日プ完走記録 完結編

2023年も(相も変わらず)地上から地下まで色々なアイドルを見てきた。その中で何かしら心動くものがありその感情を文章で表現したいと思うことが何度かあったが、なんとなくnoteを1000文字くらい書いてはそこから筆が乗らなくてお蔵入りさせてしまうということを繰り返してきた。
そんな自分が久しぶりに書き上げることができたのが今回の日プに関する一連のnoteだった。不思議なもので本当に心が動くと自然と筆が乗るということを実感したと共に、ではなぜ自分がこんなに日プに心動いたのだろうか、という疑問が浮かんだ。

なぜ自分が日プにこんなにはまることになったのか

パッと思いつく要因として、そもそも番組のフォーマットが面白い、やっぱりアイドルが好き、友達と一緒にワイワイ言いながら見るのが楽しかった、それらは当然にある。
推しの飯田栞月ちゃんが魅力的だったのは言うまでもないし、栞月ちゃんの順位変動がとても「推し甲斐」のある動きでありサバ番の醍醐味を味わう事ができたという幸運ももちろんあるだろうが、それだけではないような気がした。

自分なりに考え出してみたところ、アイドルを、推しを「応援」するということがとても楽しかったという、ある意味で当たり前、当たり前だからこそ忘れていた原始的な感情に身を委ねることができたからではないかという結論に至った。

ふと気が付けば10年以上アイドルの中でも「地下」と呼ばれるレベルのアイドルばかり見てきている。その中でも普段の対バンライブではお目当てとする客が10名程度でワンマンライブで100名行くか行かないか、そんな規模の地下アイドルばかりを見てきた。
この規模だと、どうしても使命感のような感情が芽生えがちになる。俺が応援しないと、俺が支えないとどうなってしまうんだ!という気持ちになり、必死にライブに通い、全力で盛り上げたりした。そしてまたこの規模だと、ちょっと熱心に現場に通えば良くも悪くも自分の言動がアイドルやファンコミュニティにダイレクトに響く。
それによる楽しさもめんどくささも両方経験してきたが、結果として自分にとっては後者の感情の方が大きかった。
結局、「支えた・応援した」と言えるような接し方をしたのは地下アイドルを好きになった最初の1年くらいだった。そこからも色々な地下アイドルを見て好きになってきたが、生来の斜に構えマインドも相まって意図的に「傍観者」のポジションを頑なに貫くようにしてきた。

日プでサバイバル番組というコンテンツに触れて、最初は投票という行為に抵抗があった。アカウントを作ってさえしまえばそこからはせいぜい親指1本で1分もすればできる行為だが、面倒くさいというよりか、これまでの経験から投票という行為に紐付く応援のニュアンスになんとも言えない心理的な障壁があった。
放送日だけ、友人宅で放送を見ながら良いなと思った子を適当に投票する。あくまで放送を見るにあたり「参加してる感」を出すための付随的な楽しみとして。こんなロジックを自分の中に設ける必要があった。「放送の無い日にはめんどくさいしわざわざ投票したりしないよね笑」なんて言ったりしていた。

それでも番組への熱量があがっていくに比例して、第1回順位発表式のあたりからは基本的に毎日投票するようになっていた。それでも「うーんLemino枠まではわざわざ使わなくてしないかな笑」と防御膜を張るのも忘れていなかった。

決定的なのはやはり第3回順位発表式だろうか。投票結果をXでシェアできるため要所要所で記録の意味でポストしていたが、1pick投票になったタイミングで推しが生き残ってくれてまた投票にできるのがなんとも嬉しくて、その日の放送が終わって即投票・即ポストしたことを覚えている。

Lemino枠を使うようになったのは2pick時代の終盤だったが、これはどちらかというと投票人数を増やしたいという意図であった。しかしファイナルに栞月ちゃんが残ったことで、もう他には投票しねえ、俺は1日2票栞月ちゃんに投票する!!という決意をして、ファイナルに向けて気持ちを強化したものだった。

本当に小さな行為ではあるが、この投票という行為の「推しを応援している」感がとても楽しかった。
どうせヲタクをするなら斜に構えて接するよりもちゃんと応援した方が楽しいに決まっている。そんな事は改めて言うまでもなく分かってはいるが、単純なことほど難しかったりもする。
サバ番のフォーマットが思った以上に自分のスタイルに合致していた事、そして「朝ドラヒロイン感」という絶好の推す言い訳が用意されていた幸運もあり、自分でもびっくりするくらい「推しを応援する」という概念にコミットすることができた。その事が熱量を持って楽しむことができた大きな要因だと思う。

そして少し逆説的になるが、自分はサバ番の才能がそこまでないのも効果的に作用した。ルール上基本的には1人が持ってるのは2票だけである。SIMカードを買い増す、布教する、票取引をする、そういった人たちがいる世界だということも分かってはきたが、良くも悪くも「いやそこまでしたいとは思わんわ」とドライに線引きをすることができた。
のめりこめば見なくていい世界もどうしても見えてくる。終盤は少しだけそれが見えてきたような気もするが、そこまでのめりこめる才能がないことが、今回は良い方向に作用してくれた。

エピローグ

毎週一緒に見ていた友人とは、また次週以降も集まってなんか好きなコンテンツ見たりして楽しもうよ、と言ってくれたので引き続き集まることになった。木曜21時にする必要は特段ないのだが、仕事や諸々の都合が良いことから自然とその日その時間になった。少し出発が遅れたのになんだかんだで20:58についたのは何かの導きのようだった。21時になってもLEAP HIGHがはじまらないのがなんとも寂しかった。

やはりその日は「日プのその後」の話が中心になった。元練習生の誰々がインスタライブでこんな話をしていた、誰々がXのアカウントを開設した、そんな話をする中、自分が披露したネタは、ファイナリスト坂口梨乃の姉が地下アイドルをやっているのを見つけたという話だった。探し出したわけではなく、Xのアルゴリズムが勝手に自分におすすめしてきたというだけの話だった。

日プファイナルの日に妹について触れたポストこそ1万近くのいいねがついているが、その後のポストはせいぜい100いいね、ライブ告知ポストに至っては一桁台となかなか厳しい。過去のポストを遡ればいかにもな地下現場でヲタクが撮影した動画がYouTubeにあげられている、すがすがしい程のTHE地下アイドルであった。

一緒に見ていた友人達は、元々地下アイドルの世界がきっかけで仲良くなった間柄だ。その話をした所、何を言うでもなく情報収集がはじまり「事務所は元〇〇のプロデューサーがやってるっぽい」「再生回数は広告出すことで無理やり水増ししてる気がする」「1stシングルは明らかにWACK意識してるのに途中から無理やりK-POPに路線変更してる」「どの層と対バンしてるの?→(私が好きな地下アイドルと)先々月対バンしてるじゃん」とあれよあれよと分析がはじまった。

その光景がなんとも平常運転感があった。ちょっと前までは聞いたこともなかった「1pick」「チッケム」「エンディング妖精」なんて用語を背伸びして使っていた日々がまるで幻かのような、水を得た魚と言わんばかりの流暢な会話だった。3つ子の魂百までではないが、やっぱり俺たちはまたこういう話をしていくのだろうというなんともいえない納得感があった。

ME=Iのお披露目イベントは3ヶ月後、その頃まで熱が続いてるとは正直思えないしチケットが取れるかも分からない。「けじめ」として一回くらいは見に行きたいが、そもそもの話として若い女子がメインターゲットとなるであろうME=Iの現場を、アラフォーのおっさんである自分が主現場にできるとは到底思えない。

祭りは終わった。やはり、良くも悪くも自分には地下の世界がお似合いなのだ。

それでも、細々とでも飯田栞月ちゃんを応援し続けていきたいと思っている。そして家族や非ドルヲタの友人とテレビでも見ている時に栞月ちゃんが出てきた時には「実はこの子オーディション番組出てる時から見ててめっちゃ投票してたんだよね笑」なんてドヤ顔で言おうと決めている。
そしてその時にはきっと、あんなに心焦がした三ヶ月の日々を思い出してちょっと切なくなったりするはずだ。


おわり。


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