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24/02/11 小琉球(1) 13kmの夏

朝、ニワトリの声で目を覚ましました。そういや民宿の真向かいで飼ってたっけ…。

チェックアウトして、キャリーケースを引きながら港へと向かいます。少し距離があるのですが、気持ちよく晴れてくれたので気分の良い道のりでした。実際に引いているのはキャリーケースなのですが脳内では犬の散歩をしていることにしていたのがよかったのかもしれません。

フェリーの発着場でチケットを買います。
今日の目的地は小琉球。離島です。

ここ!

ちょうどもうすぐ出る便があるというので買ったばかりの切符を握りしめて乗り込みました。僕が乗り込むと締め切られて出航するの、RPGの船みたいだ。

旗津に行くときに乗ったお気楽な観光フェリーではなく、乗客は地下に詰め込まれます。
そして渡っていく海も港の中で向こう岸に渡るだけだった旗津のときとは異なり、思いっきり外洋。つまりめちゃくちゃ揺れます。
結構ノン気してた僕も慌ててトランクを開けて酔い止めを取り出して飲みました。目を閉じて精神を海と同化させます。揺れとしては「飛行機の一番揺れてるとき」がずっと続く感じ。これが非常にしっくりくる例えで、思いついたことに満足したら直後に飛行機だったら死を覚悟するレベルの揺れが来ました。

ついた!小琉球!!

小琉球は一周わずか13km、市丸ギンの斬魄刀で囲ってしまえるほどの小さな島なので島内の移動には電動自転車をレンタルすることにしました。
あらかじめ申し込んでおいたレンタサイクル屋で自転車を借ります。まずは宿までなんとかキャリーケースを運んでいって預けてしまって…自転車でどうやって運ぶか…と考えていると、僕の宿泊先を聞いたレンタサイクル屋のご主人がホテルまでスーツケースは運んでおいてあげると言ってくれました。ありがてえ!重ねてお礼を伝えてお願いすると、身軽になってそのまま観光に行きました。
実は最初一瞬警戒したのですが、キャリーケースの方には着替えしか入ってないし、何よりデポジットを預けるのが当たり前の電動レンタサイクルで何の担保も取らないこの店を疑うのは失礼だと感じたのでした。

ウワーーッッ早くも最高!!
晴れてよかった!本当に気持ち良いです。

「小琉球海洋館」に行きました。
水族館なのですが、動物も結構いて、「可愛動物区」という直球のエリアでジャコウ豚やカピバラ、羊や亀やアヒルや馬やウサギやらがのんびりしています。

ジャコウ豚、肌の模様に縁取りがある

島を半周したあたりで半屋台のような店が何軒か密集しているエリアがあったので、お昼を食べることにしました。

魚と肉の炒麺、なんかの魚のスープ、なんかの魚と漬物の炒めたの!
どれもうまい。麺は最初ピンとこなかったのですが食べてるとジワジワなんかおいしくなってくる台湾あるあるの一皿。スープは相変わらずうまいですねー、そして炒め物!味噌っぽいソースで炒めてるんですけど一緒に炒めてる瓜にちょっと塩っけがついてるんですよね。これが淡白な魚と絶妙な噛み合いで。おいしゅうございました。すごい豪華な海の家って感じで雰囲気もよかったですね。

再び島を回ると、




Black Devil Cave

ここだけ横溝正史が名前つけた??
かつて島に逃げ込んだ殺人鬼が立てこもった洞窟?

"烏"はblackの意味があり、例えば黒酢は烏醋と表記されたりします。

小琉球は台湾で唯一の珊瑚礁でできた島で、それによってできた複雑な地形がこの島の魅力です。そしてここは洞窟のようになった地形を楽しむことができます。

面白いのが、海沿いにいるとずっと波の音が聞こえてるんですが、洞窟に入るとピタッ…と無音になるんですよ。考えてみるとデコボコで穴がたくさん空いた珊瑚は防音材として一級なのか。

出たら甘いものを食べたくなったので、名物?のブラックデビルかき氷(烏鬼雪花氷)を食べました。島の名物である桑の実がたっぷり載っていてうまいです。
あずきはGoogleマップに口コミを登録するともらえる無料のトッピングで、おばちゃんにGoogleマップを開いた状態でスマホを渡すとテキパキと全項目に★5を押していったので僕は「お店の人が押しました」と日本語で書いて投稿しました。ダイイングメッセージは犯人が見たら消しているはず議論における「犯人は読むことができなかった」というケースを思い出しました。

そして今夜の宿につくと、レンタサイクル屋のおっちゃんから「荷物届けといたよ」とLINEが来ていて、そこにはキャリーケースがありました。ありがとうおっちゃん…一瞬でも疑ってごめんよ…。

しかし困ったことに、環境への配慮だとかいって部屋には使い捨て歯ブラシなどの一切のアメニティがなく、そしてタオルすら一枚もありません。
ふざけたゾウがこの格好で置かれていただけ。

まあいいや、それは後でなんとかするとして、少し休んでから再び島の一周に出かけました。

島の端っこにはなぜか鳥居がぽつんと立っていました。台湾で見かけることは非常に稀なのですが、なぜ…。

見かけないといえばそういえば、この島に来てから一度も信号機を見ていない気がします。全ての交差点が雰囲気です。これは話に聞く、島を出たときに困らないように小学校の前にだけ信号機があるというやつかしらん。

日没の頃に、「落日亭」というサンセットスポットに行ってみました。昼間は暑かったのですが風が少し肌寒いくらいで、人気の少ない寂しい感じが何だか好いたらしかったです。

さて、暗くなってから道路を走るのはゾッとしないので夕食をサッサと済ませてしまいましょう。

いい感じに賑わってるお店があったので、そこに飛び込んで三杯鶏を食べました。鶏肉ってうめ〜。
醤油・米酒・ごま油を同量ずつ入れるため「三杯」なのだそうな。

レンタサイクルの手配をしてくれた同僚とLINEをして、店主がキャリーケースを運んでくれたことを話しました。
「彼はとてもナイスガイだね」
「間違いないね」

「ところで、帰りはどうやってキャリーケースを運ぶつもり?」

…。

……。

…………。