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雲の上にはお天道様が!〜私が医療系事務職員応援隊になったわけ⑩ 電カルを入れる?

皆さん、こんにちは♪
#医療系事務職員応援隊の長幸美です
今回は電カルの導入のことをお話しします。

キックオフ

「長さん、今日のキックオフ、参加してね!」
滅多に話しかけて来ない先生が、なんだかご機嫌で話しかけてきました。
なんだろう?
まぁ、いってみればわかるか・・・。

そこで発表されたのは、オーダリングの導入。
3期的に、電カルまで入れるというのです。
1期目は、処方と検査・画像診断のオーダリング、そして・・・もちろんレセコンも入れ替え。
導入期間は正味4ヶ月
その半年後に注射と処置・手術、
さらに半年後に看護記録を含む電カル化・・・

何を考えているんだろ?
まぁ、やれるものならやってみたらいい。
お手並み拝見といきましょうか!

当時の率直な気持ちです。
翌日から、ワーキングが立ち上がり、即日、医事係からも担当を指名しました。この短期間、リーダー格を投入しなければ、
とても間に合いません。ああ・・・頭が痛い。
いや、こうなったら、やるしかない・・・

医事業務のフロー

幸い、医事課の業務フローは視覚化できていましたし、リーダー格のスタッフは育ってきていて、それぞれサポート体制まで構築していましたので、問題はありません。

しかし、医事の問題は、レセコン業者にありました。
なんといっても天下のF社。コンバートが出来ない。
レセコンの情報はF社のものだから吐き出しは出来ないとのたまい・・・
保険情報と住所しかデータが出せない状況です。また、住所はデータが入っていないところは全てその上の情報が入ってきていて、でたらめという体たらくで、本当に苦労いたしました。いや・・・苦労したのは、私ではなくて導入業者さんですね。

パッケージですから⁈

それぞれのワーキングに、取り敢えず全て参加しました。お手並み拝見・・・とはいえ、前職でオーダリング導入を検討して「導入しないと判断した」経験があります。ある程度の動作と導入時の留意点などはわかっていました。
どう進めていくのだろう・・・?
全てに手を出すことは出来ません。担当は割り振っていましたが、どう対応していくか、全体のフローやサポートをどうするか?
考えあぐねていました。

看護部は、「電カルって医師がつかうものでしょう?○○先生が決めてきたことだから、先生がやったらいいじゃない!私たち知らないわ!」
・・・と全く協力体制がありません。
内視鏡の検査については、看護部が洗出しをしてくれなければ、フローが作れない状況です。

そんな中で始まったワーキングですが、案の定の状況でした。
現状の紙運用のフローをそのまま移行しようとして、ベンダーとうまく噛み合いません。ベンダーからは「それはパッケージですからできません」という回答しか返ってきません。
現在のフローを変える話にならないのです。
看護部は、取り敢えずワーキングには出てきますが、全く協力しようとせず、話になりません。

・・・パッケージですから、って・・・何なのよ!

パッケージはわかるよ。パッケージが悪いわけではないのです。けれど、何を言っても「パッケージですから、できません」では・・・?
挙句に、「理事長から了解もらってますから!」

プッチーン

私の中で何かが音を立てて壊れました。パッケージなのはわかる、けれどパッケージだからできませんでは、進まないでしょう?
本当に導入する気があるのですか?
現状の何をシステムに乗せるのか、洗い出しをしましょう。
導入しないといけないなら、陣容を変えましょう。この部門に人を割いてください。こっちは院内で洗い出しできますが、この部門は無理です。
それと導入している現場を見せてください。(実は理事長以外誰も、選定にかかわらず全体像を見ていなかった!)

私も若かったのですね・・・しかし、そこから業者の対応が変わりました。目の色が変わったのです。
本来なら、ここまで入り込んでくれることなどなかったと思いますが、看護師一人部署の内視鏡室は業務フローの洗い出しから変更まで、担当者がついてくれて、予約フローまで完成できました。

模擬診療

4月からの導入を控え、3月に入ってすぐに模擬診療・・・つまりオーダリングのテストを行う計画を立てました。本来なら3月末に実施するのでしょうが、2月の段階でレクチャを受ける職員がほとんどいなかったので、ベンダーさんと相談し、前倒しで入れてもらうようにしたのです。
実際の受付のチェックインから、外来各課の診療、そして検査・画像診断のオーダー、処方箋、入院する患者に至るまで、20名の模擬患者を仕立てて、診療終了後の午後5時から2時間の予定で開催しました。

ところが・・・

受付の患者登録~チェックインの情報は順調に終わり、各課の外来に患者データが送られていくのですが、見事にそこでストップしてしまい、オーダーをだすところまでいかないのです。
医師をはじめ、ほとんどの職員がシステム操作の練習をしていなかったため、何も進まなかったのです!
模擬診療は大失敗で、何もできずに終わりました。

看護部に火が付いた!

翌日朝、診療開始前に、ベンダーと院内のプロジェクトリーダーとのミーティング中に、看護部の外来・病棟主任を含む数名が、「こんなことでは診療がストップする!1週間後にもう一度模擬診療をさせてほしい。」と申し入れてきました。これまで、システム操作は医師がやるものと思っていた大半の看護部ですが、実際には、各課受付をはじめ、病棟でも、看護師が操作する場面というものが明確にわかり、もう一度やりたい!というのです。

前日の反省で、いくつかの問題点も明らかになっていましたので、それを解消することも必要でしたので、修正をした状況で、10日後に設定しました。

その後は、医師も看護師も、今回の導入には直接影響がない連携室や栄養科、リハビリ室のメンバーも出入りし、ようやくプロジェクトが動き出したようでした。
3月の1か月は本当に怒涛の1か月でしたね。

二度目の模擬診療

実はこの2度目の模擬診療は、よく覚えていないのです。
模擬患者20名、その他、ベースは同じものを準備して実施したことは覚えているのですが、結果どうだったのか、明確には覚えていません。
外来はそのあとも1回、土曜日に模擬練習をしたことは覚えているのですが、明確ではないんですね。
おそらく大きな問題はなかったのではないかと思います。

新たな課題~医事のスキルアップ

そんなこんなで迎えた4月・・・導入に際しては、1週間ベンダーから支援スタッフが 3名常駐してくれていました。
その間に、トラブルがいくつかあり、紙運用への変更したケースもありましたが、少しずつ日常が戻ってきている感覚はありました。
その中で新たな課題も見えてきました。

機械は人が指示した通りにしか動いてはくれません。
予約の修正、オーダーの修正・実施がルール通りにできなかった時に、ルール通りに修正をしないとオーダーが残り、医事が混乱することがわかってきました。オーダーが複数残っていたり、複数回実行されたようになっていたり・・・そもそもが部門ごとに突貫で作ってきたので、統一したルールがないということも課題になりました。
医師を含め新しく着任された場合、感覚的に使用できるような操作性の良さがありましたが、操作した通りに修正しないと、オーダー等の修正が効かないことも分かってきました。
このため、3か月後から、オーダーを動かしながら仕様変更し、ルールを徹底するという面倒なことをする羽目になったのです。

人は、入力されているものについて「検証」するのはかなりスキルが必要だということも分かってきました。
医事が現場のことを理解していないと、取り込んだオーダーの間違いに気付かないわけです。医事のスキルアップが急務でした。勉強会の内容を大幅に変え、医療行為についての学習できる機会を増やしていったのです。

また、オーダリングはいわゆる「伝票発行機」です。
このため、紙のカルテ運用では、カルテに記載してさらにオーダーを出す、という二手間が必要です。
しかし、電カルの一部をオーダリングとして運用開始していたので、オーダー画面にも、記録として残せる仕組みがありました。医師がカルテに記載しない・・・という現象も起こってしまい、オーダリングのみの導入の困難さも身に沁みました。途中電子保存についてルールの緩和があり、それを期に診療録の運用マニュアルを変更して、ハイブリッド対応ができるようにしたのです。これはまた機会があればお話ししましょう。


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