映画:ルックバックが駄作だと思う理由
結論、この作品は原作版ルックバックの天才性を引き出しきれなかった消化不良の駄作、ルックバックを漫画的にのっぺり映像化した同人映画だと思っている。
主に当作品を評価してるのは、漫画版ルックバックを未読の方が多いと思う。一種の詐欺だ、映像作品としてはとるに足らない、煩悩作品であるにもかかわらず。
まず良さ。シンプルに話が面白い、絵が綺麗、音楽、だろうか。ほとんどが漫画版ルックバックの恩恵によるもので占められている。
対極に悪さ。まずカメラワークが単調、要所しか画面に躍動感がない。そこを際立たせるために、道中をあえてしっとりさせたという言い分もわかるが、だとしても手抜き感が否めない。
そして映像的用法がまったくない。最後の藤野が思い出をフラッシュバックするシーン。なにあれ?漫画じゃ藤野と京本の場面を一枚絵として堂々と描き置くのはわかんねん、漫画的にそれが限度やしエモさも際立つ。ただ映画で一枚絵を単調に垂れ流すてなに?もっと躍動感持たせろよ。漫画の表現をそのまま持ち出すって何事や。完全に漫画版をリスペクトして原作再現しましたっつー免罪符で怠けてんのが露見してます。
冒頭の藤野が漫画カリカリ描きとめる長いシーンいらんて。少女が頭ひねらせながら書き留める20秒。なんなんあれ、エモくねーし時間返してくれ。ホリエモンも見に行ったらしいけど、あのシーンで帰らなかったか不安やな。どうせスマホ見てたと思うがな!
京本が藤野の美大への進学を告白したシーン、当作品を一瞥しただけなので間違っていたら申し訳ないが、明らかにCGが用いられていたと思う。確かに特に動きがあるシーンではなかったが、CGモデルで取り繕われた人形のような歯切れの悪い動きには少々気落ちした。細部まで映像美にこだわってほしかった。
あとあれだ。4コマ漫画を、映像に起こして魅せるという手法がとられてたと思うが、京本がif世界で描いた4コマ漫画は、そういう演出が一切取られていなかったように思える。シリアスさを際立たせるためあえてそうしたのかもしれないが、結局手抜きにしか思えない。
天才の作品が汚されたようで悲しいです。
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