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XENO公国 No.138

0138〜ベックの秘密

"ベック。あなたこの石たちを元の人間に戻すことができる?"
マナカはベックに問いかけた。がベックはキョロキョロとマナカを見つめているだけだった。
"まぁ、分かるはずないっか"
しばらくするとベックはマナカから離れて人造ゼクノライトの石の方へ飛んでいった。
するとベックは冷気を石に向かって吐き始めた。
"何をしようというの?元に戻せるの?''
マナカが言った。
"あっ!もしかして冷やした状態からのあの白い粉を振りかけるのかな?"
マヒルは白い石の破片を集め始めて、風を起こした。すると、みるみるうちに白い粉が舞い始めた。
"ベック!いくよ!"
マヒルは冷気のかかった人造ゼクノライトに白い粉を飛ばしたのだ。
ところが意に反して人造ゼクノライトから出てきたのは黒い煙だった。
"こ、これはなに?"
マナカは叫んだ。
"し、しまった!まだジルの念が残っていたのか!"
マヒルは再び身体に風をまとって黒い煙を吹き飛ばしていった。
"キリがないな"
"ベック戻って!"
マナカが言うとベックは冷気を出すのをやめてマナカの懐に丸くなってしまった。
"どうする?マコト兄ちゃんならどうする?''
マヒルは黒い煙を吹き飛ばしながら攻め喘いでいた。
"ベックはなにかをしようとしていた。それは確かだ!ボクのやり方が違っていたんだな。マナカ!もう一度ベックに冷気を出させてくれ!ボクはこの白い粉を消してゆくから"
"分かったわ。ベック!もう一度お願い!"
ベックは再び舞い上がるとまた人造ゼクノライトに冷気を浴びせ始めた。
"ここまではいいハズだ!マナカ!こいつは白い粉なんかじゃダメだ!英雄の杖で中の人たちのチカラを呼び覚ましてくれよ!"
"えっ!この杖でそんなことできるっていうの?
ど、どうやって?あっ!ベック!"
するとベックは杖につかまり杖自体に自分の生命力を送った。そのとたん杖が光った!
"ああっ!"
"いっけーっ!"
英雄の杖から発せられた光は人造ゼクノライトたちを照らした。そのとたん石のかたまりだった人たちは殻を破ったかのように次々と姿を現したのだ。
"おやっ!わたしは一体"
"ああっ!元に戻ったのね。よかった"
正気に戻った。人々は口々に喜びを称えあっていた。
"姉ちゃん。お父さんお母さんたちがいないよ!"
マヒルはそこに両親の姿を見ることはなかった。

#XENO公国


西野亮廣さんのモノマネみたいに夢が広がってゆけばいいなと信じてやってゆくよ!