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Tribute to Chick Corea 小曽根真×上原ひろみ 2021.9.23 @サントリーホール


本来、チック・コリアの生誕80周年を記念して
小曽根さん、ひろみさんの3人で行われる予定だったそうです。

小曽根さん曰く
「チックは今、ちょっと遠いところにいる」ため
「two bodies and one spirit」での開催となったそうです。

小曽根真×上原ひろみのデュオはどんな音がするのか、非常に興味がありました。
僕の勝手な印象ですが、小曽根さんは熱量高めのピアノを弾くかたなので、
そこにひろみさんのピアノが加わって
熱々のステージになるとは想像していましたが、
その発熱量たるや、予想をはるかに超えてました。


小曽根さんの生演奏は、ビッグバンドのNo Name Horses と
東京JAZZのトリオでしか聴いたことがありませんでした。

しかし昨年のStay Home中に「Welcome to Our Living Room」が配信され、
それを時間が合う時のみですが視聴させていただき、
魂込めて演奏する小曽根さんに感動した次第です。


お二人の熱量が一気に上がったのは、小曽根さんの曲「O'berek」と、
ひろみさんの「Fortitude」ではないでしょうか。

2曲演奏し終えた小曽根さんが
「ピアノ2台の音じゃないよね」とおっしゃってましたし、
真剣勝負からしか生まれない楽しさ、みたいなもので溢れてました。

ゼーゼーと肩で息する小曽根さんから、MCを託されたひろみさん。
暗に「ちょっと時間稼ぎしてよ」という意味合いだったと思われますが
「では次の曲ですが~」とサッサと先に進めるあたり、
ここでもスパルタっぷり?を発揮しててウケました😆

ひろみさんの夢にチック・コリアが出てきて
「マコトとのライブで、この曲を2人で演奏したら絶対に良いと思う」
と言われたそうで、その曲がガーシュウィン「3 Preludes」。

この日の演奏で最も感動したのがこの曲でした。
キューバ序曲、ポーギーとベス、を彷彿とさせるガーシュウィンらしい曲調で、
お二人ならではの持ち味が巧く引き出されていたのではないでしょうか。
再度デュオ公演があるとしたら、是非演奏してほしいです。

ソロもそれぞれ1曲ずつあって、ジャンケンの結果、小曽根さんが先に演奏。
ソロピアニストとチック・コリアの1対1の対話の様相でした。
ひろみさんのソロ「Children’s Song No.4」は
ブルーノートでのSAVE LIVE MUSICシリーズで、
熊谷さんとのデュオのステージで演奏されていたかと思います。
楽曲の背景等わかりませんが、美しくも物悲しいテーマが何度も繰り返される曲。
ひろみさんはチック・コリアにどんな想いを伝えたのでしょうか。

ラストは「2台のピアノのためのファンタジー」
小曽根さんがかつてチック・コリアとツアーを回っていた時、
必ずセットリストに入れていたそうです。
小曽根真&上原ひろみのデュオだけでなく、今後も多くのピアニストに演奏され、
その度に聴衆が「チック・コリアは音楽の中で生きている」ことを
実感するのでしょうね。
感慨深く聴かせていただきました。

アンコールは、絶対そうくるだろうと思っていた通りの「Spain」。
この曲だけお互いに弾くピアノを交換。
客席総スタンディングオベーションと割れんばかりの拍手。
まるでコロナ以前に戻ったかのようでした。

 
このコンサートは追悼の意味合いが強かったはずですが
陽気なチック・コリアに湿っぽい雰囲気は似合わないですよね。
小曽根さんもひろみさんも、心から楽しそうな笑顔で
ピアノを弾いてらっしゃいました。

やっぱり、音楽は素晴らしい。
そのことを我々に伝え続けた音楽家の1人がチック・コリア。

two bodies and one spirit 、
またいつかどこかでお目にかかれますように。


Tribute to Chick Corea 小曽根真×上原ひろみ
2021年9月23日(木祝) サントリーホール

SET LIST

1.  Humpty Dumpty (Chick Corea)
2.  O'berek (Makoto Ozone)
3.  Fortitude (Hiromi Uehara)
4.  3 Preludes (George Gershwin)

5.  Crystal Silence (Chick Corea) - 小曽根真ソロ
6.  Children's Song No.4 (Chick Corea) - 上原ひろみソロ
7.  Fantasy For Two Pianos (Chick Corea)

EC. Spain (Chick Corea)
 

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