No.2 - 株式会社網専

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一緒につくりたいもの

いつもよりちょっとだけ品のある気持ちになれるプロダクトアイデア

どんな会社ですか?

株式会社網専は、メッシュ・金属布の製造を専門とする会社です。格子状の穴がはっきりとわかる一般的な「メッシュ」だけではなく、細い金属を織ってつくる「金属布」、いわゆる「ハイメッシュ」の製造を得意としています。まるでシルクのような手触りなのに、素材はステンレス。既存のメッシュにはない手触りの素材を生み出したいという思いから生み出された新しい素材です。「時代が求めるメッシュをつくりたい」という想いのもと、自動車メーカーなど多岐にわたる分野で網専のメッシュ・金属布が使われています。

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ここがスゴイ

1.切れやすい金属糸を扱いこなす技術
網専が得意とする「ハイメッシュ」のステンレス糸は、指先の力で切れてしまうほど繊細なもの。織り機の微細な調整がなければ、織り目にホツレやキズがついて機械が止まり、生産効率が下がってしまいます。「どこまでも均一な布をつくるには、機械が出す音や編み上がった布の光の反射をつぶさに観察し、我が子のように機械それぞれの癖を熟知する職人としての腕が問われるんです」と田中社長。原反として横幅1,225mm、縦幅30,000mmを基準に織っていますが、なんと縦幅500,000mm(500m!)もの長大な反物をキズなく織り上げたことも。

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2.世界的なメーカーの製品にも使用されている
金属メッシュ素材ってどこに使われているんだろう?と疑問に思うかもしれません。かつて世界中を席巻していた某社のウォークマンのイヤフォンに網専のメッシュが採用されていたといえば、その専門性の高さがわかるのではないでしょうか。大手製造業がつくる製品の一部や、製品をつくるための機械の一部……など消費者には見えない部分が多いのですが、現在は、車のオイルフィルターや化粧品製造時に材料をこし出すための機械など、さまざまな分野のさまざまなパーツに網専のメッシュが使用されています。

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持っている技術

・使用する糸の太さや色を変えて、分厚さや質感の異なる金属布を織ることができます
・模様を直接編み込んだ立体的なメッシュも製造可能です
・時間はかかりますが、一切のほつれがない長大な金属布も織ることができます

苦手なこと

・金属布は手で裂けるほどの耐久性なので、他の素材での補強が必要
・金属なので断面は鋭く扱いに注意がいる
・布以外のパーツ制作・縫製などは自社ではできない
・金属布は汚れに弱い


つくっている主なプロダクト

1. ワイヤーネット・フィルム“モアレゾ”
金属布の重なり合いがつくる有機的な模様を「表現」と位置づけて、ディスプレイを制作。背面のLEDの調光によってその場所の印象を変えることができます。

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2. シルクステン金属布がもつ不思議な光沢感をバッグにしたプロダクト。手が透けるほどの薄さだが、水は通しにくい。

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工場の様子

1. 織り機に縦糸を1本ずつ通す
機械織りとはいえ、織りはじめる前の線を通す工程は手作業。「綜絖(そうこう)」というパーツに縦線を1本ずつ通していきます。線の数が多かったり、通し忘れた部分があったりすると織ったときにムラやきずになってしまう。幅が広いほど糸線の本数が多くなるので、線を通しきるのに1週間以上もかかることがあるそう。

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2. 織り目に傷やムラがないか細かくチェックする
織りあがったものからルーペを用いて品質に厳しいチェックをいれます。網専の製品はキズがないことで業界から評判です。最近は織り機の質が上がり、10段階でいうと8〜9レベルの製品は比較的容易につくることができるそうですが、満点の10までクオリティをあげるためには職人の技術が必要。「質の高い商品ができたときは売りたくないくらい。それだけ美しいんです」と田中社長。

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紹介映像

つくりての想い

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「かつて八尾周辺は河内木綿の一大産地。地場にあった織りの技術を生かして網専ははじまりました。ウォークマンやプラズマテレビなど、かつてメイド・イン・ジャパンの代名詞ともいえる製品に弊社のメッシュが使われ「メッシュといえば網専」という評判をいただいております。しかし、メッシュ素材自体は競合も増え続けていますし、不織布など創業当時にはなかった素材の一般化や、海外業者の台頭、また新型コロナウイルス感染症拡大による事業不振などもあり、最盛期と比べて売り上げは芳しくありません」。

「このまま何もしないでいると、10年後にはメッシュのニーズはほとんどなくっているかもしれないと不安な日々もありました。大企業の注文に左右されず、時代が求めるメッシュをつくり、自身のもつ技術で生き延びるために新しい可能性を模索し続けた結果、金属布は誕生したのです」。

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「『時代が求めるメッシュをつくりたい』というモットーは、このプロジェクトにおいても変わりません。いままでメッシュ・金属布を知らなかった人々に「こんなものがあるんだ!」という新しい発見をして欲しい。ステンレスは電磁波シールドとして役立つなど、今後社会におけるニーズもあります。娯楽性が高いものはもちろん、実用性の高いプロダクトで世の中の役に立つものも生み出せたらいいですね」。

「また、試験的にステンレス以外の糸でメッシュを織ってみるなどの挑戦もしています。世界初の純マグネシウムのメッシュなどがつくれます。新しいアイデアを募って、ガツっと儲けたいですね(笑)!」。

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公式HP
https://amisen.jp/


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