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お弁当のあれ

今朝弁当を作っていて急に思い出したので 
お弁当のあれについて書きます。

結婚して初めて知ったことはいろいろあるが、
私にとってまあまあ衝撃的だったのは お弁当のあれ「ばらん」である。

結婚したばかりのころ、義理の母がアパートに遊びに来てくれて、泊まってくださるという 
何とも修行のような 苦行のような 
そんなことが頻繁に行われていた時期が有ったのだが、
台所で料理をしてくれていた義母が 時折口にする
「とんこさん ばらん有るぅ?」という言葉。

まずここで わたくしは 「ばらん? わっつ ばらん?」
という心の声から始まり、
「もしかして あの緑色のものですか?」と義母に確認し、
「有りません」 と答える。
これが わたしとばらんのファーストコンタクトだった。

その後 事あるごとに(なんなら10分おきぐらいに)
とんこさん ばらん有るぅ?が繰り返され、

さっき無いですって言うたやん どういうこっちゃ?
さっき ばらんについて、そんな言葉も知らなかったし
でも 確かに 物には何だって名前が有るのは当然ですよね
へえ ばらん っていう名前なんですねー。
私は何も知らないので 勉強になります!
と会話したやん。なのに さっき聞いてきたことを何度も繰り返すって・・・(あきらめてくださらない感じが ものすごくした)

もしかして・・・
ばらんとやらが無いことが そんなに気にいらないのかしら?
ばらんが どうしても必要なのかしら?
ばらんくらい用意しておきなさいってこと?
ばらんって業務用だと思っていたけど 家庭でも使うもの?

と 私の中で ばらんについてのフローチャートが無数に展開されたが
義母がばらんにこだわる理由は見つからなった。(残念)


今日私が作ったお弁当は、冷蔵庫にシソの葉が数枚あったので、
シソの葉をおかずの仕切り(要するにばらんと同じ役割)に使った。
冷食ばかりの弁当でもなんだか華やかになるので、作っていて気分が良い。
もしかすると 当時の義母もこんな気持ちで料理をしたかったのかもしれない。
ばらんは 義母にとって とても重要だったのね。
己の常識 他人の非常識といものかな。
義母から見ると 私は
「ばらんなんて無いよー 何でそんなもの欲しいの?」
みたいな態度をとってたように見えたのかもしれない。
時を経て 心の中で謝ります。
若気の至りということで 許してほしい。

義母が年を重ね、とんこ地方まで遠出できなくなった今、私はすっかりばらんを買わなくなった。ばらんを使うのは義母が台所仕事をするときだけだったから。

スーパーの台所用品売り場で ばらんが普通に売られていることも 
かつての私は知らなかったのだが、
スーパーの売り場や お弁当でばらんを見る度、若かった頃の思い出を
懐かしく思う。










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