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はっさく ~母の入院~

居間のこたつで休んでいると、母がやってきて
「まだ先の話なんだけど、来年の春頃、入院して手術するんだよ」と言われました。
私がハウスの手伝いに、実家に通い始めた頃でした。

それほど驚かなかったのは、母が患っている病気のことだったからです。
とはいえ、入院して手術となると家族にも影響が及びます。
今日は、母が入院する前の話をしようと思います。


当初、手術は半年ほど先の予定でした。
それが2月に早まり、心が急かされる感じがしました。

弟に聞くと「詳しくわからないから、知りたいんだよね」と言われました。
それならと、両親に話をすると「もう(弟に)話したよ」と完了形でした。
うーん、きっとどちらも本当なんだろう。

どうして距離が近い間柄だと、ぶっきらぼうな対応になってしまうんでしょうね。

手術については詳細を聞いていなかったので、私から母に聞いてみました。
すると「たくさん資料があるから、それを見てもらえれば」と、重たい角2封筒を預かりました。

中には病院に提出する書類、入院中のアメニティの案内など、差し当たって入院に必要な資料が入っていて、症状がわかるような資料は見当たりません。
再び母に聞くと、現在の症状と手術内容をかいつまんで教えてくれました。

どれくらい入院するのか、入院中の着替えはどうするのか…思いついたままにたずねると、まだ決まってないこともちらほら。

もしかしたら「これから決めようと思っていたのに…」と、母をモヤモヤさせてしまったかもしれません。
勉強をしようとしていた矢先に「勉強しないの?」と聞かれた子供のような、絶妙なタイミングの悪さと言えばいいのでしょうか。

自分が聞きたいことと、相手の気持ちを想像する加減が難しいと、母を質問攻めにしたあとに気づきました。
思ったことをすぐ口に出してしまう、私の気をつけたいポイントです。

その後、父を交えて入院前の検査や入院のことをその都度私と弟に教えて欲しいとお願いしました。


母の入院で、ふと自分が入院した時のことを思い出しました。
妊娠中に急遽入院となった時のことです。
当時の私は、上の子を実家に預けての入院になるので、私自身のことで両親の手を煩わせないようにしようと、面会を減らしたり、なるべく夫に頼んだり、色々考えていました。

きっと母にも(たぶん父にも)、家族に心配をかけたくない気持ちがあって、入院の準備をしているんだろうな。


帰り際、母から「はっさくが売ってたから買って来たよ、あとて食べて」と渡されました。
それを見て、ふふと笑いそうに。
「お母さん、それ私も昨日買ったよ」
とは言わずに、母の気持ちをありがたくいただいて帰りました。




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