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新型コロナ後のエンターテインメント業はどうなるのか

 多くの人が、世界は変わった、もう元には戻らない、そう感じている。私も直感ではそう思うものの、具体的に想像できているわけではない。そこで、渦中の一人として今考えていることを書き出してみる。

前提条件

 素人の私的かつ簡易的認識だが、COVID-19対応の前提条件は下記。

・COVID-19の基本再生産数は2.5、インフルエンザ同等の感染力。潜伏期間は14日間であり、自覚症状の出る2日前でも感染する。

・自粛要請は実効再生産数を1未満に下げる試みであり、日本では79%の接触減が必要。15日後に達成されたか観測でき、達成後も十分な患者数の減少(例えば病床上限まで減る)にはさらに時間を要する。

・患者数を減少させる他の方法として、多くの死者を出しながらの集団免疫率の向上(抗ウイルス薬はまだ無い)や、通常10年かかるワクチンの開発(最速で1年)を行い多くの人が接種する方法がある。

 上記3点から、今回の緊急事態宣言解除後も3密状態は推奨されず、いつでも緊急事態宣言が発令される状態が年単位で継続しそうだ。

参考:科学が示す「コロナ長期化」という確実な将来

興行型ビジネスモデルの中断

 こうなると既存の大規模イベント興業は辛い。集客して密集状態にさせることが出来ない上、長い時間をかけて準備したものが突如失われる確率が高い。興行中止保険の高騰や不況による広告費の落ち込みも予想される。しばらくは去年までの形の仕事はかなり減るだろう。

地方観光の低迷

 不況や訪日外国人の減少に加えて、有給休暇をコロナ以外で消化できる人がどれだけいるのだろうか。都心から1泊2日圏外の観光地での仕事は、コロナ渦明け翌年まで低迷しそうだ。

動画配信はレッドオーシャン

 目の前で実演される魅力と映像作品としての魅力は全く別である上、いまはSTAY HOME支援として優れた過去作品が無料で放出されまくっている。
 動画を使ったマネタイズ方法論は沢山あるが、成功率は低い。とは言え動画視聴数自体は延びており、挑む価値のある有力な選択肢だ。一人の天才による突破なのか、優れた企業がビジネス化に成功するのか。想像はまだ出来ない。

 ヨアン・ブルジョワ「グレート・ゴースト」

ライブ配信はこれからが本番

 緊急自粛による無観客ライブ配信から始まり、無観客であれば感染拡大防止協力金の対象になる判断もあり、これから本格的にどうやってコンテンツを作り配信しマネタイズしていくか模索されていくだろう。特に裏方(照明・音響・ライブハウスなど)はこれしか実施可能な活動が現在は無い。

 ツールの充実も見逃せない要素。Youtube Liveにはスーパーチャットという投げ銭機能がある。無料で相互方向通話ができるZOOM、ゲーム実況に向いているDiscord、拍ズレが起きないSYNCROOM、カンファレンス用のRemoと使い方が違うツールがあるし、これからさらに資本が投下されるのは間違いない。尚、企業内ではSlackやteamsが多いようだ。企業イベントをslack内で行う未来もあるんだろうか?

余談だがこれからはライブビジネスだと言われた時代に「お持ち帰りCD」を始めたのも奥田民生氏であり、社会の変革期でこの方は特に注視すべき。

追記)フェイスブックがビデオ会議システム『Messenger Rooms』を提供予定という情報が入ってきた。課金可能とのことで、これは期待。

VRは機器が普及できず

 上手く行けば体験の質はかなり良いのだが、PSVR、oculus、VIVEなどの専用機器はそれほど広まっておらず、iphoneでのVRは臨場感が流石に少ない。施設型VRに集客もできず、色々と厳しい。

リモートワークショップの隆盛

 グループビデオチャットアプリを使ったレッスンを始めた人は多い。機材はスマホ一台、決済手段も沢山ありレッスンスタジオも不要、既存のコンテンツを流用できるなど、敷居の低さと質の良さでこのまま行けそうだ。ECサイト業界は売り上げが伸びているし(いまはまだマスクを中心とした生活雑貨類のおかげだけど)、グッズ販売との相性も良さそう。国際便の復旧が待たれる。

新しいコミュニケーション手段の普及

 外出せずに人と話す手段として、音声通話からグループビデオチャットへと一気に変革を果たした。かつてのスカイプやFACEBOOKメッセンジャーやHangoutsでも頑なに顔出ししなかったのに、いまや顔出しが基本になっている。それに伴って、新しい遊び方も少しづつ模索されている。

参考:ソーシャルディスタンシング時代の交流空間、ライゾマの遠隔パーティーに参加した

仮想空間(メタバース)+ライブエンタメ

 若年層のデジタルネイティブの間では、マインクラフトで自作卒業式をしたり、フォートナイトでライブに参加したりと、ゲーム内仮想空間での活動も自然だ。家に居る分、ゲームの価値はさらに高まっており、Nintendo Switchは世界中で品薄、任天堂の株価は急騰を続けている。
 ただし、ゲームだけではメタバースにならないし、真のメタバースが作られるのはまだまだ先だろう。 

参考:新型コロナウイルス危機でのゲーム市場とゲーム開発市場についての考察 

参考:インターネットの次を創る「メタバース」とFortnite

そもそも社会が変わった

 社会のありようが変われば、表現すべき内容も変わる。流石エッジの効いたファッション誌VOGUE、いち早く対応している。

 訪日制限、マスク購入のコントロール、一律の社会保障などなど、グローバルな自由資本主義からの逆行が加速したのは間違いない。しかし、次の社会の形は、まだ見えていない。

最後に

 とりあえず私の頭の中をアウトプットした。結論が無いまま長い文章にお付き合いいただいたあなたに感謝を。そして、新しい何かが始まったら是非教えて下さい。


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