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【リマスター】「棚からぼた餅」ポータブル(2010年8月17日)
過去に書いたブログ記事を少々のブラッシュアップを加えて再掲載する試みです。今回は2010年8月アメブロで公開した「『棚からぼた餅』ポータブル」という記事です。
図らずも幸運がやってくる事の例えとして「棚からぼた餅」という言葉があります。何の努力もせずに得られたぼた餅の味わい。何とも言えぬ美味しさ。これはぼた餅それ自体の味わいによるものだけではなく、棚から不意に出てきた幸運な偶然性にもあると思います。そう、棚にはぼた餅と「幸せ」が乗っているのです。
部屋を捨てよ、棚と出よう
僕の家には食器棚がありません。つまり「棚からぼた餅」の状況は起こりえないのです。「棚からぼた餅」という言葉が大好きな僕としては大変悲しい事です。ということで、とんちをひねって解決することにしました。家の中にいても辛気くさいだけなので公園へ。
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公園に棚です。箱に見えるという意見もありますが、棚です。家に棚が無いので「ぼた餅専用棚」を作ったのです。せっかくなので持ち運び可能な大きさにしました。いつでもどこでも気兼ねなくぼた餅にありつける幸せ。この幸せを享受するのが僕一人だけでは勿体無いので、他の人にも幸せをおすそわけする事にしました。
棚から「ぼた餅以外の色んなモノ」
買い物の用があったので近所の雑貨屋へ。当然棚持参です。店主に事情を説明して棚を置かせてもらいました。
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「棚」と書いてなかったらただの小汚い箱ですから説明するのがちょっと恥ずかしいです。なるほど最初のうちは店の皆さんの表情が「ぽかーん」としていましたが、話すうちに棚の魅力に気づいてくれるのです!
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「棚から田中さんとか棚倉さんが出てきたら面白くない?」(棚倉さんとは店主の中学時代の同級生とのことで、母子ともにおかっぱ頭が印象的だったそう)
「棚からパンダが出てきたらもっと幸せそう」
「そのぼた餅はあわしま堂だね。愛媛の至宝、あわしま堂」
などなど、積極的に意見を出していただくまでに至ったのです。そして結果的にこちらの作品が完成しました。
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「棚からマトリョーシカ」です。「オレンジ箱からチェブラーシカ」はもう古い。今後、東欧雑貨の店では棚から不意に出てくるマトリョーシカが幸せアイテムとしてフィーチャーされること間違いないでしょう!
東欧輸入雑貨セレクトショップVesna!
京都市北区小松原北町119
http://vesna-ltd.com/
※記事投稿当時とは定休日が異なりますので上記サイトやSNSをご確認ください
続いて近所のカフェで休憩です。やはり最初は棚へ向けられる不審の眼差し。しかし「ぼた餅専用棚」の説明で一気に場が盛り上がります。このカフェ名物のガトーショコラが出てくる「棚からガトーショコラ」の誕生です。そこから一気に打ち解けて、カフェのイベント情報で盛り上がってしまいました。
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ぼた餅専用棚には、人のバリアをはがす作用、人を楽しませる作用があるみたいですね。
epokhe cafe
※記事再掲示の2024年現在は閉店
棚に詰まった幸せを持ち運ぼう!
帰り途中にある駅でも棚を置いてみました。前述の場所と違って誰かに棚を自慢するというわけではなく、風景に溶け込ませたらどんな感じか見てみたかったのです。
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なるほど、文庫を添えてあるところが棚っぽさを出していますし、ぼた餅の存在感もなかなかのものです。寄り道しつつ、これが本来求めていた「棚からぼた餅」。
そんな事を思いながら写真撮っていると、声をかけられました。「やさしさちゃん、ひさしぶり!何してんの?」何と学生時代の友達でした。お盆休みで東京から帰省中とのこと。ビックリしながらも棚の事を説明すると、卒業以来会っていない数年間の時間的隔たりが一気に無くなりました。「何やねんそれ!やさしさちゃんは相変わらずやなぁ」
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棚ひとつで話題が広がります。共通の友達のアミタニ君は30になろうとしてるのに未だに風呂が苦手で、3日間シャワー浴びてすらいないとか、アシダ君が大阪で仕事してるとか。僕が棚を持ち歩いて街をふらついていなければこんな偶然は無かったわけですから、棚の効果を評価しないわけにはいかないでしょう。
ぼた餅専用棚は、それ自体がぼた餅のような存在なのです。あったらうれしい、あったら楽しい。みんなを笑顔に出来るもの。そして、いつでもどこでも持って歩ける棚には、ぼた餅が入っていなくても良いのです。誰かがもっと良いもの -楽しさ、面白さ、幸せとか- を入れてくれるのですから。棚から生まれる人と人の交流。皆さんも棚を作って街に出てみたらいかがでしょうか。
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