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令和6年度 一般会計予算審査特別委員会「総務費」「民生費」

以下の内容は、2024年3月に開催された苫小牧市令和6年度一般会計予算審査特別委員会「総務費」「民生費」において、市議会議員である私、嶋中康晴が行った発言内容と苫小牧市の答弁をまとめたものになります。
文字数の関係で実際の言葉を若干簡略化していますが、内容については調整しておりません。(実際は全ての質問答弁がもっと丁寧な言葉でやりとりされています)

Ⅰ:総務費・働き方改革推進事業について

質問先:総務部行政管理室
目 的:市役所職員の兼業・副業を含めた柔軟な働き方について提案

▼嶋中
働き方改革推進事業の予算について、各会計主要事業概要を見ると9,000千円の予算がついている。 事業の目的や必要性、内容を見ると非常に賛同できるが、予算の詳細を具体的に教えてほしい。
▼答弁
働き方改革推進事業900万円の内訳は、労働時間を適正に把握するための出退勤管理システムに係る経費で118万9千円、WEB会議や研修の多様化等に対応するためのオールインワンミーティングボード(1台)に係る経費で24万3千円、働き方改革研修に係る経費で55万円、健康経営優良法人認定申請料として8万8千円、業務上のコミュニケーションツールとして活用しているビジネスチャットに係る経費で693万円となっている。
▼嶋中
本件、先日の代表質問への答弁の中で、自治体唯一の「ホワイト500」について解説があったが、それに伴い職員一人当たりの残業時間削減について、具体的な目標値は設定されているか。
▼答弁
職員のワークライフバランスを推進する上で、時間外勤務の縮減や休暇の取得促進は不可欠なため、目標値を定めて様々な施策を推進している。
時間外削減の縮減に向けては、テレワークや時差出勤等の多様な働き方の推進をはじめ、閉庁時間の段階的な前倒しにより、翌日の勤務までに一定時間以上のインターバルを設けることで、睡眠時間や生活時間を確保する環境整備に取組んでいる。
時間外勤務については、原則として月45時間、年間360時間と上限時間があるためご、目標値としては月45時間超の職員を350人以内、年間360時間超の職員を50人以内としている。
令和4年度における正規職員の時間外勤務実績としては1人当たり平均で月11時間となっており、コロナ禍前と同様だが、選挙がある年度においては必然的に時間外勤務が増加するなどの特殊事情もあり、年度によってばらつきがあるう。
▼嶋中
明確な目標値が設定されていると理解した。是非、原則として設定している上限時間を超える職員を、1人でも減らせるよう引き続き尽力してほしい。
職員の労働時間を減らし、作業効率を上げる取組みを進めていると評価しているが、その先の目標をどう設定するかはそれ以上に重要。人口減少・働き手不足に備え、少ない職員数で運営できる組織を作ることや、新たな事業創出も必要になる。
週休3日制やフレックスタイム制、常時自宅勤務など、働き方の柔軟性を魅力に優秀な人材を獲得しにいくのも効果的だが、そういった観点で「働き方改革の先」のモデルやビジョンはあるか。
▼答弁
限られた人的資源で多様化・複雑化する行政課題に適切に対応するためには、多様な働き方の推進や業務の効率化が不可欠。
本市においては、育児・介護・治療と仕事の両立やワークライフバランスを推進するための制度として、テレワークや時差出勤等の多様な働き方を推進しているが、「業務に集中できる」「家族との時間が増えた」など一定の効果が表れている。
しかしながら一方で、窓口業務や電話対応などの職場で行う業務において、一 部の職員に負担がかかり、不公平感が生じるなどといった課題も見えてきた。
様々な働き方の選択肢を増やすことは重要だが、円滑に制度を運用するためには、日ごろから職場において自由に発言できる心理的安全性を高める必要性も改めて認識した。
週休3日制やフレックスタイム制などの導入についても、運用上の課題の精査が必要だが、「働きやすさ」と「働きがい」のどちらも感じられる職場環境の整備により、職員のウェルビーイングの実現を目指す。
▼嶋中
健康的な生活はもちろん重要だが、社会全体の生産力や国民全体の所得が不足している今、市役所内でも試験的で構わないので「所得を増やしたい職員の想い」を手助けできる改革も検討してほしい。部活の地域移行が進めば、教職員を中心とした、兼業公務員による指導者の確保が重要になる。
また、金澤議員の代表質問に対して「営利を目的としない社会貢献と判断した副業は認めている」という答弁があったが、「営利を目的とする」という言葉の定義は解釈が難しい。基本的に報酬が利益となるもの全てが営利目的と言えるし、逆にお金を払う相手が喜んでくれる内容であれば全てが社会貢献とも言える。
この辺り、今後どのように整備していくのか。
▼答弁
公務員の営利企業への従事については、地方公務員法第 38 条に基づき、職員は、任命権者の許可を受けなければ、営利企業の役員等の地位を兼ね、若しくは自ら営利企業を営み、又は報酬を得ていかなる事業若しくは事務にも従事してはならないとされている。
これは、職員は全体の奉仕者として公共の利益のために勤務しなければならないものであるため、一部の利益を追求する営利企業等に関与することは、職務の公正を害するおそれがあること。また、職員は職務の遂行に当たっては全力を挙げてこれに専念しなければならないことから、営利を目的とする事業に従事することにより職務専念義務が損なわれることを未然に防止するものであり、このような制限が課されている。
したがって営利企業等の従事の許可に当たっては、営利企業と自治体との間に利害関係が生じるおそれがなく、かつ職務の公正を妨げるおそれがないこと、職務遂行上能率の低下を来たすことがないことを主旨として、許可するかどうかを判断する。また、職員の品位を著しく損なうような営利企業等でないことも判断の要素となる。
本市においては、公務外の様々な活動を通して地域の方々と交流を図ることは、より良いまちづくりを進める上で、公務にも活かされると考えているので、地域貢献につながる活動を推進していく。
公務外で様々な活動を行う場合は、これらの判断基準に基づいて、疑念を抱かれるような営利目的でなければその活動を認めており、報酬についても、社会通念上相当と認められる程度であれば時間外の活動に限りるが認めている。
▼嶋中
職員の兼業・副業のルールと考え方について詳細を説明していただいた。
今後、自身の生活の安定や、家族やお子さんのためにもっと稼ぎたい、もしくは個性を活かしたプライベートの時間を充実させたいという職員も増えてくるはず。勤務時間を選べるような働き方も有効ですし、特殊な知見や技術を要した人材を兼業で雇用する制度も拡げるべきだと思う。
先日、浦河町が職員が週休3日を取得できるフレックスタイム制を本格的に運用するという記事を目にした。是非、中長期的な視点を持って「未来につながる働き方改革」になるようお願いして終わります。

Ⅱ:総務費・はちとまネットワーク事業について

質問先:総合政策部政策推進課
目 的:当市と八戸市の連携を、より経済効果に繋げるための提案

▼嶋中
本事業について、事業内容と予算、財源について詳しく知りたい。
▼答弁
本市と八戸市は、多くの製造業が離地する工業都市であり、アイスホッケーチームのホームタウンでもあるなど、多くの共通点がある。また、フェリー航路により、長く本州と北海道を結ぶ発着点として人やモノの交流機能を担っているという関係性もある。
このことから、より密接な連携や協力を行い、フェリー航路を活用した交流人口の拡大など、都市間連携による相乗効果を得ることを目的として、平成30年7月31日に協定を締結し、はちとまネットワーク事業がスタートした。
この事業は年に1度、漁師の市長や関係団体によるネットワーク会議を開催しているほか、観光・スポーツ・物流・貿易、文化の4分野においてそれぞれ事業を行っており、合同での広告媒体作成、両市のイベントにおける相互出展、両市の小学生アイスホッケーチームによる交流試合、船社訪問やセミナーへの参加を通じた両港のPR、苫小牧市美術博物館での特別展開催などにより交流促進を図っている。
なお、財源については、一部、ふるさと納税の寄付金を活用している。
▼嶋中
少額ですが、予算が昨年と比較して減額されている理由は。
▼答弁
令和5年度は、新事業として美術博物館の特別展や両市のイベントにおける相互ブース出展などの事業を実施した。
令和6年度は継続事業の他に、観光分野におけるノベルティの作成や文化分野におけるワークショップの開催など、これまでの取組やネットワーク会議での意見をもとにした結果、令和5年度よりも減額した予算計上となっている。
▼嶋中
予算額の減額について、事業規模の縮小ではないという認識で理解した。
続いて毎年開催されているネットワーク会議について、令和6年度は八戸市で開催とのことだが、内容はどのようなものを計画しているのか。
▼答弁
はちとまネットワーク会議は、両市長と関連する民間団体が出席し、本市と八戸市で交互に開催している。
会議では分野ごとに活動報告を行うとともに、参加者から近況などの情報共有、活動に対する意見をいただいている。
会議の中でいただいた意見については、併せて開催する分野別担当者会議において協議し、事業の推進や新たな取組みの実施に向けた検討を行っている。
▼嶋中
過去の取組を調べたが、両市の親交を深める非常に素晴らしい事業だと感じた反面、姉妹都市である八王子市との連携事業と比較すると、事業の規模や市民の認知度が低いのではないかという印象がある。
今後、より広く市民に知っていただき、事業を拡大していくような対策や施策はあるか。
▼答弁
はちとまネットワークのPRについては、合同での観光パンフレットの作成、SNSでの観光情報及びイベント情報の相互発信、フェリー船内やフェリーターミナルでのポスター掲示とPR動画の放映、両市イベントでのPRブース出展や両市の広報紙への情報掲載を行っている。
また、八戸市在住のインフルエンサーによるYoutubeでの観光情報の発信や旅行雑誌への掲載も行っている。
令和6年度については、両市のイベントで観光PRブースを出展する際に、両市のマスコットキャラクターを用いたクリアファイルの配布も予定している。
このような取組を続けることで、はちとまネットワークの活動が両市の市民へ浸透していくと考え、両市でアイディアを出し合いながら継続して取組んでいく。
▼嶋中
様々取組んでいるのは分かりましたが、よりたくさんの地場企業が参画し、経済効果も含め、より交流が深まる事業にしてほしい。そういった意味で、今年度の計画の内容は前年度との違いはあるか。
▼答弁
観光分野においては先ほど答弁したとおり、両市のマスコットキャラクターを用いたクリアファイルを作成し配布する予定。
文化分野では、昨年度の美術博物館特別展で生まれたつながりを活かし、芸術家の協力を得たワークショプの実施について検討を行っている。
また、令和6年2月1日に八戸港に新しいフェリーターミナルがオープンし、はちとまネットワークのPRブースが設けられる。今年度はこちらのブースでも情報発信を行っていく。
▼嶋中
民間企業でマーケティングや集客に携わってきた経験を基にした私個人の考えだが、こういった事業の目的・目標は経済効果であるべきで、そのための指標として交流人口数があり、指標を達成するためにイベントや配布物などの戦略的周知活動がKPIとしてあるのが基本のはず。
イベントでのブース出展は有効な手段だが、そこで何をPRするのかによって効果が変わるし、クリアファイルの配布も「どこで」「誰に」「どんな内容」のものを配布するのかが重要。
配布する際に「イベント案内」や「フェリー乗車促進」などあれば交流人口の促進が期待できるし、アニメツーリズムやコスプレフェスも交流の場として先方にPRして、フェリーで来てくれるアニメファンやコスプレイヤーに特典を付けるのも効果的なはず。
これらはあくまでジャストアイディアだが、是非、今後も広報・集客手法を追加・改善しつつ、より交流人口を増やしながら永く続く事業となるようお願いする。

Ⅲ:総務費・苫小牧市スポーツ協会補助金について

質問先:総合政策部スポーツ都市推進課
目 的:スポーツの普及・振興の重要性を確認

▼嶋中
公益財団法人苫小牧市スポーツ協会補助金について。
この補助金はスポーツ協会の人件費のほか、市からの事業委託費も含まれていると聞いてている。事業委託されている中で、令和4年度から「スポーツフェスティバル」を開催し、多くの市民が参加している。
令和6年度のスポーツフェスティバルについて、令和5年度と比較して予算や内容の変化はあるか。
▼答弁
スポーツフェスティバルについては、スポーツを見る、支える、するの観点から事業を企画し、市民大運動会や様々なスポーツ体験などの内容で、令和4年度から実施している。
令和5年度は、子どものいる家族向けの企画や企業単位で参加できる競技を実施し、令和4年度よりも1,000人ほど多い、2,500人の方に来場いただき、イベントとして市民の認知度も向上しつつあると手応えを感じている。
令和6年度については、同程度の予算で10月に開催する予定で、今後、実行委員会で内容を検討するが、前回とは異なる競技団体や民間事業者にも協力いただき、スポーツの楽しさを伝える事業にしていく。
▼嶋中
本事業は伸び代のある素晴らしいイベントで、市民の参加数からも満足度や期待感が伝わってくる。スポーツや運動のきっかけづくりとしても一定の効果が見込める事業だと思うが、この事業のように若者や中年層を対象とする、将来的な健康寿命延伸へ向けた取組や計画は他にあるか。
▼答弁
スポーツによる健康増進の取組としては「スポーツ推進計画」における「誰でも気軽にスポーツを楽しむ環境づくり」や、「身近な地域でスポーツ交流ができる機会の創出」などの施策に基づき、各種事業に取組んでいる。
若者や中年層に対象を絞った事業とはしていないが、市では各施設においてスポーツ教室やフィットネス講座などを実施しており、このような年齢層の方々も参加している。
健康寿命を延ばすためには、何らかの疾患を患う前に、運動習慣を身につけることが重要であると考えており、若いうちから取組めるよう、事業を展開していく。
▼嶋中
スポーツ都市を宣言している本市だからこそ「スポーツ都市推進課」が横断的に各部署と連携しながら、スポーツをまちづくりに活かすというビジョンがあると思うが、近年、本市におけるスポーツ人口の変化や運動機会の増加、それに伴う健康数値の改善などは把握できているか。
▼答弁
スポーツ人口の推移については、市内17のスポーツ施設の利用状況になるが、平成29年度は114万360人の利用があったものの、新型コロナウイルスの影響を受けた令和3年度には70万200人まで落ち込んだ。現在は徐々に回復傾向にあり、令和4年度は94万4874人となっている。
また、運動の機会についても、コロナ禍の影響を受けていた指定管理者の自主事業や各種競技団体の活動が、コロナ前の状況に戻ってきていると認識している。
一方で、スポーツ都市推進課としては、市民の健康数値の状況などは把握できていないため、関係部署にも協力を得ながら情報収集し、事業展開につなげていく。
▼嶋中
今後、部活動の地域移行が進めば、学校教育に頼り切っていた中高生へのスポーツ普及の仕組みが大きく形を変えていくことになる。だからこそ地域や民間事業者との連携が重要で、廃校や放課後の学校施設を地域や民間事業者が利活用できれば、今まで以上のスポーツ環境を提供できる可能性もあるはず。
本市においてもマイナンバーカード環境整備事業のような新たな官民連携が進んでいるが、スポーツにおいても他部署や民間事業者との連携を視野に入れた計画はないのか。
▼答弁
スポーツ行政においては、これまで以上に様々な視点を持ち、地域や民間事業者などと連携し、スポーツの振興を図っていく必要があると認識している。
令和6年度については、健康支援課と連携し、「スポーツフェスティバル」や「ウォーキングフェスティバル」に健康づくりの要素も加えて実施する予定です。
また、先般、議員からご提案いただいた、レッドイーグルス北海道と連携した健康増進の取組についても、実施に向けた協議を行っている。
今後は、これまでスポーツの習慣がなかった方が運動を開始し、習慣化するきっかけとなる事業を展開したいと考えている。
▼嶋中
前向きな答弁及び、新たな取組に関しても情報提供いただきありがとうございます。
運動による未来の医療費や介護費の抑制は、その施策を「やった未来」と「やらなかった未来」を直接的に比較することが不可能なため、統計的な仮説や推測でしか効果測定ができない。
しかしそれでも、国内外で数えきれないほど、肥満だけでなく糖尿病や認知症などの予防に運動が効果的であるという研究結果が発表され続けている。
日本一や世界一を目指す競技スポーツの育成や、全国大会などの誘致も魅力的ですが、市民一人ひとりの運動習慣は、まちの未来の「財源」を左右するほど重要なコンテンツ。
今後もスポーツの普及や振興を促す魅力的な事業が増えていくことを期待し、この質問を終わる。

Ⅳ:総務費・町内会スケートリンク経費助成金について

質問先:総合政策部スポーツ都市推進課
目 的:氷都苫小牧のスケートリンク環境及びアイスホッケー人口に対し提案

▼嶋中
本市にはアイススケートを推進する制度として「町内会によるスケートリンク作成補助」の予算があるが、令和5年度の適用数と令和6年度の予算額、及び令和6年度以降の目標リンク数について聞きたい。
▼答弁
町内会スケートリンク経費助成金については、令和5年度当初、3町内会から申請があったが、1町内会が辞退したため、2町内会に助成金を交付する予定。
また、令和6年度については、これまでの実績を踏まえて6町内会分、37万7千円を予算措置している。
一方で近年は、積雪の少なさや寒暖差が大きいといった自然環境の変化から、公園等でのリンクの作成は難しい状況で、冷凍設備を備えているハイランドスポーツセンター屋外リンクにおいても、11月1日の開館日にオープンできない状況が続いている。
このような環境の中で、設置目標数を達成するのは難しいが、氷都苫小牧として、より多くのリンクが開設されるように可能な限り支援を継続していきたい。
▼嶋中
一つの参考として聞くが、本事業開始年度から今年度までの、本事業実績と本市のアイスホッケー人口をわかる範囲で教えてほしい。
▼答弁
本業の実績については、事業を開始した昭和52年度は32町内会32ヶ所のリンク助成を行い、昭和60年度に47町内会63ヶ所が最多。その後は徐々に減少傾向となり、令和5年度は2町内会2ヶ所に助成する予定。
アイスホッケーの競技人口については、本事業を開始した昭和52年頃は、アイスホッケー競技がスケート連盟に含まれていた為、正確な人数は把握できていないが、苫小牧アイスホッケー連盟が創設された昭和62年には2,384人であったのに対して、令和5年度は952人となっている。
▼嶋中
当然、連盟に加盟している選手以外にもアイスホッケーに携わる市民はいるので、これが全てではないと理解しているが、明らかな減少が続いているのは間違いない。
実情として、近年の天候や、スケートリンクの造成に必要なノウハウを持った人材の減少・高齢化など考えると、予算を提示するだけの推進では難しいのではないか。
そもそも「費用」ではなく「知識や技術」の不足が要因で、本当は協力したいという市民や団体もいるかもしれない。例えば「リンク造成技術講習会」のような講習会を開き、町内会による公園リンクの造成はもちろん、個人宅の庭に造るリンクなども対象に「リンク造成技術の継承」も含めて支援してはどうか。
▼答弁
本事業では、リンク造成にかかる必要経費の補助を行っているが、リンクの造成には多くのノウハウや労力を要するものと認識している。
これまでに、リンクの造成に関する講習会など実施した経過は無いが、リンク数の減少は、議員からのご指摘通り知識や技術が要因となっている可能性もあるので、町内会などに対して課題やニーズを確認するとともに、必要に応じてリンク生成に関する技術や情報の支援をしていきたい。
▼嶋中
実技研修など行えば大きな負担になるが、動画によって知的財産を残す方法もある。後世に残すべき価値ある技能なので、何卒、実現できるよう尽力してほしい。
氷都苫小牧、アイスホッケーのまち苫小牧として、スケートリンクが身近なものであることは、今後のアイスホッケー競技人口やスポーツ都市としての環境づくりに非常に効果的だと思う。
今後、スケートリンクの数を増やすための施策。例えば町内会だけではなく、民間企業や個人に対しても協力を呼びかけるなど検討してほしい。
▼答弁
子どもたちが身近な場所でスケートに親しむことは、氷上競技の振興にもつながると考えている。
一方で、天然リンクの減少は、気候の変化や造成にかかる負担の大きさ、担い手の不足といった要因が大きいと認識しており、補助金の拡大によりリンクを増やしていくことは難しいと考えている。
このような中で、議員から提案いただいた民間企業が社会貢献の一環として、自社の敷地や町内会と協力し公園にリンクを作成するといったことは、有効な手段であると考える。
先ずは協力いただける企業があるかなど可能性を探るとともに、場合によっては町内会とのマッチングなど模索したい。
▼嶋中
因みに、氷都苫小牧として、アイスホッケーやスケート環境を守っていくための計画や施策、令和6年度予算は他にあるか。
▼答弁
氷上競技については「スポーツ振興計画」の施策に基づき、競技の人口拡大を始めとした各種事業に取組んでいる。
令和6年度は、幼児から小学校低学年までの初心者を対象とする「氷上スポーツ育成事業」を実施し、アイスホッケーとスピードスケートの競技人口の底上げを図るとともに、「第19回全国高等学校選抜アイスホッケー大会」を開催し、アイスホッケータウンとして、競技の魅力や盛り上がりを市内外に発信する。
また、nepiaアイスアリーナとダイナックス沼ノ端アイスアリーナにおいて「ナショナルトレーニングセンター」の機能を継続し、国内トップレベルの合宿を誘致することで、本市のアイスホッケーレベルの更なる向上を図る。
そのほか、各施設において必要な整備を行いながら、充実した練習環境を維持していく。
▼嶋中
スポーツの普及は「機会の創出」と「興味関心を高める工夫」が必須。そういう意味では数々の施策を継続することで「機会の創出」はできているかもしれない。
それに対して「興味関心を高める工夫」はどうか。
現代の子どもたちは楽しいことが溢れているのに自由な時間が少なく、競技スポーツのような、努力と時間を要し、疲労や勝敗を伴う「非効率的な遊び」は遠ざける傾向がある。
このハードルを乗り越えるには「スポーツを楽しませながら技能を習得させる」ことができる指導者が必要。本市では「アイスホッケーの指導者がいない」という悩みをよく耳にするが、本市には溢れんばかりのアイスホッケー経験者がいるはず。「教えられる人がいない」というのは受け入れ難い。
アイスホッケーに限らず、スポーツは普及を担う人材がいなければ競技人口を減らしていく。アイスホッケーの魅力を伝えられる人材の確保・育成は急務。本市においてなかなか指導者が育たない要因は分析できているのか。対策も合わせて教えてほしい。
▼答弁
指導者の人材確保については、アイスホッケー競技に限らず、多くのスポーツにおいて課題になっている。
要因としては、指導には多くの時間と労力が必要であり、責任も発生する一方で、大半がボランティアで行われており、競技によっては資格取得が必須となるなど、現在の社会生活において、指導者を引き受けて継続できる方が少ない。
市としては、自身の仕事や生活がある中で競技への熱意を持ち、子どもたちへの指導にあたっている方々には大変感謝している。
また、スポーツ協会において「部活動指導者発掘及び登録紹介事業」を実施し、各種競技の指導を引き受けてくれる方の募集を行っている。
アイスホッケー競技については、市内に経験者が多く、指導者の候補となりえる方も多くいると思うので、競技団体などの意見や他自治体の取組みを参考にしながら、子どもたちが競技に打ち込むことができる環境づくりをサポートしていく。
▼嶋中
新人指導者が安心して取組めるようなサポートや学びの環境が必要になる。引き続き尽力いただきたい。
最後に、本市はかつてシーズンスポーツ制があり、夏にサッカー、冬にアイスホッケーのように、季節によって種目を変えてスポーツに取組むチームや子どもがたくさんいた。しかし近年はスポーツ環境の整備も進み、悪い意味で各種目の早期専門家が進んでしまっている。
欧米では複数種目やシーズンスポーツに取組むことを推奨する国が多々あり、スポーツ人口、特に種目別競技人口の維持にも繋がり、結果として国民全体の運動習慣による健康促進を実現しているという事例がたくさんある。
こういった先進事例を参考に「スポーツによるまちづくり」を実現することこそが、「スポーツ都市」を宣言する本市の使命であると強く想っている。こちらは最後、副市長の考えを聞かせていただき終わりたいと思うが如何か。
答弁⑦
スポーツによるまちづくりについては、「スポーツ都市宣言」においても、「スポーツを通じて健康でたくましい心と体をつくり、豊かで明るい都市を築くため」とある通り、本市が目指しているところ。
一方で、子どもたちのスポーツ環境については、人口減少や少子高齢化の影響が大きく、又、部活動の地域移行などもあり、スポーツを手軽に始められる環境づくりや、先ほどお話のあった複数種目やシーズンスポーツを取組める環境づくりなどが求められている。
市としては人口減少の対策として、アイスホッケーを目的とした移住定住の取組を開始したところであり、このツアーへ日本各地から参加があることは本市の強み。
今後については、スポーツ競技の環境をすぐに大きく変えていくことは難しいですが、教育や福祉・健康・医療などの関係部署と連携を図りながら、スポーツを気軽にできる環境づくりやスポーツを通じた健康づくりなど、「スポーツによるまちづくり」という視点を持ってスポーツ振興に努める。
▼嶋中
スポーツフェスティバルのようなスポーツ振興と同様に、まちの顔とも言えるアイスホッケーを中心とした競技スポーツを守り、育てていくことも非常に重要。
両立させていくことは非常にハードルの高いことだが、「スポーツ都市宣言」とは、それを実現する覚悟の宣言だと私は理解している。
自身もより深く学び、今後も情報の共有や提案をしていく。

Ⅴ:民生費・福祉のまちづくり推進事業について

質問先:福祉部障がい福祉課
目 的:4月から事業者に義務化される合理的配慮に関する市としての支援体制

▼嶋中
本件、令和5年度と比較して予算が大きく増額されているが、理由と詳細を聞きたい。
▼答弁
福祉のまちづくり推進事業については、今年度当初予算に比べて22,363千円の増加となっているが、主な要因としては、公共施設のバリアフリー化工事実施個所が今年度に比べて増加したことによるもの。
▼嶋中
それでは2024年4月から義務化される事業者等による合理的配慮について、これに伴う本市事業者に対する取組や予算、支援内容を聞きたい。
答弁②
障がい者差別解消法改正により、民間事業者による障がいのある人への合理的配慮の提供が義務化されることとなり、国や道においても制度の周知を行っているが、本市においてもこれまで民間事業者に対し、関係部署や商工会議所の協力を得ながら広報・HP・SNS等で周知を図っている。
また、本市では民間事業所を対象に筆談ボードや段差解消スロープなど、合理的配慮の提供に要する費用の一部助成を平成29年10月より行っており、令和6年度においても50万円の予算を計上している。
引き続き、障がい者差別解消法に規定される合理的配慮の提供についての認知度を高めるために、合理的配慮の提供に関する内容が含まれている「あいサポーター研修」や助成制度の周知に努める。
▼嶋中
本市が掲げる「福祉のまちづくり」を推進していくうえで、本件においては事業者へ改めて周知し、啓蒙活動を通して積極的にリードしていくべきと考えるがどうか。
合わせて、既に義務付けられている市役所及び公共施設内においては近年どのような対応があり、令和6年度にはどのような予算が付けられているのか。
▼答弁
障がい者差別解消法では、平成28年4月の法施行当初から地方公共団体に対して、障がいのある人への差別の禁止と合理的配慮の提供が義務として規定されているが、令和6年4月から民間事業者にも合理的配慮の提供について周知を図った。
また、合理的配慮の提供に資することから、本市では公共施設に対し、公共施設バリアフリー化事業など行っており、令和6年度については、福祉ふれあいセンターの歩廊設置、日新温水プールのトイレ洋式化、文化交流センター・中央図書館・日吉体育館・川沿体育館のトイレ手すり設置、市民活動センターのバリアフリートイレ改修を予定している。
▼嶋中
民間事業者は入れ替わりも激しく、業種によってはこういった情報に弱い事業者もいるので、繰り返し定期的に周知を継続してほしい。
積極的に市が導入することで民間企業にも波及する効果があるので、引き続き市民からの声に耳を傾けながら様々な配慮を進めてほしい。

Ⅵ:民生費・苫小牧市ファミリーサポートセンター事業について

質問先:健康こども部こども育成課
目 的:子どもの社会教育環境に対する提案と要望

▼嶋中
本件の令和6年度予算の内訳は。
▼答弁
苫小牧市ファミリーサポートセンター事業の予算内訳は、事業実施にかかる委託料938万2千円と、ひとり親家庭等の依頼会員が利用料の一部援助を使用した場合にかかる負担金19万8千円、合計958万円となる。
▼嶋中
現在、預かり及び送迎の中で、習い事の送迎支援があるうが、目的や対象者を教えてほしい。
▼答弁
苫小牧市ファミリーサポートセンター事業の目的は、日毎と育児の両立や子育てを地域で支援するため、会員相互の援助組織を運営し、地域で安心して子育てができる環境づくりをサポートすることが目的。
対象者は小学生までで、依頼会員が預かり料金30分以内350円と交通費500円を提供会員へ直接利用料を支払いすることで成り立っている。
▼嶋中
地域での支え合いを促しながら子どもの社会教育を支える素晴らしい事業だが、今後対象年齢を広げながら拡大していく構想はあるか。
▼答弁
苫小牧市ファミリーサポートセンター事業は、子ども・子育て世帯を対象とした児童福祉施設であり、限られた提供会員数の中で相互援助することで運営を成立させており、児童本人だけでは必要な行動が完結できない年齢である小学生までを対象としている。
中学生以上であれば、交通機関利用や自転車での移動など、自力での活動が可能であることや、提供会員数の確保並びに民業である旅客運送業への影響などを勘定すると対象年齢の拡充は難しいと考えている。
▼嶋中
対象の拡大が現時点で難しいことは分かったが、受益者負担になっていくであろう部活の地域移行も含め、居住地を理由に社会教育を受ける機会が限られてしまう中学生年代の子どもが増えていくと予想できる。これは共働きやひとり親家庭の送迎困難、もしくは財政的な理由やバス路線の減少などの理由も含めて。
もちろん、中学生の放課後時間の課題は子ども育成課の管轄ではないが、部課の垣根を超えて横断的に支援体制を構築することも今後は必要になってくる。そういった意味で、現在ある事業ツールの応用・活用から考えてみるのも一つかと思い提案した。
これは最後に要望だが、中学生年代のお習い事や社会教育の送迎に関する課題について、中長期的かつ横断的に支援を検討してほしい。

Ⅶ:初めての予算審査特別委員会

ついに、市議会議員にとって最も重要な議会の一つ、「予算審査特別委員会」に初めて参加しました。

行政執行は原則この予算に基づいて行われることになり、一般的によく言われる「予算が無い」とは、この時期に決定される翌年度予算に計画されていないことを指します。(予算を作成される際に予算が足りないという意味で言われる場合もあります)

あくまで「予算審査」ですので、ここで行われることは議員による「審査」であって、予算に上がってくる案件組成は既に終わっています。
議員はその予算と計画に対し不明点を質問したり、内容に対して予算・計画の範囲で提案したり、時には反対したり条件付きの賛成をするのが仕事です。

私が担当している一般会計予算だけでも予算の総額は880億円を超え、議会の共通資料である予算書は359ページに及びます。
市民に選ばれた市議会議員(議決機関)が、市民に選ばれた市長をトップとする組織(行政機関)の予算案を審査する。これが「二元代表制」と呼ばれる民主主義の仕組みの根幹となります。

この記事に載せた内容は、予算書で言うと127ページまで。3分の1程度です。
私の質問・提案・要望だけでもまだまだ続きがありますので、是非ぜひ、またのぞきに来てください。

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