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パットナム/ギャレット『上昇』掲載グラフ一覧

パットナム/ギャレット『上昇』(創元社)ですが、全部で82枚の図が掲載されています。2枚は新聞・雑誌挿絵の引用で(図3-2、図5-6)、残りの80枚がデータを示すグラフです。パットナムの手による書籍は、データソースとしての有用性がいつも非常に高いですが、ここでは掲載された図について、図表索引がわりにテーマ別に整理しておきます(以前も『アメリカの恩寵』のときに作成しました)。

本書に掲載された図の多くには、1890年から2015年の125年間の幅の、アメリカが個人主義とコミュニティ志向の間で振り子状に揺れる逆U字型の「I-We-Iカーブ」(ヘッダー画像の書影に掲載)が表現されており、下記項目に関するそのような長期傾向およびデータの出典を本書では確認することができます。以下、その他の点についてに簡単に補足しておきます。

  • 経済(第2章)「全般的発展」については、この期間にわたっておおむね全体的な豊かさが拡大していったことが示されます。

  • 一方で人種およびジェンダーの領域においては、格差の縮小・拡大がI-We-Iカーブとどう関係するのかについて検討されます。

  • 主に社会調査(いわゆる「アンケート」)に基づくデータについては、その手法が確立し反復して測定されるようになってからの記録しか得られません。よってこの場合、逆U字の左が欠けていて、頂点の前後からの右半分、すなわち下降側が表現されていることが多いです。そのような種類のデータについては、以下リスト中の見出しにデータ取得の開始された年を(「1960-」といった形式で)付記しました。

  • 『孤独なボウリング』『アメリカの恩寵』『われらの子ども』において、出典がほぼ同一など対比可能な図表がある場合、それぞれBAAGOKという符号を付してその図表番号を掲載しました。例えば『孤独なボウリング』は2000年以前のデータが掲載されていますが、刊行後20年の傾向の継続性を確認したり、同じデータが別書でどのように論じられているかを見ていただけると思います。


経済(第2章)

全般的発展
GDP(図2.1)、住宅面積(図2.2)、自動車普及(図2.3)、乳児死亡率(図2.4)、平均余命(図2.5)、高校進学(図2.6)、大学進学(図2.7)
個人レベル
所得格差(図2.8)、資産格差(図2.9)、経済移動性(図2.10)、絶望死(図2.11)、組合加入(図2.12, ※BA14)
政府施策
所得税等累進性(図2.13)、連邦法人税(図2.14)、遺産税等(図2.15)、福祉支給・社会保障(図2.16)、金融規制(図2.17)、最低賃金(図2.18)

政治(第3章)

政党レベル
政党間協力(図3.1)、(共和党を中心とした)分極化進行(図3.2)、新聞報道における政党間協力・対立(図3.4)、
個人レベル
分割投票(図3.5)、大統領支持の分極化(図3.6)、対立党に対する感情温度計:1978-(図3.7)、政府への信頼:1958-(図3.8)、政治的疎外感:1964-(図3.9)、政治的効力感:1952-(図3.10)

社会(第4章)

組織参加
全国組織の創立年(図4.1, ※BA95)、市民団体の会員率 (図4.2, ※BA8)、クラブ出席低下:1975-(図4.3, ※BA11)、
宗教参加
教会所属(図4.4, ※BA12)、教会出席(図4.5,※AG3-5)、宗教なし:1972-(図4.6, ※AG4-10)
労働組合
Ngram「組合(unions)」(図4.7)
家族形成
初婚年齢中央値推移(図4.8)、世代別婚姻率: 1960-(図4.9)、中年期婚姻率(図4.10)、若年期独立家計率(図4.11)、コホート別出産率(図4.12)
社会的信頼
社会的信頼: 1942-(図4.13, ※BA38)、コホート別社会的信頼(図4.14)

文化(第5章)

Ngram
「適者生存(survival of the fittest)」「社会的福音(social gospel)」(図5.1)、「結社(association)」「協力(cooperation)」「社会主義(socialism)」(図5.2)、「市民(common man)」(図5.3)、「合意(agreement)」「妥協(compromise)」「統一(unity)」(図5.4)、「打倒(subversion)」「逸脱(deviance)」(図5.5)、「同調(conformity)」(図5.7)、「アイデンティティ(identity)」(図5.8)、「責任(responsibility)」対「権利(rights)」(図5.9)、「われわれ(we)」対「私(I)」(図5.11)
 →「組合(unions)」については図4.7
その他
新生児命名の伝統志向:ジニ指数(図5.10)

統合カーブ

各領域ごとの統合カーブ(各1本線)
経済(図2.19)、政治(図3.11)、社会(図4.15)、文化(図5.12)
4領域の重ね合わせ(4本線)
図1.1、図8.1(再掲)
→→全領域の合成カーブ(1本線)
図1.2

人種平等・格差(第6章)

経済等指標 ※冒頭の「経済:全体的発展」と対比のこと
平均余命(図6.1)、南部小学校就学率(図6.2)、高校・大学卒業率(図6.3)、所得(図6.4)、自家所有(図6.5)
政治参加
南部黒人有権者登録率(図6.6)、連邦議員黒人数(図6.7)
受刑率
受刑率黒人-白人比(図6.8, ※OK2-7(全体推移))
平等意識
人種平等に対する白人支持(図6.9)

ジェンダー平等・格差(第7章)

教育
高校卒業率(図7.1)、大学卒業率(図7.2)、大学院修士・博士修了率(図7.3)
労働
女性就労率(図7.4)、男女就労率(図7.5)、女性就労理由: 1978-(図7.6, ※BA48)、男女所得比(図7.7)、男女職業分離(図7.8)
政治参加
男女投票率差(図7.9)、連邦議員女性数(図7.10)
平等意識
ジェンダー平等支持:1972-(図7.11)、コホート別ジェンダー平等支持推移:1972-(図7.12)、コホート成人時ジェンダー平等支持推定(図7.13)


本書に関連した他のnoteコンテンツは以下にまとめていますのでご参照ください。

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