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広島・浦和・鹿島2020アウェイユニ騒動について

2019年の日本のサッカーシーンもいよいよ大詰め。来年元日に行われる天皇杯決勝の組み合わせも決まり、進出する2クラブ以外はオフシーズンに入ったというこの頃。移籍市場も活発に動き、

特に週明けの今日、移籍リリースラッシュを予想する新聞記者の声も。しかしそんな今日、Jリーグのサポーターの中で一番話題になったのは皮肉にも選手のイン・アウトの話題ではなかった。

株式会社ナイキジャパン(以下ナイキ社)が今日、ユニフォームを提供している浦和、鹿島、広島の3つのクラブでほぼ同時に来シーズン着用するアウェイ用の2ndユニフォームを発表したのである。来る2020年の東京オリンピックをにらみ、日本の国旗にインスピレーションを受けて白と赤を各クラブのユニフォームに統一で採用。デザインも共通というまさに異例づくしのユニフォームだが、その発表されたユニフォームの「配色」を巡って、サンフレッチェ広島のサポーターを中心に大きな物議を呼んでいるのだ。

広島=カープの苦い記憶

ナイキ社から提供されるユニフォームの配色は発表時にその土地の風景やクラブのポリシー、特徴的なモチーフにインスピレーションを受けたという旨の説明がなされる。これはナイキ社がサンフレッチェにユニフォーム提供を開始した2011年から継続してきたことで、過去には厳島神社の鳥居の朱色や平和記念公園を中心とした広島市街地に点在する緑豊かな環境から着想を得た蛍光グリーンなど、無い頭をひねって無理矢理バックストーリーをつけられたであろうナイキ社の既存のカラーリングをサポーターは納得して着ていたのである。そして今回統一ユニフォームに採用された「赤」でナイキ社がバックストーリーとして選んだのは・・・

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カープ!!

ご存知、広島県広島市を本拠地とするプロ野球セントラルリーグに属するプロ野球チームである。今季は4連覇とはならなかったものの2016年から昨年までリーグ3連覇を果たした人気球団である。1945年に原子爆弾が投下され焼け野原になった広島の街に熱気と活力を取り戻した「復興の象徴」としての顔も持つ。ナイキ社が「スポーツの魅力や楽しさ、感動、そして、幸せや平和の実現をフットボールを通じて目指す(原文ママ)」というコンセプトを広島の地において重ね合わせたのはフットボールではなくベースボールチームだったという何とも本末転倒な話である。そしてこの赤色が採用されてサンフレッチェサポーターからは「チームカラーを大事にしていない」「カープの色は嫌だ」「クラブのアイデンティティはどこにある」という声が噴出するに至った。

カープは広島におけるスポーツの象徴であるという向きに対して、良く思っていない人たちも結構な数いる。それはメディアに取り上げられる量だったり、行政の支援の差やスタジアムの環境の違いが要因で一言で説明することは難しい。自分がこれまで会ってきたカープファンの方は幸運にも良い人たちばかりで、エディオンスタジアムに行く道すがら今日の対戦相手を訊いてきたり、励ましのメッセージを貰えることが多かったし、カープとサンフレッチェの在籍選手同士での交流は互いの試合会場に足を運んだり険悪な関係というわけでは無いのだが、一例として同じ広島をホームとするプロスポーツチームの優勝を祝福する趣旨のサンフレッチェ広島公式のツイートに

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このようなリプを送るくらいカープ嫌悪というレベルまでいっているサンフレッチェのサポーターもおり、今回ナイキ社が考えていた思惑が思わぬ波紋を呼んで跳ね返ってくることになった。

カープはサンフレのライバルか。

そもそもカープとサンフレは競技も違えば商売敵でもない。2ndユニフォームをカープのモチーフの赤で作りましたと言っても、広島におけるカープの存在感はスポーツ以上のものがある。もちろんそれはサンフレッチェも十分に有しているが、カープと広島市民の関係性がサンフレッチェの目指すものだということは否定できないし、赤色がサンフレッチェの2ndユニフォームに使われたとて何ら不自然は無い。そもそもサンフレッチェに現状でガンバ大阪とセレッソ大阪、横浜F・マリノスと横浜FC、松本山雅とAC長野パルセイロのようなライバル関係を有するチームは無い。

例えばガンバ大阪の2ndユニフォームにピンクが使われたとしたらもめることは必至だろう。海外であればFCバルセロナは2ndユニフォームには、多くのクラブで採用される白色が一切使われていない。その理由は白色が憎きライバルであるレアル・マドリードのチームカラーであるからだ。

紫がクラブのアイデンティティのカラーだからとはいっても、1stユニフォームと明確に異なる色を採用する必要がある2ndユニフォームで赤色が採用されていたからといって、本来の目的である審判がホームチームと見分けがつけば使用に問題はない。サポーター感情に配慮をといっても、前述のようにサンフレッチェ広島に憎むべきライバルクラブは無い、つまり避けなければいけない色も無いだろうとナイキ社は考えたのである。

個人的な感想を述べると、この2ndユニフォームに関して赤色を採用したことは異論は無い。2ndユニフォームはそういうものだし、背番号と背ネームで紫色が使われればまた印象が変わるかもしれないからだ。来季のオリンピックイヤーに向けてナイキ社の開発担当者が寝る間も惜しんだかどうかは定かではないが、しっかり熟慮の上出してきた企画がこの統一デザインなのだ(と信じたい)

赤色を採用することに問題は無いと考えているのでクラブやナイキ社に凸することはない。ただこれだけは消費者目線で言わせてほしい。

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学校の体操着じゃん。



【完】

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