チェンジ

「資源は有限、アイデアは無限」。今から20年前のEC黎明期に活躍していた三軒茶屋のあるTシャツ屋の社長の名言だ。彼は海外のTシャツの無地ボディーに自分のデザインを家庭用のプリント機で手刷りして販売していた。冒頭の言葉通り、小資本でも自分のデザインしたTシャツをインターネットで販売するというアイデアを具現化し、そこそこの利益を上げていた。原価で700か800円のそのTシャツが3,900円ぐらいで月に数百万円以上売れていたのだ。スケールはしなくてもそれなりにやっているその社長を見て、周りの中小企業の社長や個人事業主にとってはアイデアこそが大資本に抗う上での唯一の武器だとも思えただろう。ある意味それは間違いない。ただ大事なのは1度成功したその後だ。その頃のEC業界はプレイヤーが少なく、大した知名度がなくても、露出のテクニックがなくてもそこそこ売れるまだかなり牧歌的なマーケットであった。EC業界が成熟していくにつれ次第にそのTシャツ屋は売上が落ち始め、社長は三軒茶屋の事務所を引き払い、スタッフを解雇して地元の山形に戻った。
アイデアは無限だ。資源には限りがある。しかし残念ながらそのアイデアというのは今の世の中すぐに模倣される。インターネットの出現によって情報がよりフラットに誰にもでもアクセス可能になったからだ。我々中小企業にとってアイデアこそがアイデンティーだと言っても過言ではないだろう。だからこそ1度の成功、アイデアに固執するのはナンセンスだし、ちょっとした成功で慢心するなんてもっての他だ。成功体験は捨て、今のサービス、プロダクト、ビジネスモデル、組織、ルーチンを常にチェンジする気概を持たなくてはならない。ブラッシュアップなんて生ぬるい。チェンジだ。組織で新しいことをしようとすると必ずハレーションが起きる。反対意見が出る。あからさまに嫌な顔をされる。しかしその反応が大事なのだ。ハレーションは居心地の良い環境が破壊されることへの拒絶反応だ。しかし現状維持は終わりの始まりだ。だからこそ組織にはハレーションを起こす人間が必要だし、またメンバーもそのことを知っていれば、致命的なことにはならないだろう。人間は本能的に変化を嫌うものだと思っておけばいいのだ。だからどうせなら変化を楽しめばいい。これから先10年間で多くの旧態依然としていたシステムが覆り、既得権益を貪っていた組織が解体されるだろう。その変化の狭間に俺たちは生きている。どこにいたって世の中は変わる。SEETHELIGHTのスタッフであるからには今この瞬間の自分を否定し新しい自分を探しに行かなければならない。変化を恐れるな。変化を楽しめ。YOUがWANTしたいなら、CHANGEしちゃいなよ!

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?