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ポーカー要注意ボード54 BTNvsBB SRP 974ツートーン

こんにちは!八坂です。

本日はBTNvsBB SRPにおける974ツートーンボードが落ちたときのCB戦略について解説していこうと思います!

9ハイの少しウェットなボードを解説していこうと思います。このボードでは最適な戦略が完全に決まっています。感覚だけではたどり着かないGTOから導ける戦略を紹介します!

また本記事はかなり独自の分析を行っています。
正直言って、一般には出回っていない情報だと思います。EVやレンジの構成に着目し、本格的な分析を行っています。
プロテクションベットやブラフに関する分析も含んだ内容となっているため、このボードの戦略に限らず、ポーカー全般における原則を学べると思います。


1.戦略の概要

BTN側のCB戦略

BTN側のCB戦略を確認していきます。ポットに対して33%,50%,75%,110%のベットサイズを入力し、ピオソルバーで計算を行なっています。

図1.1 BTN側のCB戦略

図1.1はBTN側のCB戦略です。110%potのオーバーサイズのCBが最も好まれていることがわかります。他3つのサイズはほとんど使われておらず、戦略はオーバーサイズ一択となっています。そのため110%のみの簡易戦略を調べるだけで十分だと考えられます

図1.2 110%サイズのみのBTN側のCB戦略

図1.2はBTN側のベットサイズを110%のみにし、簡易化したときの戦略になります。

4つのサイズを使用した戦略のEVと110%のサイズのみを使用した戦略のEVを比較すると

  • 4つのサイズを用いたCB戦略のEV:35.38

  • 110%サイズのみを用いたCB戦略のEV:35.41

2つの戦略を比較したときのEVはほとんど変わらないことがわかります。むしろ110%CB戦略のほうが高いEVとなっています。そのため110%CBのみを使用する戦略が最適だと考えられます。

BB側のディフェンス

図1.3 110%CBに対するBB側の戦略

110%のCBに対して7のペアはほとんどコールするし、4のペアでさえも60%ほどの頻度でコールしています。またレイズもしっかり行っていることがわかります。

2.戦略の考察

今回は110%のCB戦略と33%CB戦略を比較し、ベットサイズがもたらすEVの影響を考察したいと思います。

BTN側の考察

33%サイズのみのCB戦略は図2.1に示します。

図2.1 33%サイズのみのBTN側のCB戦略

33%CB戦略を用いたときのEVは34.76となります。110%CB戦略を用いたときのEVが35.41であるため、2つの戦略のEV差は0.65になります。0.65は55のポットに対して約1.18%を占める値になります。33%CB戦略は110%CB戦略と比べて1.18%のEVlossとなるため、大きなEV差が生まれているといえます。

図2.2 BTNのレンジ構成

次に、BTN側の33%CB戦略と110%CB戦略におけるBTN側の各ハンドのEVを比較します。

図2.3 BTN側の33%CB戦略と110%CB戦略のEV比較

110%CB戦略においては、トップペア以上のハンドのEVがかなり上昇していることがわかります。

図2.4 BTNとBBのトップペア以上のEQ分布

図2.4のEQ分布より、BTN側はトップペア以上の割合がBBと比べ高いことがわかります。BB側のTT以上のオーバーペアはプリフロップの段階で3ベットしているため、フロップにおけるオーバーペアの割合が少なくなっています。

このボードにおいてトップペア以上のハンドの多くはオーバーカードがターンやリバーで落ちることを嫌うためプロテクションのために大きなベットが好まれると考えられます。

プロテクションベットとは

エクイティのある(強いハンドに対してアウツを保持している)ハンドに対してベットを行うことで、コストをかけEVを削る戦術のことです。エクイティのあるハンドはベットされること自体を嫌います。ベットに対してフォールドしてしまうとアウツを引くチャンスを失うし、コールを行うのであればアウツを引く前の弱い状態でコストを支払うことになるからです。

このボードにおけるトップペア以上のハンドはオーバーカードが落ちてしまうターンやリバーにおいてハンドの強さが弱くなってしまい大きなバリューベットができなくなったり、バリューベット自体が打てなくなってしまい、チップを稼ぐチャンスを大きく失ってしまいます。そのためフロップにおいて強さが十分にある段階で大きくベットを行いバリューをしっかりとっています。BTN側はトップペア以上のアドバンテージがあるため大きなベットを行うことが可能となっています。もしアドバンテージがない、つまりマージナルなハンドを多く含んだレンジでこのような大きなベットを行ってしまうと、高頻度のレイズによるカウンターを受けてしまいます。

ブラフハンドのEVとベットサイズの関係

また図2.3より、ドロー系のハンドのEVも110%CB戦略を用いることで大きく上昇していることがわかります。

ブラフハンドにはアウツを引くことでポットを獲得する確率を増やす何かしらのエクイティが存在しています。よく挙げられるハンドの例としてはフラッシュドローやストレートドローがあります。これらのハンドはアウツを引いたときにナッツ級の強さになるため、ブラフに向いています。これらのハンドでブラフし、相手をフォールドさせることができなかったとしても、アウツを引けば相手のレンジのほとんどに対して逆転できるため、その瞬間から強力なバリューハンドに変化し多くのチップを獲得できます。多くのプレイヤーにとって逆転できる可能性があることから、心理的ハードルが下がりブラフしやすいと考えられています。理論的にもこのようなドローハンドはブラフに向いており、これらのハンドをブラフにすることで、ベットレンジのブラフ頻度を上げたり、バリューレンジのEVを向上させたりすることができます。

今回のボードにおいてはフラッシュドローやストレートドロー以外にも、トップペアのカードとなっている9に対して多くのオーバーカードが存在しており、オーバーカードを含んだエアーハンドがかなりのエクイティを保持することになります。オーバーカードをヒットさせればトップペアとなるため、これらのハンドはかなりのEVを獲得できます。

ではなぜこれらのハンドが大きなサイズのベットによってEVが向上するのでしょうか?2つの理由が考えられます。

  • レイズされる頻度が減る

  • 相手のレンジをキャップできる

1つ目のレイズの頻度が減るについては、小さなベットよりも大きなベットに対してのほうがレイズができなくなるので、結果としてBTN側のエクイティのあるハンドがフォールドさせられることが減るということです。BB側の各CBサイズに対するレイズ頻度について、対33%CBには12.74%対110%CBには7.84%レイズを返しています。

2つ目の相手のレンジをキャップできるについては、BTN側が大きなベットを行いBB側のオーバーカードを多くフォールドさせることで、BTN側のオーバーカードがヒットしたときにトップペアとしての価値を上げることができるということです。
33%CB戦略と110%CB戦略それぞれにおいてBTN側がCBを行いBBがコールしたシチュエーションを考えます。ターンでオーバーカードが落ちたときのBTN側とBB側のトップペアの割合がどのようになるかを見てみます。

図2.5 オーバーカードごとのトップペアの割合

図2.5より、明らかに110%CBを打った時のほうがBTN側のトップペアの割合が増加していることがわかります。つまりBTN側はトップペアをヒットさせたときのドミネイトされている可能性が減り、バリューが打ちやすくなります。この状態について解釈として難しい点が、コールレンジに対するエクイティが上がるわけではないというところです。110%CBは33%CBと比べBB側のコールレンジを狭くしているため、対110%CBに対してはBB側のコールレンジのツーペア以上のハンドの割合が高くなっています。そのため33%CBと110%CBとではトップペアをヒットしたときのエクイティに関しては33%CBを打った時のほうが高くなります。しかし重要なことは33%CBと110%CBを打った後ではターンでのポットの大きさが全然違うということです。33%CB後のターンポットサイズは91。一方110%CB後のターンポットサイズは175となります。次に、ターンでトップペアを引いたときの平均エクイティをみてみます。

図2.6 各サイズのCB後のトップペアEQ

図2.6より、110%CBを使った後だとしても大きくトップペアのエクイティを失っているわけではありません。つまり33%CBから110%CBに変更したとき、ターンで引いたトップペアのエクイティは6%ほどしか減少しないのに、ポットのサイズが約1.9倍も増加するのです!
110%CBがオーバーカード系のEVを増加させる理由が良くわかります。

エクイティのあるブラフハンドはアウツを引いたときに強ければ強いほどEVが上がります。今回のボードのように相手のレンジをキャップすることで、アウツの価値を高めブラフのEVを上げることが可能になります。

BB側の考察

次にBB側のレンジ構成及び、EVを比較してみます。

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