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番外【「甲辰 静かなる岩」@神奈川】

※2024年TOURのネタバレ満載です。未見の方はご注意下さい※

ジュリーこと沢田研二さんの経歴やあれやこれやを徒然なるままにつらつらと綴って参ります。細々とやっていきます。

Xで連載(?)しているネタのまとめです。
よろしくどうぞ。

※普段は上記のように沢田研二さんのあれこれを綴る
「まだまだ沢田研二」のまとめをやっておりますが、今回は番外編です。

#沢田研二  #まだまだ沢田研二

「甲辰 静かなる岩」皐月神奈川体験記

……というわけで、行って参りました

    沢田研二「甲辰 静かなる岩」
2024年5月24日(金) 神奈川県民ホール

えー、実は私は東京在住なんですが。
それがどうしてこの神奈川の地まで足を運んだかと申しますと。

チケットが取れない😢


ということなんですね(涙)

……と、今年正月TOURで大阪へ遠征した時と全く同じ出だしですが(笑)
今回のTOURもとにかくチケットが取れない取れない。
東京、埼玉、神奈川を中心に先行から一般まで何度も何ヶ所も
挑戦しましたが、辛うじて取れたのがこの日のみ。しかも2階席!!

まぁ東京から神奈川なんて遠征の内に入りませんが、
取れたら取れたで遠征するつもりだった地域も全て落選!!
一般販売は例によって即完売!!
改めてジュリーがスーパースターであることを思い知らされる状況の中、
ようやく行って参りました神奈川県民ホール。

神奈川県民ホール

神奈川県民ホール

神奈川県民ホールは横浜市中区、近隣にKAAT(神奈川芸術劇場)や横浜開港資料館、横浜中華街に横浜スタジアムといった施設が建ち並ぶ、「ヨコハマ」イメージのど真ん中に位置します。

「ヨコハマ」イメージと言うことは当然、目の前には海!
山下公園を挟んですぐ先が海!!
ホールを出て信号を渡り、公園を横切れば一面の海!!!
実に徒歩2分で横浜の海が眼前に広がります。

山下公園から海を臨む

私の経験上、ジュリーのコンサート会場で最も海に近い場所※です。
※各地のZEPPのように正に海の目の前に位置するLIVE会場は他にもありますが、あくまで「私がジュリーを観た会場で」という意味です。

ちなみに横浜の沿岸地帯といえば。
大さん橋や赤レンガ倉庫もこの会場から徒歩圏内。
そしてこの地域を舞台にした作品と言えば……、

そう、本公演と同じ2024年5月24日(金)に最新作が公開された
『あぶない刑事(デカ)』シリーズ。

舘ひろし&柴田恭兵による「タカ(鷹山敏樹)&ユージ(大下勇次)」の
スタイリッシュでユーモラス、クールでファニーな刑事ドラマの名作は、
実にこの地域を主たるロケ地として誕生したのでした。

2024年5月24日公開『帰ってきたあぶない刑事』

赤レンガ倉庫なんか今やオシャレの代名詞的存在(?)ですが、『あぶ刑事』第1シリーズが放送された1986年は未整備の倉庫街。折からのバブル景気もあり、夜ともなれば文字通りの暗黒街を陽の下に出られない稼業の方々が暗躍していたとかいないとか。

日本離れした光景? 横浜赤レンガ倉庫

ドラマはその時代の横浜沿岸部の空気を存分に描写しており、タカとユージがこの界隈を走り回っていたんだなぁ……と、公演前にジュリーと全く関係のない感慨にふけっていたのでした(笑)

再び神奈川県民ホール

話を戻して。
神奈川県民ホールは1975年に開館、ヨーロッパの本場オペラやバレエが上演できるよう設計されたコンサートホールです。
3階までの客席定数は2,493人と、渋谷公会堂より500人近く多いんですね。
渋公より大きいなんて初めて知りました(笑)

神奈川県民ホール 座席数

主にジュリーのライブで何度も足を運んだ会場ですが、格別に音響が良いとか悪いとかいった印象は持っていませんでした。
会場に入ると近年では恒例の井上堯之バンド&大野克夫バンド名曲集。

今回は此の会場では恐らく初めてだと思う2階席。
前方でしたので多分スタンディングは難しいだろうと思っておりました。
ジュリーライブは基本オールスタンディングですが、どこの会場でも大抵は上層階最前列は立ち上がり禁止。実際、手すりなんて立ち上がったら膝までしか届かず、興奮の坩堝で足元が覚束なくなったら余裕で落ちます(笑)
ましてジュリーライブは普段から足元が覚束ない世代が(以下省略)

ジュリーライブを着席で観るなんていつ以来かなぁと考えてましたが、コロナ禍の時期がそうでしたね、割と最近でした(笑)そもそも現在のバンドお披露目公演となった「初詣ライブ」(2022年1月)も立ち上がり禁止&歓声禁止でした。
現バンド「七福神」は非常にROCKスピリットに溢れた激しい音作りのバンドで、こちらも身も心も暴れ回る(周りの迷惑にならない範囲で)のが実に楽しい演奏。しかし今回は何より安全第一、まして自分だけ立ち上がっても真後ろの方が観えなくなりますし……。
本TOURで他会場にも行けるなら良いのですが、今回唯一の参加が着席とはと、いささかの無念も感じつつ開演を迎えました。

沢田研二「甲辰 静かなる岩」
2024年5月24日(金)
神奈川県民ホール

SET LIST

1.ス・ト・リ・ッ・パ・ー
2.TOKIO
MC
3.あなたに今夜はワインをふりかけ
4."おまえにチェックイン"
5.カサブランカ・ダンディ
6.追憶
7.渚のラブレター
8.明日は晴れる
9.恋のバッド・チューニング
10.A.C.B.
11.マンジャーレ!カンターレ!アモーレ!
12.THE VANITY FACTORY
13.ヤマトより愛をこめて
En
MC
14.そのキスが欲しい
15.気になるお前
16.さよならを待たせて
17.LUCKY/一生懸命

沢田研二&七福神
沢田研二(Vo.)
柴山和彦(Gu.)
依知川伸一(Ba.)
高見一生(Gu.)
平石正樹(Dr.)
斎藤有太(Key.)
すわ親治(Cho.)
山崎イサオ(Cho.)

今回のTOURがアナウンスされた時から予感はしていました。
何せTOURタイトルが同じなんです、正月TOURと。

過去長らく「正月TOURはマニアック選曲+新曲お披露目、通年TOURは新作アルバムメインでタイトルもアルバムと同じ」という構成でしたので、同じタイトルでTOURを2回というのは異例でしたし、正月の内容からして「今年も新作は作らないんだな」と感じてはいました。
新作がない以上ジュリーが歌いたい曲で構成するのは当然で、それを絞り込んだ正月TOURが本人にとっても納得のいくものであれば、若干の手直しで再度TOURに臨んでもおかしくはない、全く同じはないとしてもほとんど同じになるだろう、と感じてはいましたが、見事(?)その通りの内容に。

参考 2024年正月TOUR『甲辰 静かなる岩』SET LIST

1.ス・ト・リ・ッ・パ・ー

1981年Al『S/T/R/I/P/P/E/R』&Sg

冒頭、正月TOURと同じくギター2名、ベース、コーラス2名が前方に並んでの幕開け。もう並んだ瞬間、この曲が来る! と感じました。
メンバーがスタンバイして間もなく、平石さんのカウントで始まった!

BARAKAでも思いますが、平石さんのドラミングはとにかくパワフル。
一音一音が強く激しく大音量で、実に理想的なロックドラマーです。
ジュリーの歴代ドラマーはチト河内さんにしろポンタさんにしろ、ジャズを通ったテクニカルで洒脱な方が多い印象ですが、平石さんは寧ろどっしり構えた、ブルージーとも言うべき破壊力満点の爆音。

で、カウントもデカい(笑)
そのドラムラッシュから始まるこの曲、何時頃からか原曲よりややテンポを落として演奏されています。それほどスピードチューンという訳でもないのですが、歌いやすさか何かの問題でしょうか。

しかし原曲より緩やかになるからこそ、この曲が纏うエロティックさが倍加される効果が(笑)ジュリーの声が原曲以上にねちっこく、濃密に発せられます。そしてヘヴィーでソリッドなギター、唸るようにメロディーにまとわりつくベース、要所で絡んで官能度を上げるピアノ。「バンドサウンドの完成形」と呼べる曲だとつくづく思います。

そして、開演当初は声がかすれることも多いジュリーですが、今日は端から絶好調! 齢75にしてステージに立ち歌い続けるその力、最早神がかりと呼べる域に達しているのではないえしょうか。


2.TOKIO

1979年Sg&1980年Al『TOKIO』

早速来ました必殺ナンバー!
現バンド始動後の初音源(そして現時点で最新音源)『LUCKY/一生懸命』のc/wでリメイクされたのもどこ吹く風(笑)
今年の正月と同じくオリジナル版です。

間奏で見せる宙に描いた五芒星を食べるパフォーマンスもお馴染み、年を追う毎に動き回る様やボディーアクションが減っていますが、元気な声は今尚健在!! 柴山さんと高見さんのロックギターも冴え渡ります!

MC

毎度恒例の「毎度!」「お江戸!」のコール&レスポンス、ジュリーの「毎度!」にそのまま「毎度!」と返す方が多かったようで(笑)
横浜だということで「毎度!」「本牧!」と言ってくれと発案するも「言いにくい(笑)」と自分で笑ってました。その後は「毎度!」「じゃん!」になりました(笑)あ、「じゃん」は東京言葉の「〇〇じゃん」です。

会場から楽屋で待っている際、場内のモニターを気にしているんだとか。
3階最後方の座席が埋まるかどうかでテンションが変わるそうです(笑)
今日のチケットは発売即完売だったハズですが、やっぱり客の入りってきになるもんなんですね。メンバー紹介もここで早速。

3.あなたに今夜はワインをふりかけ

1978年Sg『サムライ』B面&Al『思いきり気障な人生』

正月の感想にも書きましたが、MC明けでいきなりイントロ無しサビ始まりのこの曲をよく歌えるなと(笑)
ギターを中心としながらピアノやコーラスも目立つ派手で賑やかなパーティーナンバー、大所帯の現バンドに本当にピッタリ!!

そして、この辺で確信しました。

「音が良い……」


LIVE始まってすぐから感じていたのですが。
明らかに、音が良い。この感覚がこの日の楽しみを倍加させてくれました。
最後にまとめてますが「音が粒だっている」「音量が大きい」「各楽器、コーラスのバランスが良い」という、理想的なサウンドでした。

4."おまえにチェックイン"

1982年Sg&Al『A WONDERFUL TIME』

この曲もちょっとテンポ落としてたかな?
やはり正月以上にピアノが存在感を発揮し、軽快なメロディーに彩を添えています。サビで両腕を後ろに押し出すパフォーマンスも全開でした。

かつては『愛まで待てない』を筆頭に歌いながらステージを走り回っていたジュリーも近年のLIVEでは運動量も控えめに。とは言え年齢を考えれば驚異的なものですが、これはそれでも動きの多い曲の1つ。コーラスの間にエプロンステージ(というよりオーケストラピット)を動き回る、サビの最後でくるっと左右に半回転×2等のアクションは健在。

アンコールMCで触れる舞台幅の広さをこの曲で痛感したそうです(笑)

5.カサブランカ・ダンディ

1979年Sg

来たぜ水芸!!
コロナ禍より封印のお水吹き出しも前回より解禁!
冒頭のピアノがいつも以上に爆音だった気が。
ま、この曲はピアノ(オルガン)の色気がないと成り立ちません(笑)
この曲もテンポを落としていると思いますが、やはり色気がUP(笑)

今回のLIVEは斎藤有太さんがいつも以上に動き回り、それはパフォーマンスとしての激しさも含めてですが、恐らく斎藤さん自身が相当にこのTOURを楽しんでるな、と感じさせてくれます。斎藤さんフェチ(?)にとってのハイライトの一つとなった曲でした。

斎藤さんは1968年生まれ、1948年生まれのジュリーとはちょうど20歳差で正に親子ほどの歳の差。バンド加入当初はジュリーを「子供の頃から憧れていた」と、子供の頃に聴いていたあの曲この曲を自分自身が本人と共に演奏できる、そんなシアワセを何度か語っておられました。

斎藤有太さんXより

6.追憶

1974年Sg&Al『JEWEL JULIE 追憶』

熱唱バラード其の1。
この曲は壮大に目一杯熱唱する様が似合います。で、平石さんのパワフルなドラミングがまた映えるんですこの曲に!
イントロやサビ後半はキーボードとコーラス、中間部はギターが派手に鳴り響く曲ですが、現バンドになってからはそこにドラムも強い存在感で食い込んでくる様が「達人の至芸」と感ぜられていつも圧倒されています。

しかし、やはり最も圧倒されるのは、そんな巨大なバンドサウンドをけん引するジュリーのボーカルなんです。上でも触れた通りこの日のボーカルは絶好調、この曲でもほぼかすれ等はなく見事に歌い切りました!

7.渚のラブレター

1981年Sg&Al『S/T/R/I/P/P/E/R』

オルガンのイントロが始まった時「まさか!」と思いました。
いつ以来ですかねこの曲は?
やはり少しテンポを落としていましたが、その分ジュリーの声の伸びも長くなるわけで、決して歌いやすくなるとは思えないのですが(笑)
一部の曲でキーを下げる理由は喉の負担を抑える為だと思うのですが、テンポを落とすのも同じような効果があるんでしょうか?
そう言えば高音を伸ばす部分がかなり多い曲ですもんね、これ。

海を目の前にした会場で聴くこの曲、また格別の味わいがありました。

8.明日は晴れる

2003年Sg&Al『明日は晴れる』

この曲、本当に好き。
優しさと切なさに溢れた曲で、名曲というより佳曲という言葉が相応しい。
穏やかに明日への希望を祈りつつ、伸びるシャウトも絶好調!
元々キーボードの無い曲ですが、ギターを邪魔せず奏でられるキーボードもしっかり馴染んで、本当にこのバンドとしてのサウンドのまとまりが向上していることを感じさせてくれました。特にギターソロの後ろで響くキーボードが実に1970年代ROCKっぽくて、この曲自体がそういうテイストを意識して作曲・編曲されていると思いますので(ちなみに作曲はジュリー自身、編曲は白井良明さん)、このバンドで演奏されることで完成度がより高まったと感じさせられる曲です。

9.恋のバッド・チューニング

1980年Sg&Al『BAD TUNING』

来ましたよパニックソング!
キー下げではありますが、この曲の持つ楽しいパニック感は健在!
バンドサウンドが激しくなった分、このバンドならでは、このバンドだからこその魅力が引き立つことに!
あぁ、この曲こそは立って聴きたかった(笑)

10.A.C.B.

2000年Al『耒タルベキ素敵』

これもキー下げながら恒例となった曲。
ジュリーLIVEは必ず! 中盤から終盤にかけてスピード&ロックナンバーを畳みかける展開がありますが、この曲はそんな盛り上がりにピッタリ!

1回目のAメロではコーラスすわ親治・山崎イサオ両氏に加えギター柴山和彦・高見一生ご両名も1拍1拍2拍の手拍子を打って、特に高見さんが両手を大きく伸ばして満面の笑顔を見せていました。
当然この時はベース、ピアノ、ドラムしか鳴ってない訳で、依知川伸一さんのベースが唸りまくってました。依知川さんはビートナンバーではピック、バラードで指弾きといったスタイルのようですが(例外もあるとは思いますが)、ピック弾きで聴かせるゴリゴリにうねるビート、ワタクシ大好物であります(笑)

そうそう、この曲の中で「竹中労」という人物が登場します。

風のアナキスト 竹中労(1928~1991)

竹中労と言えば日本共産党と喧嘩したり部落解放同盟と喧嘩したり創価学会と喧嘩したり自民党と喧嘩したり、一方で映画や音楽にも造詣が深く名作時代劇『浪人街』をリメイクしようとしたり個性的なバンド「たま」を高く評価したり、実に賑やかな文筆活動を続けたジャーナリスト。

そんな竹中の代表作の一つに『タレント帝国』という著作があります。
初版刊行は1968年、そうGSブームド真ん中の時代。
この本はGSにも強い影響力を発揮した渡辺プロダクション、ナベプロに対する批判本です。それが何と! 2024年4月に復刊!!!

伝説が甦る!! 名著『タレント帝国』

帯にもある通りジャニーズ事務所崩壊を受けて「芸能界の闇」告発、的な位置付けなんでしょう。
しかしこの本を手に取ってつくづく思ったのですが。
いつか【まだまだ沢田研二】でご紹介するつもりですが、竹中はこの中でザ・タイガースを「ビートルズの物真似」と切って捨てています。

ジュリーにとって決して耳に快くはない(そして決して否定できない)言葉を吐いた相手が、この竹中労。
彼の名を、ジュリーは自身が作詞したこの『A.C.B.』に盛り込んでいます。
度量が広いと言うか、むしろこの時代を象徴するキーワードになるくらいに強い印象を抱いていたのかもしれませんが(笑)

11.マンジャーレ!カンターレ!アモーレ!

1997年Al『サーモスタットな夏』

まだまだパーティーは終わりません!
キー下げも何のその、この曲はコーラスが映えますね!
平石さん以外の全員がコーラスマイクの前に立ち、バンドとしての一体感をより一層強く感じさせてくれる曲でもあります。

間奏では柴山和彦・高見一生のギターバトル!
お2人とも本当に心の底からロックギタリストなんだな、そしてジュリーがそんなギタリストが本当に好きなんだな、と思わせてくれる一幕。

12.THE VANITY FACTORY

1980年Al『G.S. I LOVE YOU』

さァ来たぜ今回の最ヘヴィーチューン!!
やっぱり正月よりキーボードがデカく鳴り、ただでさえ激しいツインギターと絡んでその上にパワフルなドラミングで大・大・大迫力!!!
「初詣ライブ」の時にも思ったのですが、このバンドで演奏することで完成形に至ったと言いたくなる程、ハマりにハマっています。

個人的にはこの路線で『彼女はデリケート』とか『彼は眠れない』とか『ポラロイドGIRL』とか『オリーヴ・オイル』とか『俺たち最高』みたいな激しめな曲を連発して欲しいのですが、可能な範囲でお願いいたします(笑)

13.ヤマトより愛をこめて

1978年Sg&Al『今度は、華麗な宴にどうぞ。』

熱唱バラード其の2。
ここまでひたすらにエロさを追求し続けた斎藤さんのピアノ(笑)
一転してこの曲では、ひたすらに優しく美しく。
柴山さんと高見さんのギターも切なく鳴り響きます。
そして満場に轟くジュリーの声。

前曲まで一気にロックナンバーを重ねて来て、間無しに始まる名バラード。いつも思いますが、この切り替えがジュリーもメンバーも本当にスゴい。
立ってさえいれば、立ってさえいれば火照った身体を癒す至福の時間だったろうに(笑)

ENCORE

MC

横浜での生活も30年くらいと語っていました。随分と長くなったんですね。
勿論京都時代よりはるかに長く、そろそろ人生の半分くらい? この街に暮らしてるんですかねジュリーは。そして神奈川公園と言えばこの会場。
舞台の幅が他より広いそうで、動き回るのが大変だとか言ってました(笑)客席からはそんなに広いと感じないのですが、オケピ(オーケストラピット)があるからかな?

そして、既に発表されていますがこの神奈川県民ホールは2025年3月をもって建て替えの予定。建て替え後は出来るかな? なんて言ってましたが。
いやいやどうしてどうして。

かつて「88歳まで歌います。舞台の上で死にます!」と言っていたジュリー。この日も「もうすぐ喜寿やで!? その後は卒寿、いや傘寿か」なんて言いつつ「まずは80歳まで、80歳を目標に頑張っていきます」と。

思い出すのは20年ほど前。「60歳を目標に頑張ります」なんて言っていたジュリー。還暦の年には大阪東京ドーム公演を6時間80曲の超巨大ボリュームで成し遂げました!
まさか80歳でそれを再演しろとは言いませんが(笑)
既に発表された今回のTOUR追加公演が、例年と異なり京都で終了と言うことで「まさかひょっとして」なんて不安もあったりなかったりだったので、本人の口から来年以降の目標を聞くことが出来て安心しました。

他に喋っていたことを箇条書きで。

・『我が窮状』を出した頃、新幹線の中で辻元清美に会った。「今こんな歌を歌ってるんです」と言いながらCDを渡したが、何の挨拶もなかった(笑)
・政治家は政治を「商売」だと思ってる。辻元もそんな言い方をしてた。
・山本太郎の応援演説に行った(2012年の山本が初めて立候補した衆議院議員選挙のこと)。山本太郎ファンクラブみたいだった(違和感があった)。あの時は彼もひたむきだったのに……なんて言い方を。
・宇都宮健児から国会前のデモに参加を呼びかけられた。俺が行ってどうする、俺の居場所はここ(舞台)だ!
・責任の取り方というのがあるよね、その覚悟がない人が多い。
・東京を離れて横浜に来た有名人が、また東京に戻ることが多い。吉田拓郎もそうで理由を聞いたら「税金が高いから」(笑)
・週刊文春で連載された企画、『ジュリーがいた』。
 このタイトルは何なん。まだおるやん。
・スタッフから意外と真面目な本ですと言われたが真面目な訳あるか(笑)
・たまに若い世代が観に来るが、1回観ただけで続かない。皆さんは30年40年、50年観てる人もいる(笑)皆さんが頼りです(笑)元気にしてね(笑)
・最近あまりお酒を吞まなくなった。中毒ではない(笑)吞まないといられない人間ではない(笑)
・自分の責任で進んで行こうやないの。

『ジュリーがいた』については以前から否定的なコメントに終始していますが、その理由については(私は)聞いたことがなかったんです。
それがようやく胸の内を聞けて、そのこと(「いた」という表題からもう……って意見)については私自身も強く思ったことですので、とても嬉しかったです。ま、それ以外にもこの本には初歩的な記述に間違いが多く、とても真面目とは思えません。

14.そのキスが欲しい

1993年Sg&Al『REALLY LOVE YA!!』

必殺のビートナンバー!!
疾走するギターをメインにキーボードとコーラスが併走、これがBEATですよこれがBANDですよと思わせる1曲。
既にリリースから30年を経ましたが、その魅力は褪せることなくジュリーLIVEで輝き続けています。間違いなく1990年代ジュリー最高の1曲、と呼べるでしょう!

15.気になるお前

1973年Sg『胸いっぱいの悲しみ』B面&Al『JULIE VI ある青春』

続けて来たのは1970年代を彩った名曲!
これまたゴリッゴリのギターサウンドが実に70年代らしい。
サビで拳を振り上げる際には、最近はジュリーも腕を庇って左右持ち換えたりしています(笑)

間奏では柴山さん高見さんのギターバトル、更に続けて斎藤さんのキーボードソロ! その際にはジュリーが斎藤さんの後ろへ!
斎藤さんもこの日一番の奮闘力演、全身全霊で鍵盤を駆け回り続けていました。この曲は既に50年以上の歳月を経た曲ですが、折々のミュージシャンのROCK魂を刺激し続け、そして今またこうした名演を生み出し続けています。恐らくジュリーの曲は、歴戦のバンドマンたちがプリミティブな衝動に駆られるような、ROCKの根幹を為す魅力に溢れているのでしょう。

16.さよならを待たせて

1995年Al『←sur』

熱唱バラード其の3。
1990年代バラードでは比較的演奏機会が多いとは思いますが、これもいつ以来でしょうか。長いキャリアを誇るジュリー、意外なことにほぼ唯一(?)のクリスマスを舞台にした歌。こちらはキーボードソロにギターが絡んでくる構成で、前曲で暴れまわった斎藤・柴山・高見のお三方がしんみり(笑)奏でることに注力して熱演しておられました。

それにしても、この曲をLIVEで聴く度に思います。
サビの「ah」を本当の溜息のように歌うジュリー、その吐息が本当に生々しくて、聴く度に背筋がゾクゾクします。『危険なふたり』や『勝手にしやがれ』のようにジュリーの「あぁ」には定評がありますが(?)、それらはあくまで歌声としての「あぁ」。ですがこの曲、本当に本物の溜息のようなんです。それが「歌手・沢田研二」ではなく「人間・沢田研二」の持つ生身の色気がそのまま迸っているようなんですよね。だからこそ、震えが来るんだと思っています。

17.LUCKY/一生懸命

2022年Sg

締め括りはジュリー自身の作詞・作曲による最新ナンバー。
同じ自作曲『明日は晴れる』同様に優しく穏やかな切なさに満ち溢れた曲です。バンド全員が己の持ち味をしっかりと発揮し、ジュリーが牽引する。大騒ぎしたお祭りの締め括りに相応しい、「良いもん観たなぁ」「今日も良い日だったなぁ」「明日も頑張るか」と明るく優しく思える、そんな曲です。

アンコール前MCで「真面目になんかやってるかいな」と悪ぶって(?)みせたジュリーですが、真面目に・コツコツと・黙々と・ひたむきな努力を続けてきたからこそ、今日この日の素晴らしいステージが実現出来た事、我々は知っています。そんな生き方を貫いてきたからこそ「毎日が自己ベスト更新」と歌えるんだという事を。

人間色んな生き方がありますが、最も大事なことは「己に恥じない事」かなと、つくづく思います。

メンバー

沢田研二(Vo.)

「最近あまりお酒を呑まない」の言葉通り(?)お顔は大分ほっそりとした印象(あくまで印象)。正月に続き髪がすっきりしたことや眼鏡の効果もあるかもしれませんが(笑)
それより何より、今回もまたお声は絶好調!
同世代ミュージシャンが次々とリタイアしていく中、ご本人も「今もやってるのは五木ひろし、布施明、森進一……他に誰がいる?」なんて言ってましたが、この方々が素晴らしいのは「歌い続けている」こと。
ほぼ毎年新曲を出すとかコンサートを続けるとか、歌手としての歩みを止めることなく歌い続けています。確かに皆さん70を超え後期高齢者となり、声に衰えはあるでしょう。ジュリーだってキーを下げたりテンポを落としたり、ステージを歩き回る運動量を減らしたりしています。それでも、そうまでして守り続けているのが「歌う」ということ。
これだけ爆音を出すバンドを従え、その先頭に立ってシャウトし続けるジュリー、今や世界にも例を見ないROCKボーカリストではないでしょうか。

柴山和彦(Gu.)

正月TOURに続き逆立てた髪の毛、黒のレザーパンツとROCK! な出で立ち。やっぱりこのバンド始まってから柴山さんのROCK魂が迸りまくっています。どうしてもあの優しい笑顔に惑わされるのですが(?)ジュリーに長年付き添っているだけあって、この方も根っこにとても太いROCK魂が燃えています。ギター1本時代を越え現在の大型バンドとなり、再びギターに徹する柴山さん、要所で見せる高見さんとのギターバトルが本当に楽しそう。特に、柴山さんに限らずギタリストに往々見られますが、ギターソロでチョーキングをキメる際などの、目を閉じて口を開ける表情が本当に好きなんです。あぁ、自分の音とバンドの音を本人が堪能してるなぁとか思えて。物凄いフェティッシュな意見ですみません(笑)

依知川伸一(Ba.)

この日も笑顔が炸裂!
そして上でも書きましたがROCKナンバーのピック弾きとバラードの指弾きと、テクニカルな上に感情豊かなベースサウンドが本当に心地良い。大所帯のバンドを下支えしながら、ただのリズムキープに留まらない存在感。そしてベース同様に歌心溢れるコーラスワーク。考えてみたら依知川さんも長年のお付き合いになりました(1996~2004/2016~1018/2022~)。BARAKAで培ったチームワークと超絶技巧が現在のジュリーサウンドにとても良い効果をもたらしていると思います。

高見一生(Gu.)

今回もサングラス、下は黒レザーのパンタロン、と実にROCK! な出で立ち。でもってサウンドもROCK!! とにかくゴリッゴリな上にヘヴィーでハードで、しかも安定感抜群。曲により場面により柴山さんと交互に出たり引いたりのコンビネーションも相性ピッタリ! 個人的には最近の柴山さんのROCK魂炸裂の一因は、高見さんとの共演がもたらしたものではないかと思っています。
『A.C.B.』の手拍子や多くの曲でのコーラス等、ボディーアクションも大きく笑顔も見せながら、ギター以外のパフォーマンスでもバンドを盛り上げてくれます。

平石正樹(Dr.)

何回も同じ事を言いますが、本当にパワフル!!
今回はバンド全体の音量も申し分なく、「初詣ライブ」以来の大! 爆音を堪能しました。BARAKAメンバーでは唯一ノージャケットで(ドラマーなんだからジャケット着ても邪魔でしょうし)ラフなファッションながら、バンドの最後方でしっかりとバンド全体を支えるBEATを叩きつけています。

ちなみにアンコール終っての退出時、普段は最年少で舞台の一番上手にいる斎藤さんが最後にはけていくのですが。
この日は平石さんがはけるタイミングが斎藤さんの退出に重なり、斎藤さんに「どうぞどうぞ」な待ち方をしていたら、斎藤さんが平石さんの腰に手を当て2人笑顔で一緒にはけて行きました(斎藤さんが半歩後ろでしたが笑)こういう年齢とかキャリアを越えたバンド仲間の距離感が見える場面っていいっすねぇ(笑)
……今回、何か妙にマニアックな視点多いな(笑)

斎藤有太(Key.)

現在のバンドマスターって事で良いのかな?
バンドでは最年少ですが音源のアレンジも担いコーラスも担う功労者。キーボーディスト全般に言える事ですが、音色やキー等が違う鍵盤を幾つも並べて曲により場面により弾き分ける様、いつ観ても壮絶です。なのにまぁ斎藤さんの楽しそうな事! 本当に今回は(も)終始笑顔でした。
原曲を大きく変えることなく、それでいて現編成の魅力も存分に発揮されているアレンジ。これを斎藤さんが手掛けているのであれば、本当に曲の魅力バンドの魅力を活かしきってくれていると思います。

ちなみに斎藤さんも黒のレザーパンツで、そう言えばバンドメンバーほとんどが下は黒だった気が。やっぱROCKだなぁ(笑)

すわ親治(Cho.)

正月TOURではちょっと動きが少ないかも? と気になったのですが、今回もその印象はあまり変わらず。とは言えドリフで培った舞台度胸(?)とコーラスワークでステージを盛り上げておられます。
山崎さんと並んで「大人の魅力」と言いますかね、ゴリゴリハードなサウンドにニコニコ笑顔のギャップ萌え(?)なバンド隊に比して落ち着きながらも所々で見せる笑顔がまた印象的。常に笑顔も良いもんですが、たまに見せるとより効果的だったりもします(笑)

山崎イサオ(Cho.)

何時頃からWikipediaに生年月日が載っていますが、やはりジュリーより年上なんですよね! それであの矍鑠とした立ち姿の美しさ。軽やかな身のこなし。ジュリー当人もそうですが、長年の節制や鍛錬の賜物なんでしょうねぇ。それでいて全く驕ったような印象を与えずステージを舞う軽快さ。やはり要所で見せる笑顔の穏やかさ。

現バンド以前、ジュリーのバンドにレギュラーメンバーとしてのコーラス隊は存在しませんでした。コーラスグループがLIVEに参加したり25周年武道館や還暦ドームのようなスペシャルLIVEにコーラスチームがいたり、はありましたが……。しかも男声2名ということで、果たしてどんな効果が? なんて感じていましたが、お二方とも舞台と音楽で長年鍛え上げた大ベテラン。コーラス、ボディーアクション、そして笑顔でジュリーLIVEを大いに盛り上げてくれています!

全体と今後と

序盤で書いた通り、この日の感想は

「音が良い」

に尽きます。

1.バンド全体の音量が正月より明らかに大きい
2.ピアノを始めギター以外の楽器もよく聴こえる
3.それでいてバンド全体のバランスが最適解に調整されている

といった要素を感じたのです。

現バンドお披露目「初詣ライブ」では、そのあまりのド迫力に度肝を抜かれました。しかし「まだまだ一生懸命」TOURではちょっと音が小さくなった? なんて思い続けていました。それは今年の正月TOURも。

ところが今回、明らかに音量も音質もUPしていました!
この原因は、いくつか考えられると思います。

1.バンドがキャリアを重ねてサウンドが練られてきた
始動から2年を経た現バンド「七福神」。元が歴戦の強者揃いですが、やはりLIVEを続けることで「バンドならでは」の音色が築かれていくものです。全体のバランスや曲中の押し引き等がステージを共にする中で磨かれていき、いよいよ本領を発揮してきた、ということでしょうか!

2.会場、座席の音響が良い
神奈川県民ホールは先に触れた通り、クラシックやオペラの上演を見越して作られた会場です。とは言え私がこれまで来た限りでは特に音が良いと感じたことはありません。しかしこの日は2階前列、場内でもかなり音響が良く聴こえる場所でしょう。その効果は確かにあったとも思います。

3.座って聴いてたから(笑)
決して好きで座ってたわけではないのですが(笑)
立ち上がれない分、意識は聴くことに集中します。せざるを得ません(笑)
いつも体を動かして疎かになる聴覚が良く働いたのかもしれません(笑)

実際のところ1.から3.まで全てそれなりに該当すると思います。
しかし、やはり1.の効果が最も大きいのではないでしょうか!
特に今回のセットリストは正月と重なる曲も多く、演奏にもミキシングにも十分の経験を積んできたことと思います。

惜しむらくは、この意見を断言する為には別の場所でも観ないといけないのですが、生憎なことにチケットがない(涙)
ま、少なくとも次のLIVEにも更なる期待を込められる、その喜びを抱き続けてチケット争奪戦に参加できるということを有難く思う事にします(笑)

ひょっとしたら今のジュリーは、次々と新曲を作る時代を越えて自らが築き上げた宝物の楽曲をより磨き上げていくことに、関心を抱いているのかもしれません。

私としてはこのバンドがいれば何でも出来る、どんな曲でも演奏できるという安心感と、今回のLIVEで見せたサウンド面を含めた安定感。プロフェッショナルが集い各々の力量を発揮しながら、明確に各員がバンドをLIVEを楽しんでいる。正に「神々の饗宴」と呼ぶべき最高のサウンドメイキングで、今回の追加公演やその先、そしてその先々まで、ジュリーと共にステージを作り上げてほしいと心から願います。

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