24/01/23 【感想】未解決事件は終わらせないといけないから

「未解決事件は終わらせないといけないから」をプレイしました。
プレイ時間は2.1時間、ぐいぐい引き込まれてワンプレーで一気に読み切りました。いやー面白かった!

未解決事件となった過去の誘拐事件を読み解くゲームなんですが、このワンシナリオで語られる事件が非常にゲームシステムとマッチしていて。この事件はこのシステムで読むのが一番おもしろいでしょう。このシステムのための事件、この事件のためのシステム。贅沢な実装です。気持ちよくミステリできるインターフェースでした。
シナリオ面でもこの事件が「未解決事件」となるに至った部分が一番ストーリー的に厚くなるようになっていて、期待を超える満足感がありました。

またサウンドがとても良かったですねー、シンプルで思考を妨げず、それでいてほどよい緊張感を維持してくれる。そして真相へ肉薄するごとに音楽の厚みが増していくようになっていて、システム的に「ハマった」ことが伝わってくるのが気持ち良い。

以下はシステム面についてもう少し書くのですが、人によってはネタバレになりそうなのでちょっと間を取ります。



寛平


このゲームは「誰の証言か自分で選択させる」というシステムが絶品でしたね!
誰の証言か誤認させる叙述トリックなら小説でもあるんですけど、このゲームに関しては誤認を自分の操作によってゲーム側に反映させるプロセスがあるのが良い。
小説として書いた場合の弱みとして「あんまり誰が喋ってるとか意識せずに読んでると刺さらない」というのがあると思います。ところがこのゲームはゲーム側がプレイヤーに「誰が喋ってるか」の判断を逐一求めるようになっているので、騙されポイントをボーッと通り過ぎてしまうことのないようになっています。
また適切なタイミングで発言者が確定されるのもありがたい。読んでる途中で適度に情報を確定させていってくれると格段についていきやすくなります。

実に丁寧な、完成度の高い実装でした。

あと、「未解決事件」として処理されるに至る流れが綺麗すぎて、後からわざわざ蒸し返すにはかなり物語上のモーメントが必要になっているんですが、「タイトル回収の気持ちよさ」という世界の外から借りてきたモーメントで押し込む力技がすごかった。
静かな手触りのミステリなのでもっと上品なタイトルをつけることもできたでしょうし、小説なら十中八九未解決のままにすることを選ぶエンドになっただろうと思うのですが、このタイトルをつけて解決することを選んだゲームの選択には拍手を送りたいです。