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【競走馬】エンブレムボムとドンカルロ事件: 取り違えられた馬たちの未来

驚いた方も多いかと思いますが、昨日の新潟競馬場で珍しい事件が起きましたね。

本物のエンブレムボムはそんなことも知らず、放牧地で寝転んでいる姿を想像するとニヤニヤしてしまいますが(笑)
競走馬を管理する側としては、笑い事では済まされない事件だと理解しております。

日本では滅多に起きないことが故に、起きたら大ニュースになってしまうのですが…以前には一口クラブにて取り違えで募集されていたということもございました。
今回はそんな運命を辿った馬たちについて書いていければと思います。


セーフティーネットとしてのマイクロチップ

今回の事件が判明したのは、レース当日、装鞍所入所時にマイクロチップの照合および特徴確認を行った際ということで、改めてセーフティーネットの重要性を実感した次第です。

そのマイクロチップですが、2007年以降に国内で生まれた競走馬にはこのマイクロチップの埋め込みが必要となったようですね。
国内生産馬で埋め込み第一号になったのが、当時、凱旋門賞に出走予定だった名馬ディープインパクトということで、記憶に残っている競馬ファンも多いのではないでしょうか。
(筆者は当時まだ中学生だったため、背景までは知りませんでした…)

レース前はもちろんのことですが、ブラッドスポーツである故に種付け時、セリでの取引時、前述の一口クラブ募集時に取り違えてしまうと大問題になることから、様々な場面でこういったシステム管理が重要と感じております。

それでも起きてしまう“取り違え問題“

前述の通り、ブラッドスポーツで かつ多額のお金が動く競馬においては、取り違えが与える影響というのは決して小さいものではないと想像しております。
それを示すかのように、今回の事件では2頭の管理責任者である森秀行調教師には過怠金として最高額となる50万円の支払いを科せられております。

では皆さんは今回の件と同等、いや、取り違えられた期間で考えるとそれ以上の大きな事件が昨年起きていたことをご存知でしょうか?

それが広尾TCで起きたドンカルロ事件になります。
旧ドンカルロ(取り違えられた馬)はレトロクラシック’20として2021年募集に出されまして、雄大な馬体が評価されたのか、募集後すぐに満口になったと記憶しております。
※旧ドンカルロのページは事件後に削除されているので、筆者の記憶ベースになってしまう点、予めご理解をお願いいたします。

筆者も母父ディープインパクトの血統的な魅力に気づくのが遅く「あー、やっちまったなぁ(汗)」と出資できなかったことを悔やんだ記憶がございます。

そんな旧ドンカルロに2022年の年始頃、ドンカルロという名前が付けられて、デビューも見据えた2歳の3月末にクラブ会員へ下記のお知らせが届きました。

さて、このたび生産者である木村秀則牧場より、
当倶楽部の募集馬レトロクラシック’20(父ドレフォン)につきまして、
馬の取り違えがあった旨の重大な連絡がございましたので、
ここに謹んでご報告させていただきます。

また経緯については下記のように説明されております。

発生時期は2020年、当該馬の離乳後の11月から12月にかけてで
あろうと推測されており、当倶楽部の募集馬としてラインアップされる
以前より取り違えが生じていたことから、実際にはレトロクラシック’20と
異なる馬の写真や映像を用いて募集を開始し、近況等も
ご紹介していたことが明らかとなりました。

「おい、募集前にチェックもしないのか!!」と思う方も多々いらっしゃるかと思いますが、どうやら2009年産以降の馬からは、それまで当歳時と1歳時に2回実施されていた個体識別検査が、当歳時の1回だけでOKというルールに変更となったようで、関係者の対応自体はルール違反でないようです。

ただ「それでも流石に…」ということで、当然ながら下記のような対応に至っております。

なお、本件につきましては一旦ファンドの取りやめ及び
出資会員様への出資金等の返金を行うこととし、
実馬のコンディションの確認や準備が整い次第、
改めまして最新の情報をご提示したうえで再募集を行う予定です。

同時に牧場からの謝罪コメントと再発防止策(各イベント時でのマイクロチップによる照合)もございましたので、今後はこういったトラブルが起きないことを願うばかりです。

その後の2頭の運命は如何に…

旧ドンカルロに愛着を持って日々の更新を見ていた出資者たちが、ある日突然「取り違えるミスがありました。こちらが新ドンカルロ(本当のレトロクラシック’20)です。」と突きつけられた時の気持ちは想像を超えるものと認識しておりますが、ではその後の2頭はどういった運命を辿っているのでしょうか。

まずは旧ドンカルロですが、経緯から生産者が木村秀則氏、栗毛で同年齢であると仮定すると、登録馬からマコトヴィクラント(父 ダンカーク)という馬に行きつきます。

この2頭を見ていくと…

あぁ、(やっぱり)旧ドンカルロの方が稼いでいる(涙)
旧ドンカルロは中央のダートで1勝、新ドンカルロは地方交流で1勝と、ここまでは賞金的にも旧ドンカルロに軍配が!

複雑ですが、出資者の見る目があったと理解しておきたいと思います。
ただ2頭とも3歳馬で、かつ既に1勝クラスへ勝ち上がっていることから、これからこの2頭がどういった競走馬生活を歩んでいくのか…
引き続き注視していきたいと思います。
(早速ですが、マコトヴィクラントをお気に入り馬にしておきました。笑)

エンブレムボムに幸あれ!

今回の事件の主役2頭であるエンブレムボムとエコロネオに話を戻しますが、どちらも外国馬で血統的に大きな差がないのであれば、1番人気に評価された偽エンブレムボム(=エコロネオ)は調教で評価されていたと判断でき、勝ち上がるのもそう遠い未来ではないのではないかと想像します。

問題はドンカルロ事件と同様に”取り違えられてしまった方”の運命…
新旧ドンカルロのように比較されてしまうのは致し方ないことですが、2頭が共に競走馬として勝ち上がっていけるよう、新旧ドンカルロと同様、これからも応援をしていきたいと考えております。

2020年産駒と2021年産駒で取り違え事件が起きてしまいましたが、2022年産駒では起きないことを祈っております。

今回も最後まで読んでいただきましてありがとうございます!

自分が大事にするものを皆さんへ共有できればと思っております。共感して頂ける方からサポートをいただけますと大変ありがたいです。