさせる料理ですよね。そこから、明日(8月22日)が盆の月だったということで、詠ませてもらいました。

さすがに『月見ハンバーグ』を『月百句』に入れるのはやり過ぎかなと思いつつ、今回は違うアプローチの句にしています。

4.席題:時計

最後はオーソドックスで作りやすそうな「時計」が席題です。正直こういう方が『月百句』目指す上では作りやすくて良いと思うんですが、村上さんはちゃんとチャレンジングなテーマにも挑戦されるから尊敬します。

時計すらスマホに吸収され始めている平成から令和において、「時計」からの連想力も乏しくなりかけない状況の中、必死にアイディアをひねり出します。そして、コメント欄から『秒針』といったアイディアも寄せられ、村上さんが作ったのがこの句です。

【 4句目 】
『秒針に残る月夜の匂いかな』 村上健志

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正直、理論立てて考えるとすれば、『短針』とかの方が匂いは残りやすいのかなとか無粋なことを考えつつも、『月夜の匂いが時計の針に残っている』なんて、とてつもなく詩心のある描写だと思います。

今日の4句は、前回からですが、いずれも村上さんらしさに溢れています。これだけ自分らしい作品を連作できる時というのは、とにかく俳人としての調子が良いのだろうと思います。良い句をどんどん作って頂いて『月百句』を更に素晴らしいものにして頂けることを今から楽しみにしています。

《 Rx自作句 》

④『叱られ叱られて月下の日時計へ』 Rx

「月」でありつつ『日時計』を取り合わせてみました。「叱られ叱られて」としましたが、やや因果関係が出てしまったかも知れません。

今日は何か「無季」みたいな句が多くなってしまってますが、その勢いで。

⑤『クロノスタシスみたくコ口ナ禍の若月』 Rx

『クロノスタシス』は中二心が擽られる言葉……でもあるんですが、秒針をじっと眺めていると「1秒」が長く感じる瞬間がある現象のことです。

これも「時計」だけでなく『秒針』というコメントから発想を飛ばした俳句(?)なので、俳句実況生配信がなければ生まれていなかったと思います。

【おわりに】

取捨選択は後からでも出来ますし、100句以上できれば、100句を厳選することも出来ます。ひとまず今は村上さんを見習って句を沢山作っていくことが自分の修行になると信じて。

《 Rx自作句5句 》

今回改めて見てみると「変化球」的な俳句が多くて恥ずかしい限り。しかし生配信に参加していなければ出てこなかったような作品ばかりなので、一定の効果はあったと思いたいですww

①『ビリジアンに凝る美術部員や繊月』
②『ムーンライト伝説 水無月尽の新体操』
③『盆の月白々ハンバーグの肉汁』
④『叱られ叱られて月下の日時計へ』
⑤『クロノスタシスみたくコ口ナ禍の若月』

引き続き、フルーツポンチ村上の俳句の部屋の「俳句実況/生配信」をお楽しみに! 私と一緒に『月百句』を目指していきましょう~!


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