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VTuberはRAINBOW GIRLを歌わないでくれ
※筆者≠作詞曲者です
まず、RAINBOW GIRLとはなんぞや?という方に
RAINBOW GIRLとは、ニュース速報(VIP)のパートスレ「作曲できる奴ちょっとこい」(作曲スレ)で制作された曲である。2次元でしか居ることができないエロゲキャラクターが、女の子としてのプレーヤーへの片思いが歌われている。
YouTubeや他サービスにいくつか動画があるので聞いたことがない人は実際に聞いてみてほしい
そう、この曲はエロゲキャラの目線からプレイヤーへの気持ちを歌った普遍的なラブソング…
などでは決してない
「RAINBOW GIRL」はオタクの寂しさと、絶望と、希望と、傲慢さが詰まった魂の楽曲である
だからこそ、この歌をVTuberという存在が「歌ってみて」いる現状がどうしても許せなかった!
RAINBOW GIRLは「一方通行」
改めて冒頭の引用文を見返してほしい
このRAINBOW GIRLは「2次元でしか居ることができないエロゲキャラクターが、女の子としてのプレーヤーへの片思いが歌われている」曲なのだ
もう何が言いたいのか分かったかもしれないが、もう少し続ける
曲の歌詞を見てみると、以下のようにある
ごめんね 本音が口に出せないの 私は2次元の女の子
決められた台詞通りにしか 貴方と会話出来ない
当然ながらビジュアルノベルゲームのキャラはプログラムによって「決められた台詞通り」にしかプレイヤーと会話出来ない
もっと言ってしまえばそもそもその場面に選択肢が無ければ、常にゲーム→プレイヤーといった一方通行の情報伝達であり、それは会話ですらない
またスレッド内、投稿当時の作詞者のコメントにはこうある
2次元でも彼女達は一応「女の子」
もし意識があったらプレーヤーをどう見てるんだろうと思って書いた
ストーリー上、決められた台詞、表情しか出せないけど実は画面越しの殿方に恋してる
でも伝えられない、触れられない、しかもコンプしたら新たなゲームに殿方は心移り
そんな愛しさと切なさと心強(ryを表現したかった
冷静に考えてゲームのヒロインがプレイヤーに恋心を抱いているなんてことはあり得ない
彼女らはプログラムであり、一枚(あるいは複数の)絵であり、文字情報でしかないからだ
でもこうあってほしい!そう思い込んだって良い!
画面の外側と内側という世界を設定し、それ越しに愛が伝わることは決してない
お互いに一方通行といった状況を美学的に謳う、そんなオタクのエゴとも言える願望と魂が混じり合い生まれた曲こそRAINBOW GIRLなのであり、それこそ本楽曲の魅力でもある
…お分かり頂けただろうか?
この曲をVTuberが歌うことで、前述の文脈が完全に破壊されてしまうのだ
更に正しく言うなら、VTuberがこの曲を歌い、ファン及びリスナーがそのムーブに対して肯定の意思を示す、といった一連の流れがRAINBOW GIRL本来の魅力を一切殺してしまう
VTuberは「相互作用」
キズナアイや四天王と呼ばれる者をはじめ、現在に至るまでVTuber(バーチャルYouTuber)という文化はインターネット・オタク・カルチャーに大きな影響を与えてきた
2.5次元とも形容されるように、2次元のアニメ、ゲームキャラクターのような存在が3次元世界の我々と接触することで生まれる新しいコンテンツの形…
だがこのトピックにおいてはそれが一番の問題なのだ
ここ数年、VTuberは殆ど所謂配信者、実況者の延長線上に存在している
メインコンテンツとして雑談やゲーム、ときにアニメ展開や番組など持つこともあるが、主な活動は「動画配信プラットフォーム」に依存していると表現して差し支えないだろう
メタ的に言えば「中の人(魂)」と「アバター」という概念を構成する要素のうち、前者に比重が置かれることが多い
また視聴者との交流もある程度あり、それはファンアートだったり、マシュマロだったり、コメント読みやスーパーチャットだったり、視聴者参加型企画なんてものもあるだろう
見ている人が何かしらのアクションを起こせば、彼らは反応してくれる機会がある
したがって(最近の)VTuberというコンテンツは配信を行う側と見る側の意思疎通が行われることで、その形をなしており、それこそが魅力である
つまり、VTuberがRAINBOW GIRLを自分と重ねて歌う行為は
「2次元でしか居ることができないキャラクターが、女の子としてのプレーヤーへの片思いが歌われている」
という楽曲の主たる部分に矛盾を生じさせてしまうのだ
前述の通り、VTuberは本音を口に出すことが出来るし、決められた台詞通りにしか会話出来ない訳では無い
少女/少年の見た目こそ同じようであれど、根底にあるものは「一方通行」と「相互作用」とで全く異なっている
真逆と言ってもいい
またこの曲、歌詞はゲームの中のキャラクター目線で描かれているが、最古の動画で歌っているのは男性なのである
つまり、これは「『2次元でしか居ることができないキャラクターが、女の子としてのプレーヤーへの片思いが歌われている』ことを願い、想像して歌われたオタクの曲」でもあるのだ
それをあたかも自分がゲームのキャラクターであるかのように歌い上げる者と、それを「ピッタリだ」「最高の組み合わせ」などと言ってのけるファンに対して、見るたびに強烈な違和感を覚えた
あなた達は言いたいことも言えて、伝えたいことも伝えられるのに、なぜそんな2次元の偶像の真似事をするのか、その一方通行の関係性に「エモ」を感じて、演じているだけなのではないか、と
俺たちそのものが消費されているのではないかと
そう思ってしまう
これが「VTuberはRAINBOW GIRLを謳わないでくれ」の全容である
おわりに
私はVTuber文化を否定するつもりはまったくない
なにより私も、元は磁富モノエ(引退済)というVTuberの配信を「雑談のすべての内容を授業のノートのように書き出す」という狂ったようなことをするくらい見ていたし、ファンアートも数え切れないほど描いた
そこにある素晴らしさは十分理解しているし、VTuberには「寿命」が存在していることもよく分かっているつもりだ
だからこそ、その素晴らしさを勘違いして、使って欲しくなかった
好きなのに、絶対に伝わらないこのもどかしさを真に理解して欲しかった
そこを軽視してほしくなかった、という
それだけなのかもしれない
これは面倒くさいオタクの我儘で、偏見で、独りよがりな独り言であることを、どうか分かってほしい
小さな6畳間(ろくじょうかん)の中で
また画面越しのあの子に会いに行こう
7/10 追記
なんか予想以上に広まってしまって驚いています
このnoteはあくまで自分の気持ちを知ってほしいな、といった具合のものであり、特定の人物やキャラクターを誹謗中傷する意図は一切無いことを明記しておきます
またこの記事がYASSU以外の誰かによって誹謗中傷に使用される、またRAINBOW GIRLを制作されたクリエイター陣にご迷惑がかかる事態になった場合、ページは即刻削除いたします
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