翻訳記事:2023年中国リーグの移籍市場総括

中国有数のサッカー媒体「足球報」の記事。

ゼロコロナ政策や不動産関連規制などの影響で、サッカー界でも中国のクラブによるいわゆる「爆買い」はすっかり息をひそめた。

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新外国人25名、移籍金総額180万ユーロ。2023年も投資額の下落は続く

作者:媒体人寒冰

FWヤクブ(武漢三鎮/ガーナ)MFアマドゥ(上海申花/フランス)MFアデミ(北京国安/北マケドニア)

・概況

2023年中超(中国スーパーリーグ、1部相当)の外国人選手移籍市場は4月7日で終了。統計によれば全16チームが25名の外国人選手を獲得。移籍金総額は180万ユーロ。人数は3年連続で減少、総額も4年連続で減少しバブル前2010年の水準に戻った。

一覧、*印は新加入

・バブル期からの減少

2011年、中超開幕前の外国人選手獲得移籍金は初めて1000万ユーロを突破。2014年5000万ユーロ突破、2016年1億ユーロ突破し2.64億ユーロの最高額に達した。2020年(注:新型コロナ勃発)5000万ユーロを下回って以降は年々下がり、2023年の180万ユーロは前年の10.8%に過ぎない。2010年の136万ユーロに近い水準だ。

13年経て100万ユーロ台に戻った、2010年最高額は36万ユーロで上海申花のFWリアスコス(Duvier Riascos、コロンビア人・同年リーグ得点王)
今年は90万ユーロの武漢三鎮FWヤクブ(Abdul-Aziz Yakubu、ガーナ人)
歴代最高額は上海海港のMFオスカルで6000万ユーロ。ヤクブの66.7倍だ。今季もオスカルは在籍している。


今年移籍金最高額、武漢三鎮のFWヤクブ

・フリー移籍の増加

過去3年、毎年半分ずつに減少していたが今年の減少幅は特に大きく昨年比9割減。昨年の18チーム→16チームに減少されたのもあるが、過去これほどn下落したことはない。今年、中超16チーム中、武漢三鎮、上海海港、北京国安、滄州雄獅の4チームのみ外国人選手に移籍金またはレンタル費が発生。全25名の新外国人のうち移籍金発生したのは4人だけ。前述のヤクブ(90万ユーロ) 北京国安の北マケドニア代表MFアデミ(50万元)上海海港のオーストリア人FWピンクと滄州の元クロアチア代表スコリッチ(共に20万)残る21名は皆フリー移籍で移籍金は発生していない。山東泰山、天津津門虎、大連人、深圳は新規外国人獲得が無かった。 昨年は14名に移籍金が発生し、うち7人の移籍金が100万ユーロを超えた。わずか4年前、既に「バブル」が傾きかけていた年でも移籍金総額は今年の26倍。​ 4月8日の超級杯(注:スーパーカップ、リーグ王者VSカップ王者)で前述のFWヤクブは先制点を決め、実力を示した。リーグ王者武漢三鎮はFWマルコン(注:昨年リーグ得点王、今年サウジアラビアのアルアハリへ移籍)の穴埋めとしてヤクブを獲得。身体的特徴やプレイスタイル的に両者は少し異なり、ヤクブはより運動量が多い。超級杯ではMOMに選出され素晴らしいシーズンのスタートだった。

昇格組、南通に加入したホンジュラス人FWカスティージョ

・アフリカ、北中米カリブ海の選手の増加

ここ3年で移籍金総額の低下に伴い、移籍金ゼロの外国人選手が増えた
2020年中超にきた20名の新外国人は、11人が移籍金発生、9人がフリー。2021年は11人:20人、2022年には15人:17人になり、2023年には4人:21人になった。
​移籍金ゼロが増えたことで質は落ちたところはある。22年に来た選手たち、21年に来た選手たちと比較して、23年に来た選手たちの知名度は高くない。
FW​レオナルド(長春亜泰、元浦和、新潟、鳥取、山東、蔚山等)FWクアッシ(浙江FC、元上海海港、武漢等)この2人は中国でプレイ経験あり知名度高いが、他の移籍金ゼロ選手はマイナーリーグから来ている。
25人中アフリカ人選手が8人、うち移籍金発生したのは前述のヤクブのみ。暫く中超からいなくなっていた北中米カリブ海の選手も増え始めた。他にジョージアの選手もいる。
2004-2010年,中超には多くの北中米カリブ海の選手がいて活躍していた。
(注:特にホンジュラス人選手の活躍が目立つ。元大宮のサウル・マルティネス(SaulMartinez)上海申花で活躍し得点王獲得したのを皮切りに、ラミレス(LuisRamirez 09年得点王)エミル・マルティネス(Emil Martinez 08年MVP)サムエル・カバジェロ(SamuelCaballero)と実に得点王2人、リーグMVP2人)

武漢三鎮→アルアハリへ去ったマルコン

以前の水準に比べれば、今冬加入した25名のうち欧州5大リーグから加入したのは1人だけ(注:フランス1部アンジェ→上海申花のフランス人アマドゥ),多くが欧州から来たが殆どマイナーなリーグ。現在の外国人選手の水準は“中甲(2部)化”している。
来る人だけでなく、去る人も増えた。昨年得点王・武漢三鎮を優勝に導いあFWマルコンはサウジへ移籍。河南のドラード、長春のエリキ(→町田)、ジュニオールネグランなどの実力者も去り、昨季後半爆発した滄州のカンテ(→浦和レッズ)までも去った。

・市場評価額の下落

 外国人選手の中で、市場評価額最高はやはり上海海港のMFオスカル(800万ユーロ)、200万ユーロ超は17名、うち北京国安の北マケドニア代表MFアデミ(400万)浙江のコートジボワール代表FWクアッシ(270万)北京国安の元ブラジル代表MFソウザ、同カメルーン代表DFエンガドゥ、武漢三鎮のガーナ人FWヤクブ(250万)上海申花のポルトガル人MFティシェイラ、滄州のオランダ人FWロカディア(200万)が新加入だ。

 外国人選手の市場評価額下落で、中超全体の市場評価額合計も下落。
目下、チーム別で1位は上海海港(2500万ユーロ)これも全盛期の6割以上減。他に武漢三鎮、山東泰山、北京国安、上海申花が1000万ユーロ超。
 相対的に、Jリーグ18チーム、Kリーグ12チーム、全て1000万ユーロ超えている。西アジアでもUAEの10チーム、サウジの11チーム、カタールの5チームが1000万ユーロを超えている。


超級杯、左からFダビドソン(三鎮)、帰化選手の德尔加多

・移籍金収支がプラスに

但し特筆に値するのは、今年この13年で初めて外国人選手の移籍金収支がプラスに転じたことだ。
前述マルコン、エリキの移籍金で武漢三鎮と長春亜泰は計636万ユーロを稼いだ。全体で+456万ユーロ。(注:主にマルコンの売却益か)

・帰化選手たち

 艾克森(エウケソン、成都に加入)の期間で、帰化選手への注目度も上がった。帰化選手たちは外国人扱いにならないが、外国人級の実力を持ち、高額な外国人を獲得できない今とてもコスパが良い。
艾克森は成都蓉城に加入したが、かつて広州や上海海港でプレイ、その後ブラジルのグレミオを1部復帰に導き、成都は彼に大きな期待をしている。
また山東泰山に加入した費南多(フェルナンジーニョ、ブラジル出身)、北京国安と契約延長した李可(ニコ・イェナリス、英国出身)、上海海港の蒋光太(タイアス・ブラウニング、英国出身)上海申花は混血の晏新力(アメリカ出身、中国系)を獲得し帰化申請を進めている。
前述超級杯で山東の一員として先発した德尔加多(PedroDelgado、ポルトガル出身)はパフォーマンス微妙で前半で交代、彼が山東に残留するのは厳しいかもしれない。

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・雑感

要は「バブルが崩壊して昔の水準に戻りましたよ」というお話
思い返してもバブル期、特に2015-18年頃は異常だった。
反動もあって近年多くのクラブが経営難でリーグ脱退、解散しているが
例えばオスカルほどでなくとも、バブル期の外国人選手1人の移籍金や給与で何チーム救えたか。何十何百人の中国人選手や子供たちを養えたか・・

確かに面子は寂しくなったけども、前述の通りマイナー国の「渋い選手」が増えたし、バブル期は「外人さんのバーター」だった中国人選手も活躍の空間が広まった。等身大の中国リーグ、これはこれで楽しみなものである。

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