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「ダイの大冒険」に再会す。 その1 :彼らは前を向くことしか知らない。ーダイとポップー

再アニメ化により「ダイの大冒険」に再会し感動したいいトシの元オタクが、年甲斐もなく色々語ってしまった記事でございます。

以前の記事はこちら↓↓↓

【ネタバレあります】
あらすじでフレイザード編まで、ざっくりとは鬼岩城上陸後、基本的にはアニメの進行度以上はいかないようにしています。(2021年9月現在)


ダイの大冒険の主人公・ダイと、最初の仲間となる魔法使いのポップ。
生まれに秘密を持ち、最初から才能あふれる少年という少年マンガ定番の主人公と、敵前逃亡するお調子者という、どう考えても最初の仲間にしてはポンコツすぎる準主人公の対比は、連載当時から「思い切ったことをするなあ」などと思っていた気がします。
当時はそれくらいで、主人公たちが強くなるのは当たり前みたいな感覚もあり、そこまで深くは考えておらず、2人の行く末をただワクワクしながら読んでいました。

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主人公のダイは孤島でモンスターであるブラスに育てられた少年です。
ダイは赤ん坊の頃にモンスターしかいなかったこの島に流れつき、鬼面道士のブラスに拾われました。この世界では魔王の邪気によってモンスターの正邪が決まるようで、勇者によって魔王が打倒された後だったために、島のモンスターやブラスはダイに危害を与えることをしなかったのです。

魔法使いである鬼面道士のブラスはダイを魔法使いにしようとしますが、才能がないのかうまくいかず、ダイ自身も魔法使いよりも勇者に憧れてもっぱら勇者ごっこをするような少年でした。
そんな環境で育った少年が、島に訪れた人間たちによって大きく運命を変えられていきます。
ニセ勇者たちやロモス王国の王様、パプリカ王国の王女レオナに出会って外の世界を知り、魔王の復活によってアバン先生に師事を受け、大魔王の出現を知ったダイは勇者を目指し、島を飛び出していくのです。

島を出たダイは、生まれの秘密もあって、おそろしいほどのスピードで成長していきます。でも面白いのは、結構人の手を借りたり、自分より弱い存在からも何かを学び取って成長していくこと。純粋に素直に強さを求めているから、きっかけはなんでもいいわけです。

ダイの大冒険のベースはゲームのドラゴンクエストなので、パーティーで戦うのが当たり前の世界。その他、勇者をバックアップする武器屋や道具屋など、大きくいえば支援する王国の力もいる。
自分の強さが自分だけのものでできていないことを、ちゃんとわかっているから皆から慕われるんでしょうね。それは種族も国もこえ、様々な思いを束ねていく中心となっていき、そして動きようもないような運命をも変えていく。

逆にいえば、自分に賛同する味方を増やすことができないと、困難な状況を打開するのは難しい。どんなパワプルな人材でも、個人や1グループだけで世界の流れを変えることなんてできないんですよ。
人間、ついつい己の力だけで大きくなったような気になったり、生きていけるような気がしますが、そんなことはない。

謙虚さとか己の技量を俯瞰してみれるかという、中途半端な大人には耳が痛い話です…。

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ダイを勇者にするために島にやってきたアバン先生の弟子として登場した魔法使いのポップ。
ダイにとってみると兄弟子に当たり、ともに冒険するはじめての仲間になります。はじめは敵前逃亡を図るような情けない人間として描かれますが、ダイに出会い、師であるアバン先生を失って、死にものぐるいで努力し成長していきます。

ある意味でそれはマイナスでのスタート。しかし、数々の試練を乗り越えていくことで、人間的にも深みが出て、放たれる言葉にも起こす行動にも重みが出てくる。他者の心を動かし運命を動かし、最終的に敵からも一目置かれる存在になるんだから、末恐ろしい成長っぷりだし、ダイにとってもかけがえのない仲間になっていくわけです。

勇者の仲間の中では、王族出身とか親が伝説の戦士だったといった特殊な生まれを持たない背景の持ち主で、当時のマンガからいうと、サブキャラでフツーの人が物語においてここまで重要なポジションを占めることはなかったんじゃないでしょうか。(いても序盤や中盤で退場とか…)。
才能あふれる他の仲間たちに食らいついていくために、仲間として認めてもらうために、常人をこえる魔法の取得や、力に頼らない頭脳戦に能力を発揮していきます。

物語が進めば進むほど、魔法使いとしてとんでもなくレベルアップしていくのに、人間性は言い方は悪いんですけど俗っぽいんですよね。いい意味で(笑)。人間臭いというかなんというか…。
その人間性を糧に、あきらめることを知らず、どんな状況でも泥臭く戦うことを選び続ける姿は大人になっても胸に響きます。

みっともなくても、カッコ悪くても、前に進んでいることには変わりないんだと。
カッコばかりを気にして足を止めがちな大人には、まぶしいばかりです。

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連載当時は勇者が人類を脅かす大魔王を倒す!という王道なストーリーをただ追ってた感があるのですが、今読むとこの2人の関係性がなんか響きます。
現代風にいうと、国籍や職業、年齢をとっぱらった付き合い方とでもいいましょうか。
変な言い方になっちゃいますが、「あの若者たち、いい青春送ってんなぁ」とつぶやいてしまいたくなるような。
視点が完全に学生の部活を見守る大人です(笑)。

色んな視点で見ることができることも、ダイの大冒険という物語の奥深さなのかもしれませんね。

その2へ続きます。



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