見出し画像

映画「アイドル」の感想のようなもの

自分が魅了されているアイドルグループ「SKE48」一般的な可愛くてきらびやかなアイドルのイメージとは少し違う。可愛いい事には変り無いが、それとは裏腹に汗と涙でステージを濡らす泥臭く爽やかな彼女達。
そんな彼女達のドキュメンタリー映画第二段が作られると赤坂サカスのライブの告知されタイトルを聞いた時
「アイドル」少し違和感を覚えた。自分といては「アイドル」というより「SKE48」だから、、
舞台挨拶もあったので3回は見ました。映画はいわゆるメイキング映像とインタビュー構成しSKE48と共に見て聴いて体験した一年間の記憶と映画の内容と重なり純粋に映画の感想にはどうしてもならず、むしろその記憶に映画は裏側から補完する形でした。自分としてタイトルは「SKE48の作られ方」と言うのが一番しっくりくる。

冒頭に卒業生が彼女の子供と一緒に高柳さんが談笑するシーンが流れる。
普通の女性の幸せと女の子の憧れになれているアイドルとしての幸せを対比して見さられ、団体の紹介の中でファン男女一人づつ紹介され、新人の8期生井上るかさんのアイドルにかける日常も紹介された。まるでアイドルもファンも一皮むけば普通の人と言わんばかりだ。

人々を「楽しませる」にはそこに集まった人の好みな曲やダンスやトークをすれば楽しんでもらえるだろう。でも普通の人が、楽しませるだけでなく心を揺さぶる感動を与えるには、全てを出し切り限界を超える姿を見せる必要があるだろう。誰でも自分で出来そうな事にはあまり感動しないでしょう。
SKE48が言われて来た全力主義とは恐らくこの事でありその努力で多くのファンを獲得して来た。
この感動はスポーツ観戦と似たところがありSKE48ファンにはスポーツ好きも多い傾向。しかし、、

アイドルは比較的寿命の短い職業、過去のアイドル例えば同じ秋元康プロデュースの全国的に旋風を巻き起こしたおニャン子クラブでさえ2年で終了した。
主な活動時期は10代、長くても20代前半、それを過ぎれば卒業し去っていく。個々の理由はあれど、、
SKE48もこの例に洩れず、発足当初から支えAKB48に迫る勢いにまで盛り上げ単独ナゴヤドーム公演へ持っていったメンバー達も一人また一人と卒業して行き、またそのメンバーについていたファン達も散っていった。
SKE48の人気もそれと共に低迷する事に、映画ではグラフで急激に落ちたような演出がなされているが実際はナゴヤドーム公演をピークに下りの階段を1歩1歩落ちていたと自分は実感している。

今まで首都圏に比較的重心をおいていた活動を地元回帰のもと名古屋東海圏重視した活動に切り替え、、どんなに小さなイベント(競馬競輪、野球、サッカー、バスケ、お祭り、自治体関連)にも参加し愛知県内の知名度を回復していった。2枚目のアルバム{革命の丘」のリリースに合わせて大場美奈さんのレコード店廻りもその1例すぎないし唯一違うのはメンバーの自主的な発案と行動だったこと。(もっともファンの間では低迷し始めてからなぜこれをやらないのか?と言う声は上がっていたけど)
地道な努力の甲斐もあって、人気が上向きになり始めてきた。例えば数年前ならばメンバーが名古屋の繁華街を歩いていても気付かれなかったし声もかけられず嘆くブログをよく見かけたが最近ではよく気付かれたり声もかけられるようになった投稿を見ることが多くなった。地元名古屋の知名度のバロメーターと言っていいだろう。そんな時に、嬉しい発表久しぶりの大型施設SSA(さいたまスーパーアリーナ)でコンサートの開催はメンバーのみならずスタッフも浮足立ったのかもしれない。

SSAでのコンサートは楽しいコンサートだったと思う。だけど感動を与えられる程でもなかった。
実際、SKE48以外のファンも多くアウェイ感が半端なかった。映画で語られる大場美奈さんの関係者からの辛口コメントは恐らくこの事なのだろう。
成功に至らなかった原因は映画で語られる新人とベテランの温度差もあるが十分にその指導が出来なかったベテランにもあるし回収しきれてないの入学式企画等の企画面の粗さなどはスタッフにもあると思った。スタッフメンバー全員が気持ちを一つにして全力を出し切れていなかったのかもしれない。
その一ヶ月後に地元名古屋のガイシホールコンサート2公演、、リベンジしなければならなかった。
映画では忙しい合間に熱心に新人の指導をする松井珠理奈の姿があり須田亜香里のインタビューではそれは新人のだけの指導に留まらずベテランメンバーをも巻き込むものとなったらしい。
全員が全力を出し切るには演目をマスターしているだけではダメ、全体の一体感を出すにはそれなりの量の訓練を全体で行う事が必要で恐らくそれを一番理解していたのが1期生松井珠理奈さんただ一人だったのかもしれない。
このガイシホールのコンサート自分は昼公演のみの参加だったがここ何年かのコンサートの中で一番楽しかったし、夜公演も場外音漏れ参戦していたが大盛況だった。

松井珠理奈さんはこれを48G全体にも持ち込んだ。総選挙前のコンサートも成功に導きたい一心からだろう。
そこにはAKB48全盛期の神7から育てられた恩恵を返す意味もあるだろうし、その心を伝えていきたい思いもあったのだろう。
彼女自身韓国との企画、当然選抜総選挙前のプレッシャー、などで心身に疲れがあるにもかかわらず大勢の後輩への指導。彼女がなぜそこまでしなければならなかったのは もうそこまで言う先輩は居なくなってしまったのではないだろうか。
そしてその言葉を受けいれる後輩は少なくメンバーのみならずスタッフからも疎まれたみたいだ。
元々あった疲労、コンサートへの使命感、総選挙まえの重圧、届かない自分の声、信頼の失墜。
壊れてしまうのも当然であろう。それまで理性で押さえ込んでいた感情の蓋が吹き飛んだ。
映画でもあった、彼女が言ってる事はよく聞けばコンサートを成功させる上で普通の事だし、彼女が叫ぶ運営の理不尽さへや不満は、数年前から自分達ファンが思っていたものと同じもの、
きっといつもの強気の笑顔の下に隠され溜めていた気持ちがこの時吹き出したものなのかもしれない。
総選挙の結果はSKE48の1位2位独占で幕を閉じると同時に、松井の卒業した1期生達との約束が果たされた瞬間でもあった。
そして緊張の糸が切れたのか、松井長期休業に入ってしまった。

突然大黒柱を失ったSKE48、それでも幸いな事に総選挙2位で最近TV番組に引っ張りだこの須田亜香里さんがいて新曲のプロモーションやイベントでの代役を全てこなしてくれていた様に自分には見えた。
しかし、個人の仕事とSKE48の仕事の両立の上に新曲センターの重圧、映画で見れた裏側は想像以上で歌番組収録中に泣き出してしまう程だった。(もっともこのことはダンスの先生のコーチングに問題があった事を舞台挨拶の際に本人が述べている)
皆んなでその穴を補いながら向かえた毎年恒例の野外イベント美浜海遊祭ライブ、自分も参戦しこの上なく楽しかったが、10周年を意識したセットリスト、楽しければ楽しい程、何かが足りない感覚。10周年を歩んできた一番祝いたい人がいない寂しさがあった。ライブの最後のベテランメンバーの挨拶がありメンバーも同じ気持ちだったし会場のファンも同じだった様だ。

その美浜海遊祭から一日置いて二日後、赤坂サカスで6期生のライブが開催された。台風が迫る中、、、
一年位前から6期生単独でライブがしたいと言っていたが、纏らずその「流れ」すら作れずにいた。
彼女達にすれば楽しい事がしたいという緩い気持ちだったのだろう。「6期ZEPP」は絵に描いた餅状態がずっと続いていた。
ここで事件が起こった。TBSCS番組「ゼロポジション」での選抜総選挙前の討論番組放送後の事だった。
若手メンバーを集めた1部とベテランメンバーを集めた2部構成だったが、若手メンバーが満足な発言が出来ずに終わってしまった。番組を成立させる為に「保険」として高柳明音さんがベテランメンバーとして唯一参加していたがその事を司会を務めた宇野恒寛さんから指摘されると若手メンバー全員愕然とした。ところが北野瑠華さんが番組プロデューサーに逆切れ。「ベテランばかりを重用して、自分達をもっと信用して欲しいしチャンスを下さい!!」と直訴、彼女達特に6期生にしてみれば個々にラジオのMCを巻かされたりイベント等のトークショーでの場数を踏んできていていてそれなりの経験値からの言葉であろう。
その後噛み付いた彼女は先輩メンバー特に選抜総選挙1位2位様からこの後怒られたことを舞台挨拶の時に聴きました。
しかし、この「噛み付き」が番組プロデューサーには刺さった様で赤坂サカスの小さいステージをチャンス場として提供してくれた。
何が刺さったのか、、「保険」=リスク回避 大人であれば当然の打算であるが、そこには「冒険」が無い。「冒険」無くば何も新しいものは生まれてこない。なによりワクワク感が無い。そう直感したのであろう。
この6期生ライブの雨風が吹き荒れる台風が迫る中ギリギリまで中止にしなかったのは正に「冒険」そのものだったからではないだろうか。
6期生達の状況もこのライブ開催決定の時より状況が変わった。松井珠里奈の休業というSKE48全体を震撼させる出来事に対してグループ内で中堅となっていた6期生として何が出来るのかどうグループを支えていくのか、
先輩の後ろに隠れるのではなく自分達が前に出て引っ張っていく存在になる。そんな意気込みが彼女達の結束を固くしたようなライブだった。
映画にもあったけど、ライブのレッスンの時のミーティングでこの事の其々のSKE48への想いを話す切っ掛けを作ったのはライブの切っ掛けも作った北野瑠華さんだった。彼女にそんなリーダー的適性があったのは新発見だ。
2年前に1期生2人が卒業する時の言葉を今でも覚えている。「自分達が卒業する事が最後の手段」
当時は意味が解らなかったけど、今なら解る。後輩がこうして立ち上がる事をずっと期待していたのかもしれない。

その6期生の中にはチームSリーダー北川綾巴さんの姿もあった。
チームSは前リーダー矢方美紀さんの卒業以降、次にチームの核を担うであろうメンバーが次々と卒業してしまい、副リーダーの犬塚あさなさんが卒業以後、気がつけば変わり者のベテランとルーキーの集団となっていた。
必然的にそのパフォーマンスも公演応募倍率も下がって行き、研究生公演とそんなに大差ないように見える時もあった。
選抜総選挙以後、チームSのエース松井珠里奈さんの休業があり今のチームのメンバーでなんとかしなくてはいけないという意識からか、この少し前の時期から始まったSKE48劇場公演実況等他のチーム公演を見学する機会を貪欲に作りいい所を取り込むだりチーム改革を積極的にやっているようだった。
また、同期の大場美奈さんが選抜総選挙で初選抜入りに感化された山内鈴蘭さんはそれまで一匹狼な立ち位置から積極的にチームと関るようにありそれまで定評があったダンススキルを後輩に伝授し始め、それからメキメキとチームのパフォーマンスは上がっていった。
リーダー北川綾巴とチームSの目標、松井珠里奈さんがいなくても大丈夫と思われるチームにする。
それの試金石を言えるのが、六本木サマーステーションのライブだったのだろう。
このライブは昨年のチームEの公演が好評を得て、今年は各チームリレーの様な形で公演出来る事になり、その1番手はチームSであった。ここで盛り上がれるかどうかがその日一日のSKE48全体の質を決めてしまう。
チームSが他のチームに優れている特長は若さと体力、それを活かす為に9曲ノンストップライブ、当日は真夏の40度近い灼熱のステージ正に無謀な挑戦とも言えた。
その熱いパフォーマンスに集まったファンも応えるように会場のボルテージは上がっていき声援もMAXへ突入していた。その熱が冷めやらぬまま次のチームK2公演へと突入さらに上昇、ステージスタッフから声援規制がかかる前代未聞の出来事となった。これはチームSのロケットスタートがあればこそと思った。
映画でもこのライブの裏側が映しだされており、あの時何故ステージの上で北川綾巴さんが泣いてしまったのか、その時は謎だったけど、映画を観ると彼女はあの灼熱の中チームを全力で引っ張り続け全ての体力を出し尽くして、体の悲鳴に思わず泣いてしまったようだ。それでもステージに立ち続け、ライブ終了し舞台袖に下がると同時に力尽き倒れた。自分も彼女が肩を担がれながら会場裏口から出て行く様子を見ていました。当時もそうだし映画を見ても壮絶なものを感じます。メンバーもそんな彼女の命を燃やすパフォーマンスを見て「綾巴さんが頑張ってるから自分も、」と頑張ると意識が北川綾巴を中心にチームがまとまり始めた時北川綾巴中心のチームSがそこに存在していた。
因みに、録画してあったサマーステーションの番組の中の舞台裏の映像でライブ終了後バタバタとへたり込んでいるチームは48、46GではチームS以外にはいなかった。彼女達はそれだけ命を燃やすパフォーマンスを自分達に見せてくれたのだ。
そして9月、松井珠里奈さんの復帰の挨拶した公演。この時の公演を配信で見ていたが、いつもの公演より明らかにギアが一つ上がっていたのが画面越しにも判った。その時は単純に松井珠里奈さんの復帰が嬉しくてだと思っていたが、そうではなく、恐らく長く準備していた「松井珠里奈さんがいなくても大丈夫なチーム」という目標の完成形を見せる時だったからのかもしれない。
リクエストアワーでもチームSは圧巻のパフォーマンスを見せており、まだまだ若いチームの彼女達の成長が楽しみで仕方ない。
そのリクエストアワーで卒業発表をした松村香織さん。多くのメンバーが涙していた。研究生時代に彼女の世話になったメンバーが多いからだ。彼女は歌もダンスも苦手で研究生である時間が長く終身名誉研究生の称号を与えられる程だった。それでも諦めず、人気を得る為にファンの喜ぶ事を研究生を中心としたメンバー紹介番組や公演の裏方映像等を勝手に配信し始めた。当時のふがいなく理不尽な運営と戦い、自分だけでなく他のメンバーのアンチとも戦ってくれた彼女に恩を感じているファンは多いだろう。メンバーとしてのどん底を知っている彼女はメンバーのマイナスな感情の揺らぎ(特に昇格発表直後の昇格出来なかったメンバー等)にいち早く勘付き対処してくれた。彼女に支えられたメンバーはどれ程いるだろうか、、入団直後にモンスターとまで言われた問題児集団の6期生達に、社会人としての常識立ち振る舞いを教え込み彼女達が如何に成長できるかいつも苦心していた。大組閣直後に八方塞がりとなった当時の研究生の為にアップカミング公演をマネージャーさんと作り上げて突破口とした事もあった。
歌もダンスもイマイチで歯に絹着せぬモノ言いはSKE48では唯一無二な存在が手塩にかけて育てた6期生の赤坂サカスでのライブでの成長を見て卒業を決意したのだそうで、年齢の問題もあるのだろうが、6期生の必死に這い上がろうとする姿をみて自分もあの時の様にもう一度這い上がって命を燃やしてみようと思ったのかもしれない。
映画の中で10周年記念リバイバル公演終了後、後輩に説教する鎌田菜月さんが松村香織さんの姿にダブって見えました。先輩から教えられたものを後輩に伝える姿をありありと見せてもらったが、
舞台挨拶の時に鎌田さんの説教はむしろ後輩を慰めている場面で、本当はその直前に熊崎さんと井田さんがその後輩にカミナリを落としていたのだそうで、そういう嫌われ役も6期生の中からたりして、そういうSKE48愛を背負って注意する所を含めて継承し伝承していけている事を知り安心しました。その後その後輩達もメキメキと良くなり成長し続けています。

大事な10周年記念公演も無事に終わった。その時泣き出すキャプテン斉藤真木子さん。彼女はSSA公演前にメンバー間の温度差にいち早く気づきその危うさを感じている様ないつも大事な事を気付かせてくれる大事な人物だ。今回も、悲願であるナゴヤドーム公演開催の発表は無かった。これだけ上がり調子を感じているにも関らず今だそこまでには至っていないという悔しさの涙だった。映画では6期生たちもその違和感を感じていた。
SKE48の次に進むべき道は何があるのだろうか?という所で映画は終わってしまう。
今のSKE48ならばナゴヤドーム公演は1日だけならば可能だろう。しかし以前湯浅支配人に話しをした時に2日間公演に拘っていた。なぜか、、、、
SKE48の全盛期の象徴がナゴヤドーム2日間公演だとすれば、SKE48の復活を示し内容が残念だった公演のリベンジを果たす為には同じ2日間公演をしなければそれを達成したと世の中にそして自分達に示す事が出来ないと考えているのではないだろうか、後日宇野恒寛さんのネット番組ではこれを「呪い」と表現していた。
この「呪い」にかかっているのは、ナゴヤドーム公演を経験している6D1以上のメンバーでそれを解くためには再びナゴヤドーム公演をやらねばならないが、その為には今の倍以上のファンを作らなければならないだろう。
その為には、今や東海圏1のアイドルになったが、その東海圏での地位を維持しつつその輪を関西圏や関東圏へと広げやがて再び全国区へとしなければならないだろう。この映画もその為の足がかりとなればいいが、、少なくともこの映画の監督はそう考えていると思いますが。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?