「再び海外へ」

葬式の後、しばらく実家で特に何もせず
毎日をすごしていた。

そんなある日、
父が「お前またオーストラリアに行っていきたらどうだ、
このままここにいてもみんなで傷をなめあっているようで、
かえって踏ん切りがつかないから。

お前たちが向こうに行って、
自分の好きなことをやって楽しんでいると思うだけで、
父さんや母さんは新しい希望が湧いてきそうな気がするよ」
と言ってくれた。

このままここで暮らしていくのも憂鬱だけど、
今自分がいなくなったら両親が寂しがるだろうと
考えると踏ん切りがつかず、
ただ悶々としていた時だったので、
その言葉で決心がついた。

オーストラリアに行ったから何かが変わるとは
思っていなかったが、なにか始めることで、
弟の死にけりをつけたかった。 

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