見出し画像

僕が出会った美しい女性

今の会社に入ってから2ヶ月近くがあっという間に過ぎた。

外資系投資ファンドに勤めており、社員数は日本オフィスは50人弱ほど。
世界中のスタートアップと日本のTop tierの企業と一緒に会議を繰り返し、世の中にイノベーションを起こすために仕事をしている。

日本人より外国人の方が多いんじゃないかというほど、社員は多様性に満ちている。
入社してから、大変忙しく朝起きてから寝るまで仕事しかしていない日々を送っており、Noteを更新することもできなかった。

年末になってようやく落ち着きが見え始めたので、最近の出会いについて書き残したい。

レベッカ

レベッカというのは僕の会社の同僚だ。
彼女は中国の内陸部出身で、日本の投資銀行に大学卒業後に入って、海外戦略を任された後、僕と同じ会社に入ってきた26歳。
僕が11月入社で彼女が12月入社なので、ほぼ同期だ。そんな彼女と2人で自己紹介を兼ねて話をしたときの話。

初対面なのに、僕は思わず彼女の美しさに息を呑んでしまった。

:「中国は沿岸部が富んでいて、内陸部は貧しいという話があるけど、本当のところどうなんだろう?僕自身、日本で一緒に働いてきた人は今まで沿岸部か北京の裕福な人ばかりだったけど。」
レベッカ:「そうね。本当にその通り。
でも私は全く貧乏な中国の片田舎で生まれ育ったの。
子供の時、一度親戚の家が上海に会って遊びに行ったんだけど、今まで自分が見てきた貧しい世界と全く違っていた。高層ビルが立ち並び、電気が街中にキラキラと光っていた。
私はそれを見てから、住んでる世界が違うだけで全く違う人生を歩むことを知ったの。人生を変えるために上海に行かなくちゃいけないとそう思ったの。
それから周りが遊んでいる時も、ずっと勉強だけしてきたわ。それだけが私の人生を変えることができる唯一の手段だったから。
本当に大変だったけど、本気で努力した。なんとかして、大学に行かないといけないと思って、本当に勉強だけしてきた。それで上海の国際大学に入れたの。」
:「そうだったのか。でもそこで止まることなく日本に来たのは何があったんだ??」
レベッカ:「交換留学で日本の大学に1年間留学したの。それで日本文化に触れて、本当に日本のことが大好きになったんだ。
日本に来たとき、私は日本語をあまり喋ることはできなかったの。
それに私は親が裕福じゃなかったから、お金もなくて、毎日大学の食堂の卵かけご飯を毎日一杯食べるだけしかできなかった。
そんな状態の中国人の私に日本人の方は本当に優しくて、毎日それしか食べられない私に、食堂の人がスープをつけてくれたり、優しい言葉を投げかけてくれたり。
授業の中で茶道だったり、着物だったりも学んで、日本を愛していることに気づいたの。
そして私は決めたの。
絶対将来日本で働くということを。」

僕らの会社は世界最大のスタートアップ界隈の投資ファンドのため、世界中から求職者が集まってくる。
ジャパンオフィスもハーバードやケンブリッジ卒がゴロゴロいる。
人事に聞くと、採用倍率は100倍を超えているという。

:「そんなことを乗り越えてきたんだね。今この会社の倍率は知っているかい?100倍を超えているらしいよ。
本当にありがたいことに、僕らはただ日本で働くだけじゃないことができていると思うけど、なんでここまでこれたと思う?」
レベッカ:「そうだよね。本当にありがたいことだよね。
今は日本語も喋ることができていると思うけど、前職でね初めの方は日本語もまだよくわからなかったの。上司もお客さんも日本の歳を召された男性で、「お前の言っていることはわからない!」と毎日のように怒られて。
辞書と睨めっこしながら、たくさんの書類を朝まで頑張って作って、また日本人の上司にひどく怒られての繰り返しだったわ。
それでもこの国が好きだったから、4年間必死に働いてきたの。
そんな時にエージェントの方からこの会社を紹介されて、私は元々投資の世界にいたから、スタートアップ投資の世界でトップのこの会社のことは知っていて、ジャパンオフィスができたことも知っていた。
そしてここまで耐えてきたのだから、様々な国籍の人が一緒に仲良く日本のイノベーションを作ることに情熱を持っているこの会社で働こうと思ったの。
ね、本当は私は頭が悪いの。でもこれからも一生懸命頑張るから一緒に仕事をしてね。よろしくね。」

僕は目頭が熱くなっていることに気づいた。
彼女は言葉も通じない、誰も知らない人たちの中で、どんなに不安だったろう、どんなに悲しい思いを経験してきたのだろう。
それでも挑戦し、どんなに辛くても周りのことを憎むのではなく、ただひたすらに愛してきたのだ。

そして今奇跡的にたった50人弱しかいないこの会社で僕は同僚として働いているのだ。
美しかった。
嬉しかった。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?