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ゾミア

「ゾミア」とは、ベトナムの中央高原からインドの北東部にかけて広がり、東南アジア大陸部の五カ国 (ベトナム、カンボジア、ラオス、タイ、ビルマ)と中国の四省(雲南、貴州、 広西、四川)を含む広大な丘陵地帯を指す名称である。
ウィレム・ファン・スヘンデル教授がその概念の生みの親であり、この広大な山岳境界地帯を、ひとつの独特な地域とみなし、独自の名称を与えることを考えた。それは従来の近代領土国家という単位への批判であり、国家という分析単位を用いない地域研究はいかに可能か? という問いに、ファン・スヘンデルは、フェルナン・ブローデルの地中海史研究を参考に、海を一つの地域世界として捉え直すのと同様に世界一の山岳地帯を同様に捉え直すことだろうと新たな空間的枠組みを提案した。
「ゾミア」という名は、インド、バングラデッシュ、ビルマの国境地域で話されているいくつかのチベット ・ビルマ系言語に共通する語で、「高地民」を意味している。「ゾ」は「奥地」を意味する語で、「山地での暮らし」という意味が含まれている。「ミア」は「人々」という意味である。

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