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Lollipop Moment|十五夜の語り

みなさんはLollipop Momentたるものを経験したことがあるだろうか?Drew DudleyさんのTEDTalk「ほんの少しの発言・行動で誰かの生活が根本的に良くなること」としてLollipop Moment が紹介されている。そんなLollipop Momentがついこないだ自分に起きたのだ。

自分は人前で歌うのが大の苦手である。自分だけの空間だと歌うが、誰かしらそこにいる途端歌うことができなくなる。

幼少期をイギリスで過ごしていた時に、親から入りなさいと言われて半ば強制的に聖歌隊に所属していた。歌うこと自体は決して嫌いではなかったが、配置を決める時に「あやとは声がちょっと違うから端に来て」とか言われたことが歌うのを躊躇するきっかけとなったに違いない。

その後も、家族や友達に「音痴、歌が下手」と言われ続けてきた。自分ではあまり気にしているつもりがなくても、思ったより心の奥底深くに影響を与えていたのである。留学にきてからも、人前で堂々と歌うことが得意なA子に「なんで歌わないの〜?」「絶対に下手でしょ〜」と数えきれないほど言われてきた。


そんな自分が数日前に、

他の人もいる場で歌っていた

自分でもなかなか衝撃的だった。ただただ酔っていたから歌っていたのか、それとも違う原因があって歌っていたのか。ちなみに、どんなに酔っても他の人の前で歌ったことは一度もない。今振り返ると、この状況を作り出したLollipop Momentがそのさらに数日前にあった。

寮の友達5人くらいと飲んでいた時のことである。その5人の中に、前述したA子がいて、案の定カラオケ大会が始まった。いつも通り、自分は体だけ音楽にのり、頭の中で声を発していた。すると、やはり「歌いなよ〜」とA子が言ってきた。それに対して自分は「はははっ」と笑いながらうけながす。そしたら次の瞬間、たった1ヶ月ほど前に仲良くなったB子に「歌えるの知ってるんだからね〜」って言われた。
1秒前まで笑って過ごそうとしていた自分の顔が一瞬で固まったのを感じた。一人で歌っているとこを聞かれていたのか?それともただのハッタリなのか?わからない。結局確認することもできていない。けど、その言葉がどうも引っかかっていた。

歌ったときの会には、A子はおらず、B子はいた。みんなでご飯を食べ、ゲームをした後に音楽が流れ始めた。最初はいつものように体を音楽にのって動かしていただけだったが、気づいたら自分は自然と声を出して歌っていた。

大学などでも友達とカラオケに行った際に「歌いなよ〜」とたくさん言われてきたが、それでも背中は押されなかった。B子は「歌えるの知ってるんだからね〜」と言っただけであって、強制をされた気がしなかったからなのかもしれない。B子が目の前にいたのが安心感に繋がったのかもしれない。ただ間違いなくあの一言が自分にとってのLollipop Momentだった。

最初に述べたTEDTalkの結びとして、以下のようにある。

How many of you guys have a lollipop moment, a moment where someone said or did something that you feel fundamentally made your life better? All right. How many of you have told that person they did it? See, why not? We celebrate birthdays, where all you have to do is not die for 365 days -Yet we let people who have made our lives better walk around without knowing it.

今回の出来事が、今後他の人がいる場で歌えるようにさせてくれたかはまだわからない。ただ、あの場で歌えたことは大きな一歩だと自分はおもう。何よりもとてつもなく楽しく幸せな夜だった。

B子は間違いなくこんな影響があったなんて思ってもいないだろう。自分がそういう言葉を発したことすら覚えていないかもしれない。だからこそのLollipop Momentなのである。そして、そのような機会を与えてくれたことはしっかりと伝えたいと思う。この投稿を読まないかもしれないし、読んだとしても気づかないかもしれないけど、ここでお礼を言いたい。


ありがとね。


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