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「日本へ戻る」

そんなとき、実家から、
友達のアパートに電話がかかってきた。

5歳年下の弟が家で暴れたり、引きこもったりで
親だけで面倒みるのは大変そうだから、
すぐに帰ってきてくれ、という祖父からの電話だった。

これは普通ではないなと思い、
文枝はオーストラリアに残したまま、
取りあえず自分だけすぐに帰国することにした。

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久しぶりの日本では、
重苦しい現実が待ちかまえていた。

弟は中学のときにいじめにあい、
高校に入っても同じグループにいじめられて、
高2頃から学校を休むようになっていたようだ。

久しぶりにあった弟は暗くうつむいて、
いかにも病的というような姿だった。

それからしばらく家族で何とかしようとしたが、
あまり本人の状態に変化は見られず、
結局、精神科に入院することになった。

弟が入院した後、これからの弟のことを考え、
実家の仕事を手伝うのが無難だろうということで、
実家から少し離れた割烹料理屋で
住み込みで働くことになった。

そんな仕事をしているうちに、
弟が元気になって退院してきた。

まだ、家の方ではうまくやる自信がない
ということだったので、
2人でアパートを借りて、
弟も料理の修行をすることになった。

しかし2~3ヶ月すると
弟は仕事に行けないといい始めた。
仕事の時間になっても
布団から出ない弟を無理矢理起こして
仕事に行かせていた。

しかし、またすぐに仕事に行かなくなり、
結局辞めることになった。

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