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今の仕事をしようと思ったきっかけ【後編】

高齢者施設の事務、というのはなかなかなんでもする仕事だった。

老人保健施設でデイケアやショートステイ、訪問リハビリもしていたので、それぞれの請求業務が中心業務。朝は掃除からスタートして、電話対応や受付業務、お茶だし、物品管理や業者対応など庶務、経理、職員の勤怠やらの総務、施設内の故障などのトラブル対応や電球取り替えなど営繕や、行事に合わせて飾り付けをしたり、なんでもやってた。全体を見て今何をすべきか考えて仕事をすることが身についた。

施設にとっても大切な監査対応や指定更新などもするようになって、入職4年目くらいで気づけば事務主任になっていた。

介護老人保健施設の事務を始めて思い出したのが、私は昔からおばあちゃんおじいちゃん子だったっていうこと。
小さな頃から3世帯同居、祖父母は友だちも多かったので、高齢の方と話すのは好きだった。

事務職員ではあったが、朝から挨拶をして、待ち時間にお話をしたり、エントランスにおりてくる方とちょこちょこ話す。仕事をしながらだけど、昔話を聞いたり、世間話をしたり、人生の先輩の経験はおもしろかった。お世話するというこちらからの一方通行では決してなく、大好きな人がたくさんいたから、仕事が楽しかった。

そして、よく施設や職員に対しての愚痴を聞くようになった。事務職員では、話を聞いて間に入って伝えることはできても、直接的に役に立てないのが歯痒くなってきた。

それと合わせて、事務所の中が仕事中に愚痴ばかりになってきて、なんだか苦しくなってきた。福祉業界は入れ替わりが結構ある。はじめは良かったんだけど、新しい職員さんが周りに対して悪口まみれだった。自分も仕事の責任の割に自分が若かったのもあって、一緒に仕事をする年上の方に対してイライラしたり、自分の正しさにこだわったりしてた。もうその点は恥ずかしくて過去にかえって声をかけてやりたいくらいだけど。今思えば全て鏡だったのかもしれないけど、今思い出してもあのときはしんどかったので、思い出すのはこれでやめる。
その環境をリセットしたかったのもあるけど、7年勤めて、自分のできることややりたいことを見直すようになった。

高齢者の皆さんに何か役に立てる方法がないかと思って、転職を考え始めた。体調はなんとかうまく付き合っていけるのはわかったから、もっていた社会福祉士の資格を活かそうと決めた。

運転ができない私でもできて在宅にいる方の支援ができる方法、というので思いついたのは、地域包括支援センターだった。
教科書で読んだ程度で、よくわからんかったけど。介護保険の説明をすることもあったからわかった気になってたので、それなりに自信があった。

そして私は、7年半勤めた職場を辞めて、新しく地域包括支援センターに勤めることが決まった。

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