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脳波研究について

脳研究とはなんなのか

脳波研究の話をする前に脳研究の分類の仕方について述べる。以下の図は国立研究開発法人科学技術振興機構 研究開発戦略センターによる「ドライ・ウェット脳科学」調査報告書に含まれている図である。

脳科学俯瞰図 報告書8P

ここで注目してほしいのは横軸の取り方である。「分子、細胞、神経回路、脳領域、脳・個体、社会」とサイズで切り分けている。この研究対象のサイズをもとにした分類を用いることで脳研究における立ち位置を明確にすることができる。

脳波研究とはなんなのか

脳波研究とは「脳波を対象とした研究」である。脳波とは何かは専門書に譲るとして重要なのは「脳波研究は何に使えるのだろうか」ということである。まずは図で整理してみよう。


脳波研究の区分

脳波そのものを研究対象とする「脳波の研究」と脳波を使って何かを研究する「脳波で研究」の二つが脳波研究には存在する。前者は計測した脳波に対して解析を加えたりすることによって新たな関係性などを見つけ出すものである。この研究はハンスベルガーの論文などが象徴的である。また、脳波研究などを使って何か別のことをするのは私が所属している研究室の論文などである。VRやスポーツなど脳波を計測できるのであればその状態における脳の活動などを定量的に外部のデータを用いて観測することができるのである。このように脳波研究は対象と手法、どちらに脳波を使うのかによって区分することができる。
また、「手法としての脳波」として測ることができるのは「脳領域」及び「脳・個体」のレベルである。脳波計は多くとも256チャンネルのデータを1000msでとっており、ニューロンの数が億オーダーであることを考えるとまるで足りない。また、脳内の電気活動の信号というものは奥底になってしまうほどキャッチすることが難しくそれらの反応を解析することが難しい。よって、脳波で計測できる部分は限られてくる。よって、部位レベルや全脳レベルのダイナミクスを観測することとなる。

研究をするときの注意事項など

これら脳波研究を行う際には「ボトルネックはどこか?」ということを考える必要性が生じてくる。各実行段階における主な作業と参加者は以下の通り。

研究の概略図

この中において最も大きなボトルネックは被験者を集める段階である。先行研究の調査やテーマ設定など自分と教授の作業であればある程度の時間の融通は効くものの、被験者との交渉はある程度融通が効く事が少ない。基本的には時間に合致する被験者を呼ぶがN数が集まらないことも多い。そのため
より多くの友達を持つべきである。
また、脳波研究においては脳波計の装着や実験で使う解析のソフトウェアの知識なども必要である。脳波計の装着は慣れない人であれば2時間以上かかることもある。何度も訓練する事が必要である。脳波の解析については以下の書籍が詳しい。脳波研究を行いたいのであれば研究室の加入以前に通読しておくことをお勧めする。

以上が私が持つ脳波研究の内実である。もし少しでも興味があれば以下のTwitterアカウントに接触されたし。気軽に連絡を取ることを推奨する。


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