編む* 絡んだ愛してるをとかして

髪の毛をとかしてほしいとあなたが言うので、渡された安物のプラスチックの櫛を、細いその髪にあてている。
抜け毛が多いことを気にしているけれど、私の手にしたその櫛は、するすると滑って、あなたの髪を纏めてくれた。
ひと櫛ひと櫛のその間、私は何度も愛してると思い、そしてそれを言葉に出来ずに少しだけ、唇をかんだりしていた。
もっと良い櫛を買おうよって言ったけれど、あなたは応えない。
迷子になった私は後ろから、両手のひらで、あなたの頬を包む。

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