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まいにち だれかの ひとことを こころに。

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まとまった文章は書けるときと書けないときがあると思うので、(なるべく)まいにち、私の好きな「だれかの ひとこと」を お届けします。 あなたの好きなことばに加えていただけたなら、… もっと読む
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2023年1月の記事一覧

2023/1/31: まいにち だれかの ひとことを こころに。

浄、不浄の区別、 清らかなものと清らかでないものとしての穢(けが)れの発見が、 あらゆるものに対極性を持たせる観念を、 深く根付かせたのでしょうか。 輝く光は、深い闇を作るものです。 ー 土井善晴・「一汁一菜でよいという提案」より ー

2023/1/30: まいにち だれかの ひとことを こころに。

美は物体にあるのではなく 物体と物体との作り出す陰翳(いんえい)のあや、 明暗にあると考える。 ー 谷崎潤一郎・「陰翳礼賛」より ー

2023/1/29: まいにち だれかの ひとことを こころに。

色に染(そ)みつつ 色に泥(なず)まないのが 「いき」である。 「いき」は色っぽい肯定のうちに 黒ずんだ否定を匿(かく)している。 ー 九鬼周造・「「いき」の構造」より ー

2023/1/28: まいにち だれかの ひとことを こころに。

人間には 行方不明の時間が必要です なぜかはわからないけど そんなふうに囁くものがあるのです ー 茨木のり子・「行方不明の時間」より ー

2023/1/27: まいにち だれかの ひとことを こころに。

見捨てられた裏通りから世界中に向けて 大切なメッセージが届くのを君たちは見るだろう 鉄砲も兵隊も政治家さえもいらないよ 君たちが望むのは 自由だけでいいよ たったひとつのちいさな夢 追いかける若者がいて たったひとつのその命を燃やし続けている 燃やし続けている ー THE BLUE HEARTS  「ブルーハーツより愛をこめて」 ー

2023/1/26: まいにち だれかの ひとことを こころに。

人間の、また人性の正しい姿とは何ぞや。 欲するところを素直に欲し、 厭な物を厭だと言う、 要はただそれだけのことだ。 好きなものを好きだと言う、 好きな女を好きだと言う、 大義名分だの、不義は御法度だの、 義理人情というニセの着物をぬぎさり、 赤裸々な心になろう、 この赤裸々な姿を突きとめ見つめることが まず人間の復活の第一条件だ。 そこから自我と、そして人性の、 真実の誕生と、その発足が始められる。 ー 坂口安吾・「続堕落論」より ー

2023/1/25: まいにち だれかの ひとことを こころに。

大理石の中に天使の姿が現れた。 天使が解き放たれるまで 私は石を彫り続けた。 ー ミケランジェロ・ブオナローティ ー

2023/1/24: まいにち だれかの ひとことを こころに。

揺りかごにゆすられていた かつての記憶を呼び覚まし 子守歌が聴こえるような そんな絵を描いてみたいんだ。 ーフィンセント・ファン・ゴッホー

2023/1/23: まいにち だれかの ひとことを こころに。

生命とは、いったい何であろうか。 それは、夜闇の蛍の光。 冬空の水牛の吐息。 夕陽と共に消える、草原に落ちた影。 −クロウフット(Crowfoot/Siksikáwaの酋長)−

2023/1/22: まいにち だれかの ひとことを こころに。

身與華落 心将香飛 (身は華とともに落ちぬれど、  心は香(こう)とともに飛ぶ。) 《解釈文》 肉体とは、あたかも華が散り落ちるように 滅び、地に消え、落ちゆくけれど 心魂とは、立ちのぼる香とともに 空に向かい、飛んでゆく。 –空海– 【解説】 法要の場面において語られた、 地に落ちるものとしての滅びゆく肉体と、 天にのぼるものとしての輪廻する心魂。 これらを花と香になぞらえた、 美しい思想。

2023/1/21: まいにち だれかの ひとことを こころに。

大いなる事物の望むところは、 それについてひとが沈黙するか、 大いに語るかである。 すなわちシニカルに、 また、無垢に。 ーフリードリヒ・ニーチェー

2023/1/20: まいにち だれかの ひとことを こころに。

人が石の前に立ち そこに大聖堂を見るとき 石は石であることをやめる。 ーアントワーヌ・ド・サン=テグジュペリ ー

2023/1/19: まいにち だれかの ひとことを こころに。

愛する術を知ること… それは、詩が知ろうとし、 知らせようとするより前に為すべき 重要なことである。 −アンドレ・ブルトン−

2023/1/18: まいにち だれかの ひとことを こころに。

「明るいほうへ」 明るい方へ 明るい方へ。 一つの葉でも 陽の洩(も)るとこへ。 藪(やぶ)かげの草は。 明るい方へ 明るい方へ。 翅(はね)は焦(こ)げよと 灯(ひ)のあるとこへ。 夜飛ぶ虫は。 明るい方へ 明るい方へ。 一分もひろく 日の射(さ)すとこへ。 都会(まち)に住む子等は。 ー金子みすゞー