わたしはブスだからせめて笑っていよう
ブスな自分から逃げて逃げて逃げてここまできた。
しかもただのブスではなくプライドの高いブスだ。
ひょっとしたら美人といえなくもないのではないかという幻想すら持っているブスだ。
ブスゆえに、自分だけでなく他人の美醜にまで敏感。自分よりブスか、自分より美かで人様をランクづけするブス。
美人が自分よりも評価されていたら、それはどうせ美人だからだと卑屈になるブス。
本当にどうしようもないブスだ。死んだほうがいい。そうだ。死のう。もう死んでしまおう。
と、思うところからブスの人生は始まる。
美人は、2とジョーカーとキングとクイーンのカードを持って生まれてくる。ブスは3と5とせいぜい一番いいカードで10。
大貧民に例えた手持ちのカードの話だ。
美人はふつうにやれば勝てる。ブスはまず、勝てない。めちゃくちゃ頭を使い、場を読み、一手一手慎重に打っても、まず勝てないのだ。そうして性格が曲がる。
まわりの人みんなが、わたしがブスなせいで、わたしを低く見て馬鹿にして軽んじていると思う。まわりが誰それが可愛いとか、わかりきったことを声高に話しているのを聞くと消えたくなる。大声で「お前はブスだけどな」って言われているように感じる。あらゆるメディアや広告が毎日毎秒それをやっている。だから、毎日毎秒、ただ生きているだけで「お前はブスだけどな」って叫ばれている。耳元でずっと。
金持ちの男の妻はみな美人だ。それはつまり、ブスは三流の男で我慢しろということだ。それがデフォルト。だったら結婚なんてしなくていい。
そういう全部を、笑い飛ばして生きていかなければならない。
美人にさえ生まれていれば、こんな悩みで心を真っ黒にすることもなかったのにね。本当に、やってられない。理不尽だ。
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