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「自閉症は津軽弁を話さない 海外事情編」10月27日(木)20時~

当日のリンク(Replayもこちらで聴けます)はこちら。

野菜さらだの「そうだ!あの人の話を聴いてみよう!」第18回
テーマ「自閉症は津軽弁を話さない 海外事情」

テーマの概要
アイスランドのASDコミュニティには、「若いASDは母語であるアイスランド語よりも英語を好んで話す傾向がある」とのコンセンサスがあり、北アフリカでは、「実践家は、日常会話ではほとんど使われずテレビなどでしか聞くことのない現代標準アラビア語の顕著な習得を示すASDの子どもに頻繁に出会う」といわれます。そして、日本の方言主流社会では、「自閉症の方言使用が少ない」との印象が保護者や関係者の間にあります。
 松本は、青森県津軽地方に存在する「自閉症は津軽弁を話さない」という風聞をきっかけに、ASDの方言使用について研究してきました。調査の結果は、ASDの方言不使用の印象が全国で存在すること、加えて方言語彙の不使用も見られることを示しました。また、この現象は幼児期のASDにおいても見られます。これらの結果を元に、ASDの子どもの中には家族や周囲の人々との自然なやり取りを通じてではなく、主にメディアからことばを学んでいる子どももいる可能性を松本は指摘しました。しかしながら、言語研究者の一部からは「子どもがメディアから言語習得するなどありえない。言語発達の定説を無視している。」との強い反対意見が出ています。
 もし、ASDがメディアから言語習得をしているのであれば、日本の方言主流社会と同様に、周囲の人々が話す自然言語とメディア言語が異なる社会においては同様のことが起きている可能性が考えられます。
そのような中、アイスランド在住の日本人の方を介して、現在英語が主要言語となっているアイスランドのASD当事者・保護者へインタビューする機会を得ました。

<そこから見えてきたものとは?>
<アイスランド・北アフリカ・日本の方言主流社会の共通性とは?>
<メディアからの言語習得は考えられるか?>

自閉スペクトラム症の障害特性と社会的言語システムの織りなす不思議な現象へとご案内します。

参考動画
 1)『自閉症は津軽弁を話さない』 海外編.(第1回自閉症学超会議最優秀展示賞)https://www.youtube.com/watch?v=qzzy_W2SLkM&t=1s

 2)コミュニケーションの基盤としての情報の共有. 日本特殊教育学会第59回大会自主シンポジウム「自閉症は津軽弁を話さないーコミュニケーションを育む情報の獲得・共有のメカニズム」話題提供, 前半 
https://www.youtube.com/watch?v=6lKOm4hjQ80

3)ASDをどう理解するか. 日本特殊教育学会第59回大会自主シンポジウム「自閉症は津軽弁を話さないーコミュニケーションを育む情報の獲得・共有のメカニズム」話題提供, 後半 
https://www.youtube.com/watch?v=KQtx-kEDhZg&t=7s

参考書籍・文献
1)松本敏治(2017)自閉症は津軽弁を話さない 自閉スペクトラム症のことばの謎を読み解く. 福村出版. (/角川ソフィア文庫, 2020)
https://www.fukumura.co.jp/book/b285725.html
https://store.kadokawa.co.jp/shop/g/g322003000236/

2) 松本敏治 (2020) 自閉症は津軽弁を話さないリターンズ コミュニケーションを育む情報の獲得・共有のメカニズム. 福村出版.
https://www.fukumura.co.jp/book/b515732.html
 
3)松本敏治(2022)ASDの言語習得におけるメディアの影響〜アイスランド聞き取り調査から〜 情報解説. 特別支援教育研究, 783, 58-59.(印刷中)

松本敏治先生プロフィール
博士(教育学),公認心理師,特別支援教育士スーパーバイザー,臨床発達心理士。
1957年,福岡県生まれ。1987年,北海道大学大学大学院教育学研究科博士後期課程単位取得退学。北海道の大学で勤務し,2000〜2003年,弘前大学教育学部助教授,2003〜2016年,弘前大学教育学部教授。弘前大学教育学部附属特別支援学校長(2011〜2014年),弘前大学教育学部附属特別支援教育センター長(2014〜2016年)。2016年から教育心理支援教室・研究所 ガジュマルつがる代表を務める。主な著書として『自閉症は津軽弁を話さない 自閉スペクトラム症のことばの謎を読み解く』(単著)(福村出版/角川ソフィア文庫)、『自閉症は津軽弁を話さないリターンズ コミュニケーションを育む情報の獲得・共有のメカニズム』(単著)(福村出版)。現在は、スクールカウンセラーや発達障害の子ども成人の方の相談支援を行いながら、ASDの言語習得を研究している。

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