黒白珠 久留米シティプラザ
脚本：青木豪
演出：河原雅彦
夢の中で自分はいつも他所から来た黒真珠だ。ずっと、白い真珠を探してる…
1990年代半ばの長崎大村で真珠の養殖業を営む新谷家の息子、勇は自分は父親、大地の息子ではなく、家出した母親と叔父の不義の子ではないかと疑念を抱いていた。
定職につかず、ふらふらとしている勇。
心配する大地。
そんな新谷家に、早稲田大に進学したもう一人の息子、光が帰省する…。
スタインベック名作エデンの東を河原さん節でアレンジした、ある家族の肖像的なストレートプレイでした。
エデンの東は本作ではモチーフでテーマやキャラクターの解釈は別物。配置は似てるかな、くらいなのでエデンの東ファンは肩透かしかも。ティムシェルではなくて、ミステリー、人生は黒白つけられねぇな…って哀愁感じました。
平成はじめの九州長崎という、実に閉鎖的な、でも人の絆が厚い地方で、己は不倫で出来た子かも。。っていう自分のアイデンティティに苦しむ兄弟と秘密を抱えた父親の話。
ストーリー解釈は備忘録なので割愛するとして俳優さんの覚書を。
いやー、これだけ演技の上手い人たちが集まるカンパニーだと観ていてストレスがないねー！という感想。
父親の風間杜夫さんと親戚の村井國夫さんが出てくるとピリッと舞台が引きしまる。
村井國夫さんは、どこまで演技なの？ボケてる？って感じがにくいなーと。軽妙な台詞回しが耳に心地よく、遊び人演じさせたら右に出る者がいない。さすがです。前世は貴族ですか？？（←
風間杜夫さんは普段お調子者で頼りない感じすらある父親役なのですが、怒りを示した時の迫力というか一瞬、会場中が息を飲んでしまうような緩急つけ方に唸りました。
失踪した母親役は高橋恵子さん。今回、脳卒中で記憶が曖昧な人です。
品があるのにどこか危うく、触れなば落ちん、泥を吸って咲いた蓮…みたいなところに説得力がありすぎというか。
若い時も高橋さんが演じてらっしゃいますが、後ろ姿だけでも若さを感じさせてゾクゾクしました。たたずまいが美しくて、はー、美女。めっちゃ美女。超美女！！って感じでした。
眼福。
青谷さん、清水さんもよかったな。清水さんはセリフない時も表情がいいなー。好きな若手さんです。
平田敦子さん声でかい！はじめてみたけど声でかい！！笑。正直、この舞台、はじめ、世界観がよくわかんなくて？？？ひょっとしてこの舞台面白くない？？ってモヤモヤしてたんですけど。平田敦子さん出てきてからぐわあ！って舞台に引き込まれて気にならなくなりました。パワーがあるなあ。
あと、狂気の演技うまかったのが、高橋恵子のおつきやく、怪しいチャクラ男植本純米さん。
登場してからずーっと、笑ってるのに怖い感じを醸し出してて。正体に、あー、やっぱねー、って感じでした。
殺人鬼の役とかしてくれませんか？笑。そして実年齢聞いてびっくり。52歳！若いねー！40くらいかと。いいお米食べてるのか。純米だけに…。
主役二人。
平間くんは癖の多い役が多いイメージなんですが今回の光役は迷える好青年でしたねー。
ぶっちゃけ、好青年パートの平間さんはムカつくというか、イラっとするというか！笑。
あ？ふざけんな、あぁん？って双子の勇がムカつくのも納得のリア充。人をイラつかせるの上手いなームカつくなー笑
観客からは一番共感を得られない役だけど、彼が動かないと話まわんないし、嫌われてもいかんし、難しい役だよなーって思いました。
墓掘っている時とか、高橋恵子さん演じる母親に、なあ！なあ！ってすがりついてるところが輝いてました。
平間くんはクズな役やってる時が一番、光ってると思う。背負ってる闇がみたいぜ！またクズ役な時にもまたお会いしたい。
ゴーストのカール役以来に拝見しました(*´∀｀*)クズー！
そして今回同行の友人と「これからも追いかけようぜ！」リストに入れたのが松下優也さんでした。
いや、カッコいい役者さんなのは知っていたんだけど。
結構ギラギラしてて尖ってる美形な俳優さんで、フフって感じのミステリアスな演技する人なのかなーと思ってたんですけど。
勇役全く違う感じでよかったですねー。
へらへらしてる普段とか、ヤンキー味溢れる演技とか、父親を何気なく気遣ってるところとか、死んだ叔父役（二役でした）の時に垣間見せる狂気とか。普通と狂気の演じ分けがうまいというか、めっちゃ引き出し広いやん！あと長崎弁うまいな！！耳がいいからやな！九州民が聞いててもあんま違和感なかったーー！！って感じでござった。
美形なのは相変わらずですけど、こういう柔らかい感情表現も上手い方なんだなー、って正直いい意味で裏切られました。
演じ分けが出来て、歌も歌えて、背も高くて、色気があるー。また追いますので予定を教えてプリーズ！
ストーリー的にはスカッとするというより、人間、色々抱えて明日も生きていかねば、みたいな哀愁溢れるお話でしたけれど、私は新たな推し俳優みつけたので、よし、明日からまた頑張って働こう！と思ったいい舞台でした。
（あ！今日も明日も休みじゃん！やっぱ頑張らずに適当に働こう…d(￣ ￣)
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