編む* ぺりりぺりりと春がはがして、

不意に低速になった列車が音もなく
レールの上を滑るとき
車窓を臨む私の前をゆっくりと
白梅の花が通り過ぎて行きました

花びらの落ちる様子を想像したら
はらはらと泣いている
君の頬を流れた泪の音を思い出したよ

頬に梅の花びらを貼り付けて
どこに向かっているのかしら
このかなしみは

私はそれらが乾いた頃に
おべんとつけてどうしたの?なんて
冗談を言いながら
ぺりりぺりりとはがしてあげることくらいしか
出来はしないのだけれど

さっき目の前を通り過ぎた
春が君を呼ぶまで
私が君を呼ぼうか

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