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四工大生にこそ見て欲しい社会派アニメ映画




こちらのページはTokyo City University Advent Calendar 2020 13日目の記事です。 前日の記事はにゅーなるこさんの「オリジナルデザインのArduinoを作ろう!五島慶太編」です!

毎度お騒がせしております12月13日担当のやさい🥕です

今日は若い皆様に大学生のうちにぜひ見ていただきたいアニメ映画のご紹介です(本当は私の素性を隠すことなく全てここに書いてしまおうかなとも考えましたが、それはまた今度にしておきます。)

私のツイートを閲覧される方なら分かるかもしれませんが、私の趣味は主に家庭菜園とアニメ鑑賞です。アニメには様々なジャンル(学園、ラブコメ、日常系等々)が存在しますが今日はその中でも若い皆さんが普段触れることのない所謂「社会派アニメ映画」について取り上げて紹介していこうと思います。

1-1社会派アニメとは?

「社会派アニメとは何ぞ」と思ってGoogle先生に聞いてみると真っ先に出てくるのは主に(異世界物などではなく)現実世界を再現した「SFアニメ」「セカイ系」だと思います。ここでは社会派アニメをSFとセカイ系を総称したモノだと(とりあえず)定義しましょう。後述しますが、機動警察パトレイバー2 The movieなどは内容を通じて日本の社会構造等について今一度考えさせられる内容となってます。「アニメコンテンツを通じて社会の見方が変わる」そう言ったコンテンツを今日は社会派アニメとして定義づけて今回ご紹介したいと思います

2-1 人狼 JIN-ROH

第一作目は後述する攻殻機動隊で有名な押井守が原作、脚本を手がけたアナログアニメーションの最高傑作ともいわれる「人狼 JIN-ROH」です
「人狼 JIN-ROH」は私が産まれた1999年に製作されました。最近では韓国においてNETFLIX の協力のもとサスペンス実写映画「人狼」として2018年にリメイクされ一時話題を呼んだことも記憶に新しいと言えるでしょう
「人狼 JIN-ROH」は第二次世界大戦で日本が敗戦国となりドイツ軍に占領されたという架空の設定を背景に、実写映画として撮った「紅い眼鏡」「ケルベロス 地獄の番犬」に続くケルベロス三部作=ケルベロス・サーガと呼ばれたうちの一本です。

上のBlu-rayのラベルにも書いてある通りフィルム製作のこの映画は当時究極のハイクオリティフィルムとして平成アニメ史に残る一本となっています。CGを極力排して手描きセル画でのアニメーション表現にこだわって制作されProduction I.Gの長編作品では、最後のセルアニメーションとなりました。ベルリン国際映画祭、ブリュッセル国際ファンタジー映画祭、アヌシー国際アニメーションフェスティバルなど海外の国際映画祭で注目を浴び、ファンタスポルト1999最優秀アニメーション賞/審査員特別賞など多数の賞を受賞しています

あらすじ
昭和30年代の東京。第二次世界大戦で敗戦国となった日本。国際社会への復帰のため強行された経済政策が失業者や凶悪犯罪、そして過激な反政府組織が生み、政府を悩ませていました。
そのため、政府は反政府組織掌握のために、首都圏に限り治安部隊を設置します。
首都圏治安警察機構、通称「首都警」と呼ばれる治安部隊は、高い戦闘能力を持つ警察機構として加速的に拡大していきます。
首都圏治安警察機構・警備部・特殊機甲大隊・第2中隊・第3突入小隊の前衛隊員である伏一貴(フセカズキ)はセクト(過激派左翼共産系ゲリラ)の運び屋の少女「赤ずきん」の制圧に失敗して彼女の自爆を許し、その結果部隊を危険にさらした事から物語は始まります。ある時自爆した「赤ずきん」の姉である雨宮圭と偶然出会うこととなります。しかし姉の雨宮圭も過激派左翼思想のグループに属しており、2人の禁断の恋と共に物語は進んでいきます。

おすすめポイント
この作品は「可能性としての戦後史」をテーマに制作されました。敗戦後の日本を忠実に再現しており現実味に溢れる作品となっていますのでそこが面白いポイントの一つでもあります。
学生運動が盛んだった激動の時代に翻弄されながらも揺れ動く男女を描く様がとても印象に残ります。冒頭12分は現在youtubeでも視聴可能なのでぜひ見て欲しいのです。下水道で機動隊と活動家が衝突してしまう様は一見の価値がありますので、気になる人はぜひ見てみてください

2-2 機動警察パトレイバー2 The Movie

続いては前述した「人狼 JIN-ROH」で原作・脚本を務めた押井守監督作品「劇場版機動警察パトレイバー2」のご紹介です。これをお勧めしたくてこのアドベンドカレンダーに参加したと言っても過言ではありません。

あらすじ
物語は東南アジアに派遣された陸上自衛隊のPKO活動中の場面から始まります。 陸上自衛隊PKO部隊は現地の武装集団と交戦状態になります。反撃行動を上官に進言する部隊長の「柘植(つげ)隊長」でしたが、ご存知の通り日本の自衛隊は日本国憲法上軍隊と認められていないため武力攻撃を受けても反撃が上層部から許可されませんでした。
憲法9条に反き武力を持って反撃するか黙って死を選ぶか悩んだ末に反撃を試みる柘植隊長でしたが、 あっけなく部隊に所属していた隊員は柘植以外全員全滅し死亡するシーンから物語は始まります
後に、この「柘植(つげ)」が物語を左右するキーパーソンになっています

PKOの事件から数年が経った頃、警視庁特車二課の面々はそんな事件の存在はつゆ知らずいつも通りのんびりと過ごしていました。そんな時、所属不明の戦闘機が突如首都圏に現れ、ベイブリッジにミサイルを打ち込み日本は大パニック。
事態の早期解明を望む日本政府陸上自衛隊官僚の一人は情報収集のため超法規的行動を主とする警視庁特車2課に協力を依頼。
首都圏を襲撃した所属不明機の捜査中、なんと2回目の襲撃が行われてしまう。2回目の首都圏襲撃はなんと航空自衛隊、青森県三沢基地所属の戦闘機であることが判明するが、航空自衛隊と三沢基地はこれを否定。
疑惑をかけられた三沢基地は駐屯地に籠城。それに追随するように日本各地の自衛隊駐屯地でも籠城が発生し治安の維持のため警察も日本各地に出動
警察と自衛隊はお互い過剰な対抗行動に出て日本は「内戦」の状況に近づきつつあった
自衛隊vs警察、日本政府の構図が出来上がり、日本は事実上内乱状態に。
この状況には「柘植(つげ)」の日本を戦後からやり直そうとする意図がはたらいていた…


見どころ・ポイント(ネタバレを多少含みます)
セルアニメですが、そこは押井クオリティというか2020年の私たち学生が見ても古さを全く感じさせない作画となっています。私個人の感想では機動警察パトレイバー2 The Movieはむしろセルでなければ描くことができなかったと言っても過言ではないと思っています。
作品を通じて日本の社会構造のバグや限界について考えさせられる作品となっています。1993年に公開されたこの作品は,柘植行人というひとりの天才的戦略家が2002年の日本に仮想の戦争状態を作り出す有様を描いたものです。一部でこの作品は地下鉄サリン事件(1995年)やニューヨーク同時多発テロ(2001年)を予言したとも言われています。
平和ボケした現代の日本人は「外国勢力から武力攻撃があったら?」「日本が内戦状態になったら?」「海外に展開してる自衛隊が武力攻撃に遭ったら?」などなどこんなこと考えもしないでしょう。しかし、作中では「とっくの昔に戦争は始まっているんだ」というフレーズがあるように次々に上記のようなことが起きていきます。私たちの生きる世界では常に戦争が起きています。「戦争が平和を生むように、平和もまた戦争を生み出す」という文言が出てきます。グローバル化が進展し変化の著しい世の中でこれに目を逸らし続けてきた平和ボケの日本人と日本社会に一石を投じる名作となっています。是非この作品だけはみていってくだい

2-3 GHOST IN THE SHELL / 攻殻機動隊

GHOST IN THE SHELL / 攻殻機動隊は1995年に制作されたアニメーション映画です。

あらすじ
西暦2029年、身体を機械によって義体化し、脳を直接電子ネットワークに接続する技術が確立された近未来。サイバーテロや電脳ハックなどに対抗する超法規特殊部隊「公安9課」を率いる草薙素子は、「人形使い」と呼ばれる国際手配された凄腕のハッカーが日本に来ているという情報を掴み、捜査を開始する。
政府御用達の義体メーカーの製造ラインに侵入した人形使いは、自らを情報の海(電子ネットワーク空間)で生まれた、肉体を持たない生命であると主張し、生命体として政治的亡命を要求します…こんなところにしておきましょう笑

ポイント
作品の冒頭にはこうあります
「企業のネットが星を被い、電子や光が駆け巡っても、国家や民族が消えてなくなる程 情報化されていない近未来」

1995年というまだPCもインターネットも極めて先進的技術と言われた時代にこの作品が制作されたことにまずみると驚くでしょう。作中では電脳世界を通じた攻撃、侵入、破壊の様子が描かれており、インターネットが当たり前のインフラとなった現代から見ると、当時の人々がインターネットというモノをどのように認識しとらえていたかということがわかると思います。
インターネットが一般化するきっかけになった年に公開された『GHOST IN THE SHELL 攻殻機動隊』は、そんな電脳世界への憧れと畏怖の感情が共存しているような作品となっているので気になる人はぜひ見ていってください


コラム 押井守とは何者か?

押井守は1951年東京生まれの映画監督です
押井は学生時代の1967年に起きた羽田闘争をきっかけに学生運動にはまり、本気で内戦に向けた準備をしていたといいます。その経験が彼の作品「人狼 JIN-ROH」や「劇場版機動警察パトレイバー2」などに色濃く出ています。現在YOUTUBEなどで閲覧が可能な「人狼 JIN-ROH」冒頭12分の機動隊と暴徒化した活動家の衝突シーンなどは彼の学生運動の経験が無いと描くことができなかったと私は思います。
「SFと闘争の二本立てで妄想を膨らましながら、山手線をぐるぐる回っているという日常を送っていた。革命と言うよりも、戦争、内戦を切望していた。・・・」彼がそう語るように当時の学生と学生運動は切っても切り離せない関係があったことが伺えます。

2-4 パプリカ

これは知っている人も多いのではないでしょうか?
故今敏監督の2006年制作の名作「パプリカ」のご紹介です
第12回アニメーション神戸 作品賞・劇場部門、第14回Chlotrudis Awardsベストデザイン賞、第25回ポルト国際映画祭Critics' Award受賞、第35回モントリオール・ニューシネマフェスティバルPublic's Choice Award受賞、第8回ニューポート・ビーチ・フィルム・フェスティバルFeature Film Award受賞、東京アニメアワード2007 優秀作品賞劇場映画部門、個人部門音楽賞(平沢進)をなど多数の賞を受賞しています
「オセアニアじゃ常識なんだよ!」「さぁ!この祭典こそ内なる小学3年生が決めた遙かなる望遠カメラ!」などなど作中では数々の名言(笑?)が登場したことでも話題で「パプリカだけはしってる」という人も多いのではないでしょうか?

あらすじ
パプリカ/千葉敦子は、時田浩作の発明した夢を共有する装置DCミニを使用するサイコセラピスト。ある日、そのDCミニが研究所から盗まれてしまい、それを悪用して他人の夢に強制介入し、悪夢を見せ精神を崩壊させる事件が発生するようになる。敦子達は犯人の正体・目的、そして終わり無き悪夢から抜け出す方法を探していきます。

みどころ
主演は名探偵コナンで灰原哀役の林原めぐみさんなので聴き慣れた声という人も多いいのではないでしょうか。
作品では「夢と現実社会の境界線」について考える機会が多くあります。作中にパレードのシーンがあるんですけど、それを見た人が口々に言うのが、「インフルエンザに罹ってしまった時に見る夢」「風邪の時に見るわけのわからない悪夢」等々です笑笑。この映画を見て「怖い」「気持ち悪い」と思った方は普通の人です、笑、安心してください
私がこの作品をここに書いてオススメする理由は夢と現実、言い方変えれば深層心理の世界で自分が求めているものと自分自身が一体になったとき、本当の自分に生まれかわることができるのではないか…そう言ったことを考えるいい作品になっています。

平成のアニメ史を語る上で欠かせない重要な作品となっています。最近のアニメはどれも変わり映えしなくてつまらんと思っているそこのあなた!これ見ちゃえば結構変わりますよ笑

ちょっと休憩コーナー「アニメとテクノロジー」
Advent calendarということで技術系の話をお酒のつまみ程度で大変申し訳ないのですけど書いていこうかなと思います

最も有名であり、最古とされているアニメーションは、19世紀にジョン・エアトンが発明した、ソーマトロープという技法です。これは円形の一枚の紙の裏表に、羽を閉じた鳥と、羽を広げた鳥の絵を描き、それを回転させることによって、鳥が羽ばたいているように見える、といったものでした。


画像出典 https://asoppa.com/asopparecipe/0902474

また同じく19世紀に、「フェナキストスコープ」という技法も発明されました。これは、円盤型の紙に、少しずつ異なる連続した絵を描き、それを回転させ、スリットから覗くことによって、動いて見えるといったものです。似たような技法に「ゾートロープ」があります。こちらも連続した絵をスリットから表示させますが、複数のスリットがあり、複数人でアニメーションを楽しめるようになっています。

特集コーナー
「やさいのお宝コレクション〜サザエさんのセル画」

20世紀に入ると、セルロイドの透明なフィルムに絵を書いて、それを撮影する「セルアニメーション」が登場します。その後、1990年代に、コンピュータを用いたアニメーションの制作が導入されるまで、長い間、セルアニメーションは映画アニメーションやテレビアニメーションの主流の技法でした。私たちがよく知る、「鉄腕アトム」「サザエさん」「ドラえもん」といったTVアニメは、セルアニメーションの技法で制作されていました。

(これを著作権的に世に出していいのかよくわかりませんが…苦笑)
とある経路で中の人は「サザエさん」で利用された実物のセル画を持っているのでここで紹介していこうと思います
サザエさんの何話だったとか詳しいことはよくわかりませんが当時子供だった私からしたらとても珍しいものだったことは言うまでもなく、当時とても嬉しかった記憶が今となってはあるだけです。
(今の私は売ったらいくらになるかとかゲスい事しか考えていないというのはナイショにしておくとして)とりあえず私の子供時代の宝物を本邦初公開です!!

これが実物です
セル画とは、セルアニメ製作過程において用いられる画材「セル」とよばれる透明シートに描かれる絵のことを一般に指します
このセル画もその例に漏れることなく背景の紙とセルの2枚1セットで構成されています

背景はこんな感じ
もう10 年?以上?前だったかに手に入れたのですが、流石に色落ちとかが激しいですね。右半分にある竹の絵の額縁などはよく見てもらうと絵の具のようなもので描かれた跡がくっきり見えます

セル画は先程2枚1セットと述べましたがセルの裏側はどうなっているかというとこんな感じです
(うーんホラーですね🧐)

↑ちなみに背景とセルの間にキャンパスノートの切れ端を入れてみるとセルの部分に描かれた部分がよくわかるのでこれは参考程度にどうぞ

これは壁紙に当たる部分の裏紙の様子を写したものですが、絵の具の跡が今でもよく確認することができます
上部分を見ていたくとわかるのですが、セルと紙はホッチキスで止まっており他の絵とのアニメーションを作るための穴も3ヶ所ほど確認することができます


Wikipediaによると(←笑)現行作品で最後までセル画による作画を継続していたのは『サザエさん』(通常放送の本編部分)だそうです。製作会社のエイケンは雰囲気を出すために、あえてアナログな作り方にこだわる姿勢を見せていましたが、セル画にはハイビジョン画像との特性的な相性で良くない面があり、エイケンの幹部もテレビのデジタル化の進展による画像品質の向上などで、他作品との比較で映像品質について汚いなどの不満が視聴者から寄せられるようになれば『サザエさん』のセル画製作を断念せざるをえない、との見解を示していたそうです。そしてついに2013年10月6日の放送分より本編を含めて完全デジタル彩色へ移行となった歴史がありました。
いかがでしたでしょうか。休憩企画でしたがサザエさんのセル画を見ていただきました。十数年前までといえば今の大学生が子供の頃まではセル画が使われていたと言われるととても不思議な気持ちになるのは私だけでしょうか。そしてアニメーションも世の中のデジタル化の流れに伴って変化していきます。




現代の動画アニメーション

1990年台に入ると、セルアニメーション用のセルが生産中止となり、セルアニメーション着色用の塗料も入手困難になったことなどから、急速にデジタルアニメーションが普及しはじめました。「いかにもコンピューターグラフィックス」といったものだけではなく、一見、今までのセルアニメーションと変わらないように見えるTVアニメーションも、現在ではそのほとんどがデジタルアニメーションによる制作です。
セルアニメーションではまず「主線」と呼ばれる線画を描き、塗料と絵筆を用いて、ひとコマずつの動画を全て着色していました。(↓多分これ)(↓線が見えると思います)


デジタルアニメーションでは、その着色の工程を、クリックするだけで行えるようになり、大幅なコストダウンに成功しました。
また、デジタルアニメーションに移行することにより、今までのセルアニメーションではできなかったような、複雑な特殊効果を表現できるようになりました。例えば、光が当たってハレーションを起こしているような効果、透明感のある水の表現、背景のぼかしなど、手塗りでは大変な技術と工程が必要だったものが、今ではより簡単に制作できるようになりました。
2000年代初頭には、3DCGを、従来のアニメーションのように見せる「トゥーンレンダリング」という技術が登場しました。

3DCGとは、コンピューターの中に三次元の形態を持った人形があり、それをコンピューターの中にあるビデオカメラで撮影するといった、どちらかと言えば実写映像に近い技術です。「トイ・ストーリー」や「アナと雪の女王」「ファイナルファンタジー」といったアニメーションやゲームは、3DCGによって作られています。
「トゥーンレンダリング」は、そういった実写に近い3DCGをセルで描いたアニメーションに見せる技術で、TVアニメーションの「キングダム」や「プリキュア」シリーズのエンディング、「妖怪ウォッチ」のエンディングなどに用いられています。
(右がトゥーンレンダリング)


「トゥーンレンダリング」は、キャラクターを3DCGでモデリングする必要がありますが、一度制作してしまえば何度も使い回すことができ、絵を一枚ずつ描く必要がないので、動画アニメーションの世界では徐々に増えつつあります。ですが、今までのアニメーションに慣れたアニメファンが違和感を覚える場合もあり、アニメの中のメカのみ、車両や武器のみ、など一部分での使用にとどめているアニメーションもあります。




個人制作の動画アニメーション

これまでアニメーションの制作にかかっていた膨大なコストと時間が削減され、個人にパソコンが普及したことによって、個人や、小規模の映像制作会社よる動画アニメーションの制作が可能になりました。
個人制作でも、大規模なスタジオに劣らないクオリティのアニメーションが制作されています。その一例として次に紹介させていただく新海誠監督のデビュー作「ほしのこえ」と処女作「彼女と彼女の猫」は作品の大部分を新海監督一人で手がけた事で業界では一躍話題となり個人制作アニメーション時代の到来を予感させた作品とも言えるでしょう

(2002年製作/上映時間25分/監督・映像・脚本・製作は新海誠)


『彼女と彼女の猫 Their standing points』は、1999年の初夏から初冬にかけて新海が日本ファルコムに勤めながら作った作品であり、完全に個人で制作された5分弱のモノクロアニメーション作品である。
制作環境はPower Macintosh 7600/120、使用されたソフトはAdobe After Effects・Adobe Illustrator・LightWave・Shade
生活していくことの漠然とした寂しさ・微かな痛み・ささやかな温もりなど、言葉では伝えにくい感情を映像と音に託した作品で、心の琴線に触れるそのプロット構成や、全編モノトーンながらも緻密に描かれた作画やカット割の良い演出などは、従来の自主制作アニメーションのクオリティーを遥かに超え、高く評価されている。(2)
作品は昔の新海誠のYoutubeアカウントで現在公式?で視聴可能なのでぜひ見てみてほしい。リンクは最後に貼っておきます。5分の短い映像作品ではありますが記事が終わったらすぐに見にいきましょう!(←さりげなく推奨する図)




AIと動画アニメーション

現在、ディープラーニングという機械学習の研究が進んでおり、人工知能による、白黒写真の着彩などの技術も進化しつつあります。まだ、完全な実用段階とはいえませんが、そう遠くない将来、人工知能によるアニメーションの着彩や、動画そのものの制作が可能になるでしょう。






番外編2 2-5 雲のむこう、約束の場所

これはただの私のおすすめです
「君の名は」と「天気の子」で一躍有名になったアニメーション監督の新海誠監督作品初の長編アニメーション映画「雲のむこう、約束の場所」のご紹介です
今作は東京国際アニメフェア2003 表現技術賞(パイロット版)、カナダファンタジア映画祭 アニメーション映画部門銀賞、第36回 星雲賞 アート部門、第59回 毎日映画コンクールアニメーション映画賞、韓国SICAF2005 長編映画部門優秀賞を受賞し新海誠の名を世に広める礎となった作品である

これも戦後史の一つの可能性としての歴史を描いた作品であるといえます

あらすじ

1996年、日本は津軽海峡を境に南北に分断されていた。世界の半分を覆う共産国家群「ユニオン」(ソ連?)は「エゾ」(北海道)を実効支配していた。ユニオンは蝦夷の中央に次世代兵器として巨大な白い塔を建造しつつあった。資本主義陣営のアメリカと同盟関係にある日本は「エゾ」(北海道)の領有権を巡って「ユニオン」と対立し開戦一歩手前の情勢であった。
青森県の津軽半島に住む主人公の中学3年生、藤沢浩紀と白川拓也はユニオンの塔にあこがれ、ヴェラシーラと名付けた飛行機を自作し国境の津軽海峡を越え、塔まで行く計画を立てていた

みどころ
なんといっても「雲」の描写が美しい!作中ではさまざまな表情の雲を見ることができます。
また、新海誠作品ではお馴染みの鉄道描写も見逃せません。津軽半島を舞台にしているので当然ですが電化はされていません。機関車や汽車が登場人物たちを乗せてそれぞれの心情に合わせた走り方をしているように感じます。
正直、一回見ただけでは内容はよくわからなくて当然だと思います。なので2〜3回見るのをおすすめしますが、当然忙しい大学生の皆さんはそこまでモチベーションを保つことができないでしょう。そこでこの作品は最初に見る時は美術作品として見ていただけるといいと思います。2回目は内容を理解する為に見るという見方がオススメですね。自分は言の葉の庭が公開された後ぐらい?だったかにこの作品を見たのですが初めてアニメで泣いたのは今でもよく印象に残っています。
眠ったままの彼女を助ける為に立ち向かう少年少女の姿が描かれていますが、彼らは無事に彼女を助け出すことができるのでしょうか!必見です

時間の関係上詳しくは書けませんでしたが「王立宇宙軍 オネアミスの翼」もおすすめです(雑ですみません)

以上いかがでしたでしょうか
途中からとても脱線して行きましたが要するに私が言いたかったのは「昔のアニメも毛嫌いせずに見よう」という事の一点に凝縮できます
途中のサザエさんのセル画はこれを投稿する前日に存在を思い出して10数年ぶりに倉庫から出してきたものでしたが、結構劣化してて驚きました。今回サザエさんのセル画を掘り出してきて改めて再認識したのですが、やはり紙や絵の具といったアナログな表現技法はデジタルと違って劣化していくものですがデジタルアニメーションでは描くことのできない温もりがそこにはあると感じました。
今回は社会派アニメに焦点を当てたお話でしたがこの中で一作でも視聴したいと思っていただければ嬉しく思います。


明日は TCUAC2020 14日目 花形さんの「 なんか書きます」記事となります! たのしみですね!ではおやすみなさい⭐

参考
(1)https://tao-iw.com/blog/2016/12/1054/

(2)https://ja.m.wikipedia.org/wiki/%E5%BD%BC%E5%A5%B3%E3%81%A8%E5%BD%BC%E5%A5%B3%E3%81%AE%E7%8C%AB

↓おそらく公式