色眼鏡


私の父は政治の思想が強い人だった。
嫌いな政党の人間がテレビに出ようもんなら食事中でも罵詈雑言の嵐。
わたしに対して厳しいことなんて滅多に言わない父が、政治のことになると人が変わったように怒り出すのをみていたので政治に関心がある人が怖くなってしまった。

大学生になって、同級生が政治についてTwitterなどで発信することが増えていった。
父と反対側の思想の人間に出会った時、私は心がモゾモゾしてしまう。
深層心理的に、父と反対側の人間が正しいだなんて信じられないのだ。
幼少期から悪いやつだと教え込まれた人間たちを真っ当な人間だとどうも思えない。
逆も然り、父がずっと褒めちぎっていた人間が諸悪の根源だとどうしても思えない。
もうわたしは色眼鏡なしで政治を考えられない。
こんな人間に果たして選挙権があっていいのだろうかと考えてしまう。

もう立派な成人なのになにを言ってるんだと思われるかもしれないが、わたしは政治を語る人間が怖い。
色んな思想の人間がいる中でこういう思想の人間がいることも果たして許されるのだろうか。

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